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ぐらとぐら  作者: シクル


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24/52

第24話「メモリーオブロボPart3」

「とりあえず落ち着け」

俺は田原の両肩をポンと叩く。

「う、うん…」

口ではそう言っているものの、田原が落ちつけるとは思えない。

ここで立ち話もなんなのでとりあえず中に入れる。

中に戻ると、予想通りというかなんというか……

ゲームはポーズ画面などではなかった。

画面に映っているのは得意気に勝ち台詞を言い放つ羅門の使用キャラと、その足元に倒れる俺の使用キャラだった。

「兄さん。――――僕の勝ちだ」

勝ち誇る羅門の頭を軽く叩き、ゲーム機の電源を落とすと、田原をソファーに座らせた。

「で、何がどうなったんだ?」

俺が改めて質問すると、田原は少し落ち着いたのか、きちんと説明してくれた。

今日、田原は珍しく外出していたらしく、留守番をロボ子に頼んでいたらしい。

一緒に行けば良いのだが田原はロボ子へのプレゼントとしてパーツを買いたかったらしい、恥ずかしいのでロボ子は同行させず、帰ってから驚かせてやろうと思っていたようだ。

が、田原の予想に反し、自宅に戻るとロボ子の姿はなかった。

家の中には靴の跡が残っており、誰かが侵入したのは明白であった。

そこで田原はロボ子がさらわれたのだと確信したらしい。

「……そう簡単にさらわれるか?」

「どういう意味?」

「どう見ても人間だとは言え、仮にもロボットだぞ?そう簡単にさらわれるとは思えないな」

「僕もそれが引っ掛かるんです…」

田原が言うにはロボ子は勝手に外出するような子じゃないらしい。

俺もそう思う。

やはりさらわれたと思うのが妥当だろう。

だが引っ掛かるのはこうも簡単にさらわれたということだ。

ロボットである彼女がそう簡単に捕まるとは思えない。

相手はかなりの強者か、かなりの科学力を持った奴だろう。

「もしかして、ロボ子の本来の持ち主じゃないかな?」

不意に、黙っていた羅門が口を開く。

「本来の…持ち主?」

田原が聞き返すと羅門はコクリとうなずいた。

「ロボ子を造った本人なら弱点とかわかってるかもしれないし、他のロボットを造っていてそのロボットを使ってさらわせたとか…」

なるほど。

確かにそうかもしれない。

辻褄も合うしな。

「発信機とかは付けてないのか?」

俺が問うと、田原は「あ」と短く呟いた。

「そういえば念のためにつけてた!」

「ならそれを使って探しに行こう」

「うん!」

発信機を探知するソフトが田原の家にあるというので、俺達はとりあえず田原家へ急いだ。



田原家へ到着すると、田原はすぐにPCを立ち上げた。

部屋には田原の証言通り、足跡が残されていた。

犯人が土足で侵入したためだろう。

相当焦っていたのか、日本の事をよく知らない外国人か…。

それとも知性の低いロボットか……?

「……電波が弱くてつかみづらいな…」

キーボードで何かをカタカタと打ちながら田原が呟く。

「町外だとまずくないか?」

「うん…ちょっとね。県内までならギリギリキャッチ出来るんだけど…。一応キャッチ出来そうだから町内みたいだけど、電波妨害があるみたいだ……」

電波妨害…。

ということは犯人がロボ子を造った張本人である可能性が高い。

「あ!!」

「どうした!?」

「一瞬映ったよ!この近くのB-4区画だ!」

B-4というのがよくわからない。

表示されている地図を見ていると、横列にアルファベット、縦列に数字が並べてあった。

恐らく横列のBと縦列の4の座標の地点だろう。

「場所がわかったなら急ごう!」

「うん!」



すぐ近くだったので走って五分もかからなかった。

「ココか…」

葉貝歯科(はかいしか)。

壊すのか治すのかよくわからない名前の歯医者だ。

名前は知っていたが来たのは初めてである。

「でも何で歯医者に…」

「兄さんが虫歯だからだよ」

俺の歯はパーフェクトナチュラルパワーだぞ。

虫歯なんかあるものか。

それはさておき…

「今日は休みみたいだな」

「臨時休業……」

臨時ということはいつもはこの曜日にもやっているということか。

「入ろう」

「でも、臨時休業って…」

「そんなことで諦めるのかい?」

羅門が問うと、田原はブンブンと首を横に振った。

「行こう」

田原はそう言うと、すぐにドアに手をかけた。

ガチャガチャ!

予想通り鍵はかかっており、勝手に中には入れないようだ。

「どいてて」

羅門が俺と田原をドアから離す。

「おい、まさか…」

俺が止めようとした時には既に遅く、羅門は助走を始めていた。

「ウェイクアップッ!」

ガシャアン!!

壊した。

豪快に。

痛快に。

爽快に。

羅門は強烈な蹴りでドアの鍵を破壊したのだ。

「羅門…お前…」

強行突破にも程があるだろ。

そう言おうとしたが驚愕で言葉が続かない。

「ダークネスムーンブレイクです」

「いや、技名は聞いてない」

驚愕する俺と田原に、羅門は爽やかな笑顔で親指を突き立てる。

「入ろう」

意を決した田原の言葉に、俺と羅門はうなずくと、田原を先頭に中へと進んでいった。



続

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