招かれざる客
『 うわ~~~~~~~。 』
『 これはこれは・・・・。 』
どうだ!!!
我ながら、快心の出来だ。
少し疲れたけど・・・・。
私が作った海鮮スパは、
パスタとコンソメスープ、白ワインをベースに
エビにイカ、アサリ、エリンギ、赤唐辛子を絡めたモノ。
そして、途中から追加で頼まれたマカロニサラダ。
「 恐竜型のマカロニを使ってみて 」 と、催促され
ツナとオニオン、マヨネーズそして少量のオリーブオイルで
あしらったモノだ。
正直、自分でも食べてみたい。
結構、食材が豊富で少し驚いたけど・・・
これは貢ぎ物とかも、あるのかしら・・・?
あ、日本酒・・・。
地酒の冷えた日本酒を添えたんだけど、正直・・・
ワタシが、飲みたい。
『 食べていいの? 』
目を輝かせながら、上目遣いで両手を合わし訊ねてくる。
『 どうぞ、お召し上がりください。 』
『 私の分まで、恐縮です。 』
『 全然、気にしないでください。 』
『 いっただきま~~~す。 』
『 御馳走になります。 』
『 どうぞ、どうぞ。 』
ワタシは、ちょっとした腕まくりのはずが
他人に食べさせるということで 少し緊張し、
彼氏にも食べさせたことのない
少し本格的なモノになってしまった。
『 っう、う~~~ま~~~~い。 』
『 これは、かなりの腕前ですね。 』
『 あ、ありがとうございます。 』
『 これ、おかわりある!? 』
『 ありますよ、ゆっくり食べてください。 』
『 爺や、爺やも おかわりしよっ!ね? 』
『 これは・・・、失礼ですが料理人の方ですか? 』
『 いえ、とんでもない。
でも、以前は社員食堂を請け負っているところで働いていましたが・・・
そんな特別な調理師の資格とかは・・・。 』
『 今は? 』
『 今は・・・無職です。 解雇されたばかりでして・・・ 』
『 ねぇ、あなた何処の人? 帯広? 』
『 ・・・東京です。 』
『 東京? 』
『 東京ですか・・・東京の方が、なぜ、こんな片田舎に? 』
『 なんか、いろいろありまして・・・
いま、ちょっと知り合いが急患で帯広の病院に掛かりまして
ワタシも今、向かっている最中でして・・・ 』
『 ふんふん、大変だね~~。 』
『 車も無いし、国道を歩いていたら
看板を見まして・・・あの、ド派手な看板を・・・。
ちょうど、ドラの音も聞こえて・・・誘われるように・・・ 』
『 ここへ来たと・・・ 』
『 そう、なりますかね? 』
『 お嬢様、あの看板・・・ 』
『 うん、スピーカーも付けて正解だったなぁ。 』
『 そうでは、無いでしょう? 御迷惑掛けていますよ。 外しましょう。 』
『 ヤだ。 あ、おかわり!! 』
『 は、はいはい。 』
『 どうも、すみませんでした。 そんな御事情が御有りでしたか・・・。 』
『 私の方は、その何とかなりそうですし・・・、はい、どうぞ。 』
『 ありがとう。 ホントに美味しいね、これ
あなたは食べないの? 』
『 わたしは・・・その、【 きたのこぶし 】・・っていうのが、
実は気になっています。 』
私は不躾にも、食器棚に入っている 飲みきりサイズの純米酒を指さす。
『 あなた、お酒好きなの? 』
『 少し、飲む程度なんですけど・・・ 』
『 私が御用意致しましょう。 』
『 爺や、お願い。 』
『 なんか、かえって済みません。 』
『 いえいえ、これくらいのこと・・・。 』
ガタッ。
巴菜さんが、急に真面目な顔をして
和やかな食卓に水を差すような、大きな音を立てて
椅子から飛び上がる。
『 爺や!! 来る!! なんか、かなりヤバそうなヤツ。 』
『 はい、わたしも感じます。 』
『 結界を張って! 今すぐ!! 』
『 はい。 』
『 あなた、こっちへ来て!! 』
( な、なに!? 何が起きたの!? )
巴菜さんは私の前に立つと、
聞き取れないくらいの小さな声で何か呪文を唱えている。
( こ、これなに!? こ、怖いんですけど・・・ )
爺やと呼ばれた男性も 何かを呟き終えると、
建物の外へと すぐに飛び出していった。
『 落ち着いて聞いてね。
いま、かなりアブナイ奴が来るから・・・
あなたに害が及ばないように結界を張らせてもらった。 』
『 結界? 』
『 でも、とても簡易なモノだから・・・大人しく ここにいて。 』
『 ねぇ、何が来るの? 』
『 それは・・・とっても邪悪なモノ。 ・・・でも、
あなたに影響の無いように・・・ワタシ頑張るからね!
・・・・・・だって、トモダチでしょ!? 』
そう言い、安心させるような短い笑みを私に向けた。
巴菜さんは黒幕に手を掛け、
少し呼吸を整えたあと その姿を消した。
私は 黒幕に耳をあてると、
『 お嬢様。 お客様です。 』
『 いま、行くわ。 』
と、短くも凛とした声が届いた。
~つづく~




