130m先 『 よろずや 沢庵 』
私の目の前に突如として現れた
闇夜の中を眩いほど 照らし出している一つの看板。
< よろずや 沢庵 深夜も営業中 130m先 >
『 よろずや、たくあん・・・たくあん!? たくあんじゃないよね?
・・・・さわあん? なんて読むのかしら・・・ それに、
こんな真っ暗闇の中、深夜まで営業中・・・って、かなり怪しい。
すっごい気になる! 』
辺りの空気とは まるで違う、
異色な感じで 派手に照明を使った看板に
私は、大いに戸惑った。
こ、これは・・・いくらなんでも怪しい、怪しすぎるわ。
でも・・・・・・。
( なんで、立ち止ってるの? わたし・・・・。 )
行きたいの?
だよね・・・。
これは、なにかを感じるわ。
あんだけ暗闇を歩き続けてきて、
一際明るい このド派手な照明の看板・・・
怪しすぎる。
( よろず屋って、何でも屋のことかしら・・・ )
私は看板の先の130m先を窺う。
この煌々とした看板とは裏腹に、
周りの黒々とした木々に覆われて、その先を窺い知ることはできない。
私は懐中電灯を何度もニギニギと、落ち着きなく握り
もう3分以上も、立ち止っている。
そんな優柔不断の私を無理矢理 後押しするような
物凄い音が響いた。
『 ドッワァ~~~~ン~~~。 』
『 ひゃあ~~!!! 』
( なに!?なに!? ドラ!? )
銅鑼のようなシンバル音が響き渡る。
まるで、
「 一名様 ごあんな~~~いっ 」
という声でも聞こえてきそうであった。
『 もう、わかったわよ。 行くわよ。
不思議なことには、もう慣れてるわ!
何があるのか知らないけど・・・行って、確かめて見ようじゃないの!! 』
私は肝試し、もしくは心霊スポットに入るような
ちっぽけな勇気を振り絞り、
暗闇に続く道を懐中電灯を握りしめ、恐る恐る進み始めた。
時折、風になびく林の木々の葉が
不気味な音を立て、私をいっそう怖がらせる。
( パンツ、もう一枚買っておけば 良かったかしら・・・ )
私は、ちびりそうな小さな肝を押さえ
心細い懐中電灯の明かりを頼りに
前へと ゆっくりと歩いていく。
( さっきの看板くらい、この辺も明るくしてほしいものだ! )
私は、自身の怖さを少し怒りに変換しながら
歩いていく。
そして、130m先の行き止まりに 少し怒りと驚きの声を上げた。
『 え!? か、階段? な、なに!? なんで? 』
130m先にあったのは、小さな看板で、
< 階段をどうぞ。 よろずや 沢庵 >
と、小さく案内している。
『 こ、このやろ~~! な、なめんなよ。 』
わたしは、誰に言うでもなく
独り、自分の根性を確かめるように
暗闇の先の見えない 曲がりくねった階段を
一段ずつ登り始めた。
~つづく~




