第11話 転入
――ピピッ
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「ねぇ、ミストがどこ行ったか知らない?」
「僕に聞いたって知ってるわけないでしょ。いつも一緒にいるのはアルタのほうじゃん」
ミストが見当たらない。たまたま近くにいたからリエンに聞いてみたのだけど、彼も知らないらしい。さっき会ったときには特に何も言っていなかったのでやや不安だ。
「そうなのね。はぁ……、契約対象の位置情報が分かるシステムが欲しいものね」
やれやれと私が呆れていれば、近くのソファから反対の声が上がる。
「えー、あたしは大反対!アルタちゃんのことだから、それって絶対位置を把握できるの『相棒』側だけじゃないでしょ?アムネシアさんにあたしの位置がバレるのはちょっと......」
ウメカは不満そうに髪をいじっている。
「そうね、アムネシアはよくサボってるあんたを探しに行ってるもの。困らせてるのが分かってるならやめればいいのに」
「嫌よ。あたしにだって理由はあるんだから。アルタちゃんは何気に口が軽いから教えてあげないけど」
拗ねてしまった。私としては口が軽いというよりは、必要だと思ったことを共有しているつもりだったのだけど。
「みんなただいまー!最高の人材を捕まえて来たよ!!」
このやや気まずい雰囲気の中嬉しそうに扉を開けて帰って来たのはミストだ。一体どこに行っていたのかはその言葉から容易に想像がつく。と言っても、よく行く場所ではない。
「ちょっとあんたまた神援者を拾ってきたわけ?前回のアムネシアは不可抗力だったし、正式に言えば神援者じゃないから許したけど、ここにホイホイと人を連れてくるんじゃないわよ」
神援者とは、真の天才であることがほとんどで、地上世界の発展に貢献をするための人々のことを指す。つまり、死後の憂さ晴らしのために頑張る部署にそんな有能な人材はたくさん呼んではいけないはずなのである。常識的に考えれば。
「えー、でもこの子魔法使いだよ?魔法使いは異世界転生観測係に絶対必要だって」
ミストはそう言ってその人物をぐいぐいと引っ張ってオフィスの中へと引き入れた。
「今、ミストさんからご紹介頂きました、僕は人類で最初の魔法使い、名前は……そうですね、マールスとでも呼んでください。まぁ、魔法使いというより、錬金術師と呼んでいただく方が嬉しいのですが」
彼はきっとブリタニア地区出身なのだろう。紳士オーラのようなものが漂っている気がする。
「はいはーい!錬金術って何ですかー?」
ウメカが授業中に先生へ質問するかのような聞き方でマールスに尋ねた。
「そうだね……」
マールスが顎に手を当てて考えている。どう嚙み砕いて説明すべきかを悩んでいるに違いない。
「出来るだけ簡単かつ簡潔に言うとすれば、物質を原子単位で物理的に動かすことに特化した魔法……かな。だからもちろん精神操作とかは出来ないんだよ。でも見かけ上は魔法だから、必ず君たちの力になれるはずだよ」
そんな非現実的な力、地上世界でどうやって手に入れたのだろう。天上世界ですら、そんな力を持つ人物の話なんて聞いたことがないというのに。
――ピピッ
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