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バッドエンド・リバイバルズ  作者: ストラド
アナザーシナリオ第一巻 『求冠者たちの物語』

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第4話 サボり

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様の閲覧を認識しました。

「あら、今日はおサボりさんがいないみたいね」


 私が彼を連れて来たのは学校の屋根の上。上空に広がるのは偽物の空だけれど、清々しい。


「アルタさんはよくここに来るの?」


「別に。ただ、静かで気持ちが良くて、それから大声で叫べる場所なんてここくらいでしょ」


 もとより、神援者(しえんしゃ)と契約していない「相棒」の行動範囲は限られているし。ここくらいしかないだろう。


「ここには、私だけ。とっとと吐きなさい」


「僕がケット・シーなのはアルタさんも知っていると思う」


 もっともその姿を見たことはないが、互いに本来の姿は知っているものだ。大きい「相棒」から小さい「相棒」までいるのだから、学校で過ごすとなると人間態で過ごすことの方が多い。ただ、多くの「相棒」は動物形態として、自分の本来の姿に最も近い地上に存在する生き物、すなわち私達「失敗作」とは正反対の「成功作」の姿を持っている。正直、これはとても皮肉なことなので、フェーレスの動物形態呼びを不快に思っている「相棒」は少なくないだろう。


「僕は、アルタさんのグリフォンのようにカッコよくないんだ。喋れて二足歩行ができるだけのただの猫」


 成程、本来の姿へのコンプレックスか。確かに、そういったコンプレックスを抱える「相棒」は少なくない。それに、架空の生き物として、地上で神のような役割を担うことになれば、設定をも自らの構成要素にしてしまう我々「相棒」には、その設定は重過ぎる。故に、体に障害を負い、そこへ神としての力を封印させられるのだ。本人が望んで手に入れた力ではないというのに。


「僕はあくまで猫なんだ」


「それで?」


 彼の言いたいことが見えてこない。


「初めてこの学校に来た時、言われたんだ。『猫らしくない』って」


「つまり、それ以降あんたは猫らしく演じるようになったってこと?」


 その「猫らしくない」と言った人物の意図は分からない。でも、それは決して彼を悪く言いたかったわけではないはずだ。ただ単に、猫に対してバステトを本来の姿に持つあの子みたいなイメージを持っていただけだろう。そして思ったのだ。「意外だ」と。


「でもそれって、あんたを否定しようと思って言った言葉じゃないかもしれないじゃない」


 私の言葉を聞いたフェーレスは、フッと儚げにほほ笑んだ。


「そうなのかもしれないね。でも、もう後戻り出来ないんだ」


 私はムッとして疑問で返答する。


「それは、偽物の性格の方が皆に受け入れられてるから?」


 少なくとも、彼の性格を知った今、私はもうあの性格を受け入れようとは思わないけれど。


「体が慣れちゃったんだ、今のこの状態に。僕は『猫』を演じて、他人にも動物形態に即した行動を願う。眼鏡を外せば今すぐにでも僕はあの『猫』に戻ってしまうだろうね」


 確かに、これは来るところまで来てるな。

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様が情報を読了したことを認識しました。


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