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バッドエンド・リバイバルズ  作者: ストラド
アナザーシナリオ第一巻 『求冠者たちの物語』

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50/105

第5話 あだ名

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様の閲覧を認識しました。

 キーンコーンカーンコーン


 授業が終わる合図が鳴った。しかし、私達は二人とも動こうとしなかった。


「いいの?行かなくて」


「次の授業は先生が研究活動に励むためにお休みなんだって。アルタさんも同じ授業受けてたよね?誰からも聞いてないの?」


 私は呆れた。誰からも聞いていない。友達と言うものがいないのだから、仕方ないと言えば、仕方ない。それに、授業がない時間は大体静かな図書館にいるのだから話しかける隙もないのだろう。


「聞いてないわよ。教室に行って誰もいなければ、その授業がないって分かるし問題ないと思うけど」


「なんだか、アルタさんと僕って正反対だね」


 言われてみれば、確かにそうかもしれない。


「アルタさんみたいに、自分の信じた道を突き進めればいいんだけど」


 フェーレスはそう言って、苦笑してみせた。


「あんたは私を過大評価しすぎじゃない?あんたの言うとおりに私が自分の信じた道を突き進んでいるのであれば、私はあんたのことを嫌いにはならないし、今あんたとは向き合ってない」


「でも……」


「『でも』なんて否定しないで。確かに私は頑固よ。でもね、その部分が私、一番嫌いなの。『相棒』として、相応しくないから。『相棒』は教科書通りの、従順な存在でなければいけないの。だから、あんたはよくやってると思うわ」


 私達は「人間」ではない。しかし、「人間」が、そして彼らのような脳を持つ私達が似たような思考に至るのは順当だ。その上で、「人間」とは違う存在であることを自認し、そう振舞わなければならない。私は不器用なのだと思う。


「ごめん、アルタさん。やっぱり僕はアルタさんみたいにはなれない」


「別に私もあんたに私自身の在り方を押し付けようなんて思ってないわよ」


「僕は、変われない。怖いんだ、一度否定されたこの僕を表に出すのが」


 彼をそう決めたのがたった一度の発言であれば……


「なら、私が今のあんたを認める。そうしたら、過去にあんたが受けた否定と今私が認めたという肯定で1対1。あんたはゼロからのスタートになる。それでもあんたは偽物の『猫』をかぶり続けるわけ?」


 しかし、フェーレスは首を横に振った。


「違うよ、アルタさん。『猫』に対する否定が1回と、肯定が数えきれないくらい。僕にとっては、この肯定が一番大事だから」


 なんて頑固な奴。そして、承認欲求が強い。


「はぁ……、あんたも頑固ね。あんたがそれでいいならいいんじゃない。そう選んだからには、私にも猫を被るようにね」


「え、僕はアルタさんにはありのままの姿で接するつもりだったんだけど。アルタさんからの肯定も、大事にしたいから」


「私は特別な扱いとか絶対に嫌なの。それに、同じ成績上位者でも、人気者のあんたと孤独な私、普通接点なんて生まれない。だから止めて頂戴、『猫かぶれ』」


 ふと、口から零れたその単語。『猫かぶれ』。猫にかぶれ、私と2人の時はどれだけ願っても猫をかぶってくれない男を示す言葉。この言葉は、今後、彼との繋がりが断ち切れなかったことにより使い続けることとなった。

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様が情報を読了したことを認識しました。


全知全脳システムはあなたの閲覧を歓迎し、今後もあなたのために情報の提供を続けます。

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