第15話 ドロップ品は特になし
――ピピッ
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まずは、拠点があったはずの場所から調査を始めた。
「砂で埋もれているかもしれませんし、一旦掘りますか?」
僕がそう聞けば、係長はすぐさま錬金術でスコップを作り出した。この任務以降は係長の助けを借りられなくなるのだから、もっと自分自身でなんとかできるようにならなければ。
「私も力を貸すわ」
アルタ姉さんはそう言ってグリフォンの姿になると、鉤爪をスコップのように使って掘り始めた。僕達も、係長からスコップを受け取り、掘り始めた。
しかし、掘れども掘れども何も出てこない。神援者の体も筋肉痛を起こすのだろうか。起こすとしたら、明日の体が心配である。絶対一生分の土を掘った気がする。
「何も出てこないし、枯れた泉の調査をしようか」
係長も疲れたみたいで、そう声を掛けてきた。確かに、枯れた泉の調査もしなければならなかったな。
泉の水深は浅く、軽く飛び降りるだけで怪我をせずに底へ飛び降りれるほどであった。ちょうど体育館のステージの高さ程度だろう。
泉の底は案外殺風景であった。どこからか流れ着いたのか、飛んできたのか木の枝が複数散らばっている程度で、これといって目立つものはない。
いや、おかしい。自然にできたはずの泉の底だというのに、この地面は平らすぎる。
「泉の底、地面が平らすぎるので絶対に何かあると思います!」
僕がそう言えば、他の皆も地面を踏みしめながら、確かにと頷き、泉の底の調査が開始した。
「とりあえず、俺が風で木の枝を片付けちゃうから、少し離れてて。じゃないと、刺さっちゃうかもしれないし」
僕達は一度泉の跡地から出る。本当に係長の錬金術は便利だな。にしても、本当にこんな簡単に、たくさん使ってしまってもいいのだろうか。代償があるというのに。一番大事な感情というのはあくまで仮説にすぎないが、心配だ。
泉の底に横たわっていた枝は係長の魔法によって宙を舞い、近くにどさりと落とされた。泉の中身が完全に空っぽになる。係長が何かを見つけたようで、手を振りながら僕達のことを呼んでいる。
「おーい!地下道の入り口みたいの見つけたよ!」
僕達が小走りで近づけば、地下に通じていそうな金網のかかった穴が見えるようになっていた。もしかしたら、ヴェスティがまだここの拠点にいたころ、自衛のために作成した魔物用の罠なのかもしれない。そうしたら、泉の底が平坦で、人工物のように見えてしまっているのにも納得がいく。
「どこに繋がっているかは分かりませんが、いったん入ってみます?」
正直言うと、僕は入りたくない。暗いし、底が見えないし。
「私がミミズクの姿で探索してくるわよ」
アルタ姉さんがそう言うも、
「いいえ、私が行きます。アルタさんにいつまでも頼りっぱなしというわけにもいきませんし」
と言われ、アルタ姉さんは一瞬驚いたような顔をしたけれど嬉しそうにほほ笑んだ。おそらく、先程はヴェルスのほうが積極的だったけれど、リアスも積極的に行動していて、彼らへの心配が薄まっているのかもしれない。僕ももう少し積極的に行動して係長とアルタ姉さんを安心させないと。
「うん、じゃあ先にこの金属製の網をどかしちゃうね」
係長がそう言って網をどかせば、暗い深淵がよりこちらへと手を伸ばして手招いているように感じる。
リアスが鷲の姿となって、深淵へと飛び込んだ。深淵に飲み込まれ、その姿はすぐに見えなくなる。無事に帰ってくることを僕達は祈ることしかできなかった。
――ピピッ
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