第14話 変わり果てた拠点
――ピピッ
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「あ!貴方達は昨日の…」
門に到着すると、そこに立っていたのは昨日も門で検問を行っていた男性であった。
「やあ、昨日ぶりだね。ここから出たところにある泉に調査へ行きたくてね。いいかな?」
係長が衛兵にそう声を掛けるも、彼はキョトンとした表情を浮かべた。
「おや、どうしたんだい?そんな表情をして」
衛兵はその表情のまま首を振り、不思議そうに答えた。
「いえ、泉は何年も前に枯れてしまったので、どうして泉の存在を知っているのかと思いまして」
知らなかった。あの泉が枯れてしまったのか。漫画で見たあの泉はとても綺麗だったから見たかったんだけどな。仕方がない。
「アズマ君、地図を出してもらえる?」
僕はバッグの中に保管していた地図を取り出した。
「先生、こちらです。やはり古すぎたみたいですね」
僕は、衛兵にも見えるように、地図の泉が描かれた部分を指さした。衛兵は地図に顔を近づけて見る。
「かなり前のものですね。ただ泉以外は変わっていないのでそのままお使いください」
衛兵に見送られて北門から出ると、車輪の跡が残った道が伸びているだけで、そこ以外は鬱蒼とした森が広がっていた。きっとこの森の中にも魔物がうじゃうじゃいるんだろうな。森の中は避けて道沿いに進んで行こう。
「例の泉の位値、確認してくるぞ」
ヴェルスはそう言って空へと飛び立っていった。初めてこの世界に来た時の偵察から学習したんだろうな。ふとリアスを見ると、なんだか悔しそうな顔をしている。ただ、聞こうか聞かないままにしておくべきか悩んでいる間に、ヴェルスは帰って来てしまった。
「ヴェルス、よくやったわ。おかえりなさい。どうだった?」
アルタ姉さんにそう聞かれるも、ヴェルスは少し眉間にしわを寄せながら答えた。
「もともと泉であった筈の場所は見つかった。だが肝心のヴェスティの拠点は発見できなかった。巧妙に隠されているのかもしれないな」
何故だ。ヴェスティの拠点は拠点と言っても普通の家だったはず。何故ないのだろう。わざとなのか、時間の経過とともに朽ちてしまったのか。
「取り敢えず一度泉の跡地へ向かいましょう。上空からは見えなかった手がかりがあるかもしれませんし」
このリアスの一声を境に、僕達の歩くペースは上がっていった。もし、拠点探しに時間がかかってしまったら、ユーに研究成果という名の罠のヒント集を渡すことができない。彼はヴェスティに敵わなかった有象無象の、原作に名前が残されていない勇者たちと同じ運命をたどることになるだろう。実際に原作ではそうだった。僕達はそれを作り変えなければならない。
「ここだ」
ヴェルスの声で僕達は歩みを止めた。何故だろう。ここだけ、鬱蒼とした森と比べて生気を感じられない。泉は枯れ、木に葉は生えず、魔物の気配すら感じられない。
「一体この数年で何が……?」
原作には、この描写がない。でも、僕達はユーと出会う程度にしかこの世界に介入していない。だから、この荒廃に僕達は関係ない。そもそもこの世界に来たばかりであるし。
「とりあえず、この位置にヴェスティの拠点、彼の家があったはずなんです」
僕は家があるはずの場所を指さすも、塵一つ、何も残っていない。僕達は早々にかなり難易度の高い問題に遭遇してしまったようだ。
――ピピッ
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