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バッドエンド・リバイバルズ  作者: ストラド
序章 神援者たちの章

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第1話 とある演者の幕引き

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様の閲覧を認識しました。

「君にこの世界は救えない、もう手遅れなんだよ!」


 屋上に佇む一人の青年が皺のついた脚本を握りしめ、叫んでいる。


「君にこの世界は救えない……!もう、手遅れなんだよ……」


 声の調子を変えて、同じセリフをもう一度。


「うん、こっちの方がいいかもしれない」


 青年はフェンスに寄りかかりながら、脚本にマーカーとメモ書きを残す。フェンスに寄りかかったときの沈み込みが心地よかったのか、フェンスがミシミシと音を立てるのに構わず、何度も起き上がっては体重をかける行為を繰り返す。


「あっくんお待たせ~!監督がなかなか解放してくれなくてさ……」


 屋上の扉を勢いよく開け、息を切らしながら青年に話しかけた少女も、青年と同じ脚本をその右手に丸めて握りしめていた。


「それは災難だ」


「ほんとほんと。みんなも可哀そうな子って目で見てくるんだからね。……って、あっくんへの伝言もあるんだった」


「面倒なことじゃないよね」


 そう言って青年がフェンスに体重をかけて起き、少女の元へ行こうとする。


「……は?」


 フェンスがメキメキと音を立てながら地上へと崩れ落ちていくのを青年は横目に見た。いや、フェンスだけではない。彼自身も空中へ投げ出されていた。


「セイ!」


 幼馴染である少女の名前を呼び手を伸ばすも、ショックで腰を抜かしている姿が一瞬だけ見えた。


 死ぬ前は走馬灯を見ると言うけれど、青年の頭の中は少女への心配と先程読み合わせていた脚本の劇のことでいっぱいだった。


 演劇自体が彼女のトラウマになってしまわないか。


 彼女が自分を殺したのではないかと濡れ衣を着せられてしまうかもしれない。


 ダイイングメッセージを残すとか?いや、そんな余裕も道具もない。


 死ぬならあの劇を演じてからがよかった。


 そうだ、主人公はどうして世界が救えないんだっけ?あれ、あんなに読み込んだのに何も思い出せない。


 全身を打ち付けるような強い衝撃が走り、視界が暗転する。悲鳴や叫び声が聞こえたが、アウトロのようにだんだんと小さくなってやがて消えた。


 これが、アズマの、僕の最期である。

――ピピッ

全知全脳システムが≪エラー:表記できません≫の(送る相手の名前を入力してください)様が情報を読了したことを認識しました。


全知全脳システムはあなたの閲覧を歓迎し、今後もあなたのために情報の提供を続けます。

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