第9話 僕の助演者
――ピピッ
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「応接室」と書かれた扉に到着すると、係長は軽くノックをしてから、中の返事を待つことのないまま扉を勢いよく開けた。係長はズカズカと入っていく。僕はというと、学校時代の癖で「失礼します」と小声で呟きながら、ソロソロと入った。
応接室の中にいたのは、見た目がよく似た二人の青年。双子なのだろうか。しかも、様々な作品で見かけるような、対照的な感じだ。片方は、物腰が柔らかそうな優等生タイプで、もう片方はとっつきにくそうな俺様タイプに見える。
「2人とも久しぶりだね、リアス君にヴェルス君」
「お久しぶりです、あの節はお世話になりました」
「あれは全然気にしなくていいって、リアス君」
僕の第一印象通り、前者は敬語を使い、礼儀正しいようだ。もう片方は、無言のまま僕を品定めするかのようにじっと見つめてくる。なんだか気まずいので、フッと軽く微笑んで見せるも、そっぽを向かれてしまった。幸先が悪い。
天上学校側の担当者はいないようで、僕ら4人だけで面談の様なものが始まった。
「では、改めまして。二人ともご存知の通り、俺は異世界転生観測係の係長兼図書館支部長のミストだよ。君たちの推薦人でもあるけどね」
係長に続いて、僕も軽く自己紹介をする。「相棒」の感覚を知らない以上、どんな言動が刺さるのか、信用に値するのか分からないため、探りながら。
「はじめまして、アズマです。しばらくの間は頼りっぱなしになるとは思いますが、それでも良かったらよろしくお願いします」
観測の経験者である彼らに「相棒」になってもらえたのなら、本当に頼りにしてしまうだろう。いつかは互いに助け合えるような関係性にはなりたいとは思うけれど。相手が人間ではないとはいえ、使役者・使役される者という関係性はあまり好ましくないし。
すると、先程リアスと呼ばれていた青年が口を開いた。
「いえいえ、ミストさんから私達が経験者と伺っているかもしれませんが、せいぜい半年程度でして。それに、観測自体はあまり経験がないんです。ですので、私達のことは同じ立場で接してくださると嬉しいです。もし、アズマさんの通常の話し方が敬語でないのであれば、タメ口で接してくださいね」
何故前回の契約が半年程度にとどまったのかは気になるが、それは今度聞くとしよう。それに、相棒なのだから、タメ口の方が僕も嬉しいし、安心した。
「申し遅れましたが、私はリアス。双頭の鷲の右側の頭です」
そう言って胸に片手を当て、紳士的なお辞儀を座ったまま行った。
「俺はヴェルス。双頭の鷲の左側。こいつと違って俺には観測の経験も、『相棒』らしいことをした経験もない」
ますます彼らの過去が気になってきた。なんだか地雷っぽそうなので敢えて聞きはしないが。
「ただし、私達と『相棒』の契約をするのであれば条件が一つあります」
リアスが構わないかと聞くような視線を係長に向ければ、係長は微笑みながら頷いた。
――ピピッ
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