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第24話 謎の地下通路

 クロスドリアには人々が生活している表通りの地下に、迷宮と呼ばれる地下道がある。迷宮というがモンスターが発生するダンジョンの類ではなく、地上の階段から降りる事が出来る通路のことだ。


 迷宮には道しか存在せず、どれだけ進んだところで辿り着く部屋はない。クロスドリアの施設には地下まで広がる物もあるが、そのどれとも繋がっていない。過去には店の地下と通路を繋げようと試みた者もいたが、およそ1メートルの分厚い壁には傷が付く事はなかった。

 クロスドリアに暮らす人々はそんな正体不明の通路を足元にして、いつか地盤沈下するかもしれないという危険性も考えずに過ごしているのである。




 今日はそこへ迷い込んだかもしれないという老人を探しに、信介達は散らばって探索を行っていた。


「足元の矢印を辿れば帰れるって言ってたけど…薄くなってるなぁ」


 道が分かれる時には、最寄りの出口に通じる道へと矢印が描かれていた。今回の探索はそれの点検も兼ねており、信介は手に持っていた白いペンで矢印を濃く塗り直した。



 捜索を開始してどれだけ時間が経っただろうか。手首に付けた腕時計で時間を確かめようとしたが、時計の針はグルグルと回っていた。


「壊れた…地下に来ちゃったからか?」




「やはり…やはり…」


 不気味な声が聴こえて反射的に身構えた。信介は下へ向かう道を下っていくと、地面に伏せた老人を発見。探索開始前に見せられた写真に映っていた人物と同じ顔をしていた。


「この人か…おじいさん、奥さんからの依頼で迎えに来ましたよ」

「お~そうかそうか。だけどもう少し待ってくれ」


 老人は頭を横にして伏せたままだった。


「この下に何かあるんだ。ほら、耳を澄ませてごらん」


 信介はしゃがんで老人と同じように耳を付ける。しかし何も聴こえなかった。ここに来るまでは自身の足音が響いていたが、この通路は不気味なほど静かだった。


「な、何も聴こえませんが…」

「クロスドリアの下にはこの通路があり、この通路の下にも何かある。そんな気がするんだ」

「そもそもこの通路はなんの目的で造られたんですか?」

「…実はそれがな、誰にも分からないんだ。大昔にクロスドリアが完成してからしばらくして発見されたんだ。雨宿と同じで、いつの間にか出来上がっていたんだ」

「雨宿はこの国の人が造ったんじゃないんですか?」

「おそらくだが、この国にいる誰かが造った…しかし、この通路同様、工事の記録が一切ないんだ。隠蔽された形跡もなく、非公式に工事が行われたと考えるのが妥当だが…しかし不思議じゃないか?この通路も雨宿も、こんな立派な物を造っていたら誰かしら気付くはずだが…すまないな、こんなミステリー好きな老人に付き合わせてしまって。それじゃあ地上に帰るか」



 信介が老人を連れて戻ったと同じタイミングで、信彦達もクロスドリアの路地へと上がって出て来た。地下ではハッキリとした状態で喋っていた老人は、奥さんと再会した途端にボケてしまった。


「おぉ~今日はいい天気じゃの~」

「こら!心配掛けさせないで!すみません!夫を見つけてくださってありがとうございます!」


 ノアはクエストの報酬を受け取って老人達を見送った。


 無事に見つかって良かった。そんな風に微笑む仲間達とは違い、信介は老人から聞かされた話に違和感を覚えていた。


 しかし、雨天皇との関連性は一切ない。信介はこのことをノア達に相談することはなく、やがて忘れるのだった。

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