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【男女比1:10】もしも俺が転生したら…【俺に優しい世界】  作者: ばてぃ~
【八剱夜人育成応援キャンペーン編】
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29:(閑話)蕗薹あづみ視点 負けたくない想い


(負けないっ!!)


第2走者のヒノちゃんからバトンを受け取った私は、一心不乱に駆け出した

幸いにして皆の御蔭で蓮華ちゃんと比べて僅かにリードしてスタートする事が出来た


でも…蓮華ちゃんは油断できない

練習で一緒に競争した時、私もいつもあと少しで負けてしまって居るのだ


(そう考えれば最悪でも同時にアンカーにバトンを渡す事が出来る!!)


アンカーの愛ちゃんは私よりちょっとだけ遅い程度、それに比べて紅組のアンカーであるなっちゃんは愛ちゃんよりも遅いのだ

そういう意味では余程の事が無い限りは白組の勝ちは揺るがない


(だったら…私が転んだりせずにいつも通りに頑張って走ればいい)


万が一、蓮華ちゃんに抜かされたとしても僅かな差であれば愛ちゃんが容易に抜き去ってくれるだろう

我ながら完璧な作戦だ


(完璧な作戦…なのに…)


理屈ではそれが正しい事なんてとっくに分かっている

でも…蓮華ちゃんに言われた言葉がどうしても脳裏に浮かび上がって来る


『どちらが夜くんに相応しいか勝負しよう』


夜人くんは別にこのリレーだけを見て、女の子を評価する子じゃないって事は、この2年間で充分に理解している

勝ったら「凄いね」って褒めてくれるだろうし、もし負けても「頑張ったね」って言って慰めてくれる

そんな事は誰よりも理解しているんだ

しているんだけど…


『どちらが夜くんに相応しいか勝負しよう』


勝手な挑戦状だろうと、夜人くんが絡んでくると冷静になり切れない

お友達の蓮華ちゃんにだって負けたくない気持ちが沸き上がって来るんだ…



ーーザッ、ザッ、ザッーー



そんな私の感情を逆撫でするかの様に後方から少しずつ私に近づいて来る足音が耳に聞こえて来る

誰の足音か…勿論、蓮華ちゃん以外にはいない



ーーザッ、ザッ、ザッーー



愛ちゃんの所まで残り約15メートル…


(ダメッ!!愛ちゃんにバトンを渡すまでに抜かれちゃう!!)


抜かれても僅差であれば問題ない…問題ないんだ…

そんな冷静にあろうという気持ちと裏腹に蓮華ちゃんの足音はドンドン近づいてくる

私はそんな足音に翻弄されて徐々に動揺してしまう



『どちらが夜くんに相応しいか勝負しよう』



(っ!!)


不意に頭の中で蓮華ちゃんの言葉が蘇る

そしてそれと同時に、無意識に足の指先に力を込めて駆け出してしまった


(ダメ…ダメ…白組が勝つにはコケる訳にはいかないの!!)


頭では理解しているのに身体は思う通りに動いてくれない

それ所か、意志に反するかの様にドンドン走りに力を込めてしまう



ーーザッ、ザッ、ザッーー



いつもより速く走れているにも拘わらず、蓮華ちゃんが近づいて来る音が遠ざかる様子がない

でも此処まで来たら…


(負けない、負けない、負けない!!!)


それがリレーなのか夜人くんなのかはもう分からない

でも…私はこの勝負に負けてはダメなんだっ!!!

そう思い、足の指先に対してより力を込めて激走しようとした


「2人とも頑張れーーーーーーーーーー!!!!」


(っ?!!!)


その声が聞こえた瞬間、身体にフッと力が抜けた

急に抜けた力は空回った事により、足の指先のバランスを崩してしまい…

私は身体全体のバランスが崩れて体勢が傾いてしまった…

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