12:アニメでしか見た事のない人
「おはようございます!!」
次の日、俺は2年ほど前からお世話になっている道場の入口で頭を下げる
そして道場主の返答を聞かずに更衣室に向かい、道着に着替える
「失礼いたします!!」
そして稽古場に入る一歩手前で一礼して、中心部で正座して師範を待つ
この時間帯は俺と師範、偶に師範代理が居るだけで場の空気がシンッとして何とも心地よい
まぁ例に漏れず麗さんが死角に潜んでいるけれど、そこは気にしない
そんな事を思っていたら、道着を着た女性がズカズカと道場に入って来る
「おう夜坊、相変わらず時間通りだなっ!!」
「師範、お早うございます」
「はいよ…じゃあ取り敢えず一礼しとくか」
いつもの様に神棚へ一礼し、その後に向かい合って互いに一礼する
しかし・・・この世界の女性は誰も彼もが美人さんだ
目の前の女性師範も例に漏れずそれに該当する
「ん、何だ?私の美貌に見惚れたか?」
「・・・寝ぐせがついてます」
「まぁさっきまで寝てたからな」
「そういう問題じゃないです」
身なりさえしっかりしていれば男が少ないこの世界でも道行く男たちを振り返らせる位の美貌は持ち合わせているだろうに・・・
そんな残念なモノを見る目を見惚れたと勘違いされたので思わず話題を逸らしてしまった
「ではいつも通りストレッチを行い、すり足から始めるぞ」
「はい」
師範は露骨に話題を逸らした俺に反論する訳でもなく、いつも通りに稽古のメニューを指示してくる
俺は俺とてこれ以上話題を追求されるメリットはないので稽古へと気持ちを切り替えた
◆
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「では今日はここまでだな」
「あ、ありがとう・・・ございました・・・」
肩で息をしながら神棚と師範に一礼をした後に思わず仰向けに寝転がってしまう
行儀は良くないが・・・今日は見逃してほしい
「しかし夜坊は5歳とは思えない身体能力を持っているな」
「いや・・・とは言え・・・5歳ですから・・・もう少し・・・練習内容を幼児用に変えて貰っても・・・い、良いんですよ?」
「ちゃんと夜坊用に考えて行っているぞ?」
「は、話・・・聞いてました?」
息も絶え絶えツッコむとハッハッハッと笑いだす
この人のこう言う豪快な所は嫌いじゃないが・・・今日はハードだった
「ところで師範「葵さん」」
「いや師「葵さんだ」」
「い「葵さんだろう?」」
この人はこう言う所があるのが面倒だ
稽古中は師範と呼ばせるにも拘わらず、稽古が終わったら名前で呼ばないと不貞腐れるのだ
因みに師範の名前は『武ノ宮 葵』
【極道流合気術】の3代目師範だ
豪放磊落という文字を正に性格にした様な人であり、基本は何も気にせずにその豪快な性格で笑い飛ばす様な人だ
その性格なら合気道では無く、空手等の方が合っているのではないか?と思わなくも無いが、それでも彼女の合気道に於いての実力は麗さんのお墨付きだ
「・・・葵さん」
「なんだ?!」
「最近は棗さんにも会っていないですがお元気ですか?」
「おぉっ!!棗が気になるか?!!こりゃ棗にもワンチャンあるな!!!」
「ワンチャンって何ですか?!世間話の一環ですよ!!」
そんな事を話していると・・・
ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ
後方から凄い勢いでこちらに走って来る音が聞こえて来る
「呼んだっ?!!!!」
そして扉をピシャンと開けたと同時に金髪ツインテのアニメでしか見た事のない少女がこちらに向かって叫んできた
本日もジャンル別日間ランキング第5位有難う御座います。
ここまで残ると思ってませんでした 笑笑
本日も2話更新させて頂きます
頂きますが、本日分差し引いてストック残3です
その後は即アップ形式になると思いますので、申し訳ないですが何卒宜しくお願い致します!
今後も本作を宜しくお願い致します!




