11:因みに焼き魚は鮭でした
「夜人様、本日もお疲れ様でした」
「いえいえ、麗お姉ちゃんも有難う御座いました」
保育園は無事に終わり、俺は車に揺られながら帰宅の途につく
後は帰宅して風呂に入り、ご飯を食べてゆっくりするだけだ
「麗お姉ちゃん、今日の晩御飯は何?」
「はい、今日は焼き魚と豚汁、ご飯と温玉と冷奴の予定です」
「うゎ、想像しただけで美味しそう・・・」
「フフッ、有難う御座います」
そんな何てことない会話を楽しんでいると、ふと思い出したかの様に麗さんが口を開く
「そう言えば夜人様、アスレチック競争に出られる事は奥様や月様にお伝えしなくても大丈夫でしょうか?」
「ん?どういう事?」
「お2人方の性格上、出場する種目の中で1番ケガのリスクが高い為にお2方が取り乱すのでは?と思いまして・・・」
「あっ!!」
確かに・・・超絶過保護(この世界では普通)のお母さんと、超絶ブラコン(この世界でも普通じゃない)月姉さんが何も言わない訳が無い
「あぁぁぁ~・・・」
「・・・忘れてたんですね?」
「うん・・・まぁ・・・でも取り繕っても本番でバレるし・・・家に帰ったらちゃんと話するよ」
「それが良いかと」
(運動会かぁ・・・)
其処で一旦話は区切られ、今日の練習を思い返す
去年と違い、今年は零が居るからか、比較的平和的なチーム分けが出来た反動だろうか?
りんちゃんやメイちゃんやさつきちゃんも俺と同じ組でガッカリとした表情を浮かべられなくて良かった
本音では3人もいれば少なくとも2人は零と同じ組を求めていた筈だ
雪ちゃんの兄というだけあり、それだけ奴のキラキラ感は半端ないのだ
(まぁ平和的に終わればそれが1番だよね)
気になるのはさつきちゃんの態度だ
別に竹馬が苦手な事自体は良いと思う
苦手ならば練習すればいいだけだしね
けれど彼女は委員長タイプであるが故に自分は完璧でないとダメだと思っている節がある
だからこそあの時に滅茶苦茶上手いりんちゃんの後に竹馬をしなかったのじゃないか?と予想している
(まぁ・・・どっちにしても明後日に保育園に行った時に話するしかないよなぁ・・・)
今年で俺の保育園運動会は終了するのだ
俺だけでなく、出来る限りみんなの思い出になる様な運動会にしたい
そんな事を思いながら、「今日の焼き魚の種類はなんだろうなぁ・・・」と焼き魚にも思いを馳せた
◆
◆
ーーーカランーーー
お分かりだろうか?
・・・箸が落ちた音である
「・・・・・・」
お分かりだろうか?
・・・呆けた表情を浮かべるお母さんである
「夜人きゅん・・・そんなハードな種目、ケガしないの?」
「お母さん、アスレチック競争はアルパカ組だけがやる競技だから1番ハードでこけたりしやすいわ」
「っ?!!そ、そんなのダ、ダメでしょ?!!」
わーわーきゃーきゃーとお母さんと月姉さんが心配して反対してくる
けどこの2年で俺もそれなりに動ける様になったし、性格柄走るだけより色々と動きたい
何より今更みんなに「あ、ダメでした」なんて言いたくない
「お母さん、月お姉ちゃんも。僕も道場に通ったりして運動神経が良くなってるから大丈夫だよ。クラスでも運動できる方なんだよ」
「でもっ!「それに・・・2人にカッコいい所を見てもらいたいなぁって。・・・ダメ?」
ブーーーーーーーーー
・・・お分かりだろうか?
お母さんが鼻血をだした音である
因みに月姉さんは涎を垂らしている
はぁ・・・この必殺技はいつまで効くのかなぁと俺の説得に敗北した2人を見ながら思ってしまった




