1:時は巡って…
「さ・・・行くか・・・」
コーヒーカップを置き、時計を眺めながら1人でそう呟く
朝の身だしなみを整えて外へ出る準備に取り掛かろう
転生して早くも16年・・・俺も高校生になりました
・・・昔の様にこの世界の常識に右往左往される事は無くなり、順風満帆な次の人生を踏み出せる様になったと言えるだろう
あれから俺も成長し、身長も180近くあり、通っている合気道の御蔭で細マッチョな体形になった
前世チートで学業も上位に食い込んでおり、名門校と言える高校に通う事も出来た
嫁候補も何人かいる為、俺の人生はまさに勝ち筋が見えている人生だと言っても過言は無いだろう
「夜人様、そろそろお時間です」
麗さんも俺が中学生になってからは俺の護衛官から離れた
護衛官が常に傍にいるのは小学校一杯までらしい
「夜人様、そろそろ向かわないと遅れてしまいます」
あと学校では・・・え~と・・・楽しい生活を送っている
辛い事があっても楽しいと思えるのならば楽しい生活だよね、うん
あとは・・・え~と・・・
「夜人様っ!保育園に遅れますよ!!」
「はいっ!すぐ行きます!!!」
いかんいかん・・・脳内のエア高校生ゴッコは終了し、保育園に向かう準備を始める
保育園に行き始めてから2年、俺も保育園の年長さんになった
月姉さんは今年から小学生となり、通学は別々だ
小学生女子のコミュニティを円滑にするためには朝は友達と通学した方が良いだろうと思い俺が提案したが・・・あの時はギャン泣きされて大変だった・・・
俺自身も少し寂しいが・・・お互いに依存してしまってはいけないのだ
うん、いけないのだ
「ごめんなさい、準備できました」
「いえギリギリ大丈夫です。それでは向かいましょう」
「はいっ」
そうして麗さんに連れられる様にして俺はいつも車に乗り込み、保育園に向かった
◆
◆
「おはようございます」
「夜人くん、おはようございます」
「夜人くんおはよう!!」
「みんなお早う!!」
何だかんだでこの保育園も2年通った為に、顔見知りは非常に多い
因みに今の俺は最上級生クラスの「アルパカ組」さんだ
アルパカ組の教室の扉を開き、一通り挨拶をしながら自分の席へ向かって行く
「お早う、夜君」
「夜人くんお早う・・・まだ眠そうね」
「お、おおお早う御座います・・・」
「蓮華ちゃん、あづみちゃん、雪ちゃん、お早う」
何の因果か・・・2年間の間で何度か席替えが行われ別々の班にもなったりしたが、今回は1番最初の時と同じ班だった3人娘が同じ班員だ
「お、夜人じゃないか?!」
・・・違った
もう1人新しい班員が居たんだった
「おい夜人、無視するなよ?!俺様だぞ?!」
「・・・分かってるよ、朝から騒がしいなぁなんて思ってないよ・・・お早う零くん」
「それ絶対思ってるだろーーー?!」
朝から異常にハイテンションなのが同じ班員であり、雪ちゃんの双子の兄である零だ
2年前から零も保育園に登園する事になった
最初は男特有の(?)我儘な部分があったりしたのだが、その都度俺が諫めて根気よく説明し、保育園に溶け込める様に頑張ったお陰で今では周りにも怖がられる事無く保育園に通い続けている
「・・・何考えてるんだよ?」
「いや・・・零くんは瘦せたなーなんて思ってないから」
「それ絶対おもってるやつぅぅーーーー!!」
そうなのだ
彼はこの2年間、バランスの良い食事を取り、適度に運動をし続けた事によって、ふくよかすぎる体形から幼児特有の丸みを帯びた体形にまで痩せたのだ
そうなれば雪ちゃんを見て分かる通り、零は美男子となり、保育園中のアイドルだったりする
俺?いやまぁ俺も母さんや月姉さんを見て分かる通り美形ではある
美形ではあるが・・・自分から前に出るタイプではないのでアイドルという程ではない
そんなこんなで俺の保育園生活は日々充実している




