22:男は泣いた数だけ強くなる・・・のか?
昼食の後、モモンガ組のみんなは紙飛行機を持ってグランドに向かっていく
各々が作成した紙飛行機を片手に青空に向かって走り出しているのを見るのはなんとも微笑ましいものだ
ここら辺は意外と男女は関係ないらしい
「じゃあみんな、紙飛行機を持ちましたね?」
「「「はぁ~い!!」」」
「じゃあ1、2の3で飛ばしてみましょう!!いきますよ~・・・1、2の3!!!」
「「「それ~!!!」」」
先生の掛け声の元で園児のみんなが一斉に紙飛行機を飛ばす光景は大人目線で言うのならば綺麗だった
大人目線であるのならば・・・だが・・・
「・・・・・・」
俺の足元には『夜人号』が他の紙飛行機と仲間になれずに佇んでいる
残念ながら俺の『夜人号』は10cmも飛ぶことが出来ずに重力が発生しているのかという勢いで地面に向かって行ってしまったのだ
「・・・・・・」
みんなの歓声を尻目に俺は『夜人号』を拾って再度空に向かって飛ばしてみる
ーーポスンーー
・・・飛ばしてみる
ーーポスンーー
・・・飛ばしてみる
ーーポスンーー
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
何でだよぉーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
思わず叫んでしまいそうになる位に『夜人号』は飛んでくれない
見かけは先生や3人娘の協力もあり、クラスのみんなと遜色ない出来になったと思う
・・・まぁ折っているのが俺だから若干ガタついているのはご愛敬だ
それでも飛ばないっ!!
俺が心身ともに子供だったらガチ泣きしているレベルで飛ばない!!
どうした『夜人号』?!!
お前の力はそんなものじゃないだろう?!!!
「どうしたんだい夜人くん、君に哀しそうな顔は似合わないよ」
「・・・蓮華ちゃん」
「君の紫色の紙飛行機だけが飛んでいないからどうしたのかな?と思ってね」
因みにリテイクを重ねた事により青色の折り紙は無くなり、俺の『夜人号』は紫色にバージョンチェンジしている
「いや、みんなに協力して貰った紙飛行機だけど・・・折ったのが僕だからか飛ばないみたいだ」
やれやれと言った表情を浮かべながらそう伝えると、蓮華ちゃんは不思議そうな顔をする
「そうなのかい?見た所そんなに飛ばない事は無いと思うのだが・・・ちょっと借りても良いかい?」
「勿論良いよ」
俺がそう答えると蓮華ちゃんは俺の『夜人号』を手に取り、空へ向かって飛ばそうとする
「えっ?!!!」
「おぉ~・・・意外と飛んだね」
そう・・・蓮華ちゃんが『夜人号』を飛ばすと、そのままフワフワと山なりにではあるが空に向かって飛んで行った
そしてそんな『夜人号』を見て、同じクラスの女児たちは「わぁ!!」「夜人くんの紙飛行機だ」と口々に『夜人号』に対して歓声を上げてくれた
(夜人号・・・良かったな・・・)
自分の作った紙飛行機が空に舞う様を見て感動を覚えてしまう
「夜人くん、君が作った紙飛行機は決してダメなんかじゃない。君が作ったからあそこまで飛んだんだよ。」
「蓮華ちゃん・・・」
蓮華ちゃんは俺にそう言い残して、他の園児友達の方へ歩いていく
その後ろ姿を見て、胸がトゥクンとでも鳴りそうな勢いだ
蓮華ちゃんは男よりもイケメンだなぁ・・・等という感想を思わず漏らしてしまいそうなイケメンさだ
でも、ね・・・蓮華ちゃん
紙飛行機はみんなの御蔭で飛ぶ事は理解出来た
じゃあ『夜人号』が飛ばなかった理由はなんだろうね・・・?
それを考えてしまうと、俺は心の中でそっと自分の涙を拭うのだった




