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ラーニング(改訂版)  作者: ペンギンMAX
白銀の円盤編
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第六十一話 取り巻く国の一場面

 目の前では信じがたい光景が繰り広げられています。

 筒から眩い光数本発したかと思うと、襲ってきた魔物がバッタバッタと倒されていく。

 雷を纏う光が過ぎ去る度に、魔物の死体が量産される。

 光を放つ物は、槍のように長く、全体を黒光した光沢を放っている。


 まるで神話に出てきそうな神々の武器を思わせるその黒光りした槍は、今回の戦闘もいとも簡単に終わらせました。

 黒光りした槍は、光を放ち煙を上げ全ての魔物が死に絶えるまで怒り狂った後ようやく沈黙する。

 黒光りする槍のような武器は、戦闘が終わった後も高揚したかのような白煙の如き水蒸気を常に発していて、まるでまだ暴れたりないとでも言わんばかりに……


 そんな黒光りする槍を扱う私の雇い主は、満足げな笑みを浮かべています

 この目の前の雇い主と共に、同じような何度も戦闘を間近で見ているが、とてもこの様な非常識な戦い方をするように見えないお子様なのです。

 だって年の頃は12・3才で背丈も小さい。

 同伴している妹の方が姉に見える位に幼いのですから。

 

 本来なら今倒した魔物のランクはA。

 一流の冒険者で、しかも年を重ね経験を積みSランクと言われるような化け物になったつわものが倒せる魔物達だ。

 決して今、目の前に居るような子供に対処できるような魔物ではないです。


 それなのに、当たり前のように魔物を倒し、全くと言っていいほど余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)で余力を残し、自分の事よりも使用した黒光する槍の性能テストをするような……

 そんな非常識この上ない雇い主を、私は改めて凝視します。


「あ?どうですかコレ。見た感じ、良さげですかね?」


 屈託なく笑いながら、黒光する槍を自慢げに見せてくる。


「え?ええ、良いのではないでしょうか」


 つい吊られて当たり障りのないことを言ってしまう。

 だって、『どうですか』と聞かれても、答えなんて解る訳がないじゃないですか!


 魔道具自体はそれほど珍しくは無です。

 こんなのは見た事が無い…いえありえないものです。

 何時ものごとく困惑している私の事などお構い無しに、私の雇い主は落ち着き払って呻き出します。


「ん~~~・・・・もう少し砲身を伸ばすべきかな~、確か砲身が長いほど威力が上がる原理だったと思うしな~・・・」


 ええ、もう無視ですか。

 慣れましたけどね、アハハハハ


「お兄・・・まだ、それ以上の威力を求める気なの?」


 雇い主の妹君ぎみがなにやら物騒なことも仰っておいでです。

 どうもこの兄妹の求める力は、私など想像も付かないような次元なのでしょうか?

 それとも私の力が矮小過ぎて、考えがおかしくなっているのでしょうか?


「ああ、伝説級の魔物と戦っても良い位にはしないといけないからな~」


 え?!伝説級……

 雇い主は何と戦おうと御考えなんでしょう?

 もはや目指すところが遠過ぎて、眩暈がしてきます。


「・・・でも此れは・・・もう十分じゃないかと思うよセシリーは・・・」


 そうですとも、そうですとも。

 言ってやってくださいセフィリア様。


「そうかもしれないけど、俺達には時間もない。出来るだけ思い付いたら実践していきたいんだよ」


「そっか、そうだよね。うん♪お兄の好きにすれば良いよ♪」


「ああ、遠距離攻撃の手段は欲しいからね」


 ハハハハ

 もう乾いた笑いしかおきません。

 兄が兄なら妹も妹ということでしょうか?

 どうやら私が思いを馳せるべき存在ではなかったようです。


「さて、ヴィオラさん~もう良いですよ。魔物は退治したんで安全ですから、先に進みましょう」


「ヴィ~たん~行こう行こう♪」


 今の会話に何ら疑問などないかのように移動を告げる兄妹。

 私はつい脱力気味に溜息を付きます。

 だって2人して子供らしく愛らいい満面の笑みで私を誘ってくるんですから卑怯ですよね。

 驚き困惑している私なんかが小さく感じますよ……


 彼らから離れた位置で、木陰に身を潜めていた私は、異常な2人に恐る恐る付いて行きました。

 2人の側まで行く端から、今倒し切った魔物の死体が幾つも転がっています。

 とても無念そうな顔が印象的です。

 私は武者震いと共に死体になった魔物を一瞥するのです。


 2人が倒したのは【ヘルケルベロス】というランクAの魔物…

 3Mを超える大きな体躯。

 物理攻撃を寄せ付けない体毛。

 大きな体格に似合わず、機敏に動ける四肢。

 そして、特徴的なのが頭・・・


 ヘルケルベロスは3つの頭を持ち、その全てが其々3属性のブレスを放つと言います。

 火と闇と土を操り、冒険者を物理と魔法で圧倒する。

 まさに冒険者にとって死を司る魔物のですよ?


 それを・・・

 たった2人で、しかも剣も魔法も使わずに変な黒光りする槍1本で倒したんです。

 2人で1匹倒すのだけなら、まだ無理やりにでも2人が凄いんだな~っと自分を納得させられただろうと思います。

 思いたい……

 ちょっと幼いけど、世界有数の実力を持った子供だったと思えば。

 思えるのかな~?


 でも、わたしが現実逃避したいという想いも、魔物の死体の数で打ち砕かれます。

 魔物の死体は全部で16個・・・

 普通に都市が壊滅してもおかしくない数です。

 それを難なく退ける2人に、私はもう諦めと焦燥で歩き始めた2人の背中を見つめるのでした。


 ああ、そうそう、剣は使っていました。

 セフィリア様だけが。

 しかし、その剣は異常なほど大きく、丈夫で切れすぎです。

 ヘルケルベロスの首をサクッと切れるなんて・・・

 あくまで試し切りのようですが、とても女の子の動きではありませんでした。

 ああ、何だか思い出すだけで私の精神がガリガリ何かに削られるような思いです。

 私だってそれなりに強いと思ってたんですよ。

 なのにその自信が無くなり、更にマイナスにまで行きそうです。


 それとラルス様、そうそう雇い主の男の子はラルスと言います。

 ラルス様に至っては、ヘルケルベロスの攻撃を避けるだけで、本当に黒光する槍だけしか使っていません。

 もう常識やなんやが崩れていく私は、トボトボと2人の後ろを付いて歩いていくだけでした。


 ケルベロスとの戦闘場所より離れること少し。

 余り詮索はしないと言うもう1人の雇い主の言葉も忘れてつい、ラルス様に問うてしまいました。


「あの・・・其の黒い槍はいったい?」


 まだ乙女の私です。

 思っていたとしても『黒光する』という形容詞を口に出していえません。

 ですので、あえて槍と申し上げます。


「ああ、槍?っと此れのことですか?」


「はい」


「あ~不思議に思いますよね~ハハッハ」


「は……はぁ?」


「すいませんコレの事でしたよね。これは【レールガン】といいます」


「れ・・・れるーがん?」


「いえいえ、レールガンです」


「はあ・・・」


「まあ、名前を言っても解らないでしょうね。そうですね~…そうだ!これはですね雷の力で凄っごい威力の弾が飛んでいって相手を粉砕する物だと思ってください」


「雷?玉……?」


「いえ、玉ではなく弾です。本当は弾丸と行った方がいいのかな?・・・これですよ」


「だがーん・・・?」


 私が話に付いていけないと見たラルス様は【弾丸】という物を見せてくれます。

 彼の手の平には、第2関節まである人差し指の長さをした不思議な金属の塊があって、とてもさっき見た凄い破壊力を出すものには見えません。


「此れですか?そのだっがーんと言うものが?」


「ふふ、弾丸です。これがこの筒から飛び出して魔物を倒したんですよ」


「そう・・・ですか・・・」


 見せてもらっても何ら理解することは出来ないです。

 それよりも槍と思っていたのは筒だそうで。

 どうやら何もかもが私には未知なる物だったようです


 黒光する槍を改め筒から、なぜ此の弾丸と言うものが飛び出して、しかもあんな光と威力で魔物を倒せるかなど解る筈などありません。

 折角彼らについて有益な情報が聞けたとしても、それを理解しなければ説明も出来なです。

 出来たとしても、所詮は見たことをそのまま伝えるくらいでしょう。

 

 私は本日何度目になるか解らない溜息をつきつつ、彼らのまたトボトボと後を付いて行きます。

 目的地はもう直ぐそこです。

 目的地付近にはケロベロなど赤子のような存在になる、より強力な魔物が生息している地域です。

 案内役なのに、もう幾日も2人の後ろを歩きます。

 だって、魔物に襲われても私の力では対処できないのですから。

 もちろん此処に来るまでは、彼らを導く為に前を歩いていたんですよ?

 ええ、随分前ですけど…


 さて、お気づきの通りに私の仕事は、2人目的地に案内する事です。

 私が2人を望む地へ、最短で、最善の方法で連れて行くことが仕事です。

 俗に言う『ガイド』という職業で、今雇われているのが2人と言う訳です。


 まあ、ガイドと言っても、普通のガイドではないんですけどね。

 冒険者兼ガイドであり、更に違う顔があります。

 そっちは絶対にバレてはいけない。

 我が敬愛する陛下の為にも、絶対にバレる事があってはなりません。


 この任務に付いてから、もう彼是1カ月は彼らと共に過ごしています。

 一緒に過ごせば過ご過ごす程、2人の凄さに驚くだけで驚きを止める事など出来よう筈もなく、毎日が驚きに満ちた日々です。

 驚き驚きと何度も言いますが、重要なので何度でも言います。


 案内を開始し始めて、2人が此の1ヶ月の間に踏破した迷宮は3つ。

 『帰らずの迷宮』・『セルベクト平原ザバルの塔』・『三叉の回廊迷宮』

 これ等は誰一人として最深部に辿り着いていないもので相当の難易度を誇ります。

 それぞれに特徴があって、難易度と言えども様々です。


 トラップが多く、進むに面倒だから踏破されることなく放置されていたもの。

 魔物の質やドロップが良くないので放置されているもの。

 迷宮深部のボスが強すぎて放置されているもの。

 色々と問題があって未踏破なだけで、有名なものでない迷宮と言えばいいでしょうか

 普通に考えれば有名な迷宮や一括千金狙いの迷宮に赴くのが普通です。

 ただ、未踏破かというとそうではないのですが。


 何故未踏破ばかり狙うのかは知らされていません。

 でも、なんとなくは理解できています。

 なぜならば、其の原因を私のもう1つの顔が知っているからです。

 前を歩く2人の背を見ながら、此処まで来た原因となるあの出来事を思い起こすのでした。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「・・・で、妾の誘いにのって来なんだ愛しき者は、今何処ぞで何をしとりゃ?」


「っは、現在彼の者は2週間前に宿を引き払い、ウセル共和国北西の『帰らずの迷宮』に向おうとているとの事です。彼らは、目的の達成に必要なアーティファクトを求めると思われまする」


「ふむ、それでまず手近な『帰らずの迷宮』を目指すのかや」


「っは!それと彼の者は、此の大陸の迷宮の位置に詳しい案内人を探しているとの情報も齎されております」


 報告をする男の言葉に、ユリアンナは口の端を釣り上げ、ニタリっと笑った。


「では、其の案内人を妾たちで用意立てするとしようかえ。ご苦労。下がってよいぞ」


「っは!」


 男が退室すると、部屋にはユリアンナと護衛の側付きが残った。

 この護衛兼側付きこそヴィオラだった。

 今回ユリアンナの国政改革に伴い、その護衛に大抜擢されたのだった。


 男の居なくなった空間でヴィオラは思う。

 警護の為に、常にユリアンアの側に居るのだが、どうしてももう1人の気配を感じている。

 それが何処にいて誰なのかは解らない。

 常に気配を感じる為、ヴィオラは緊張が継続して毎日気が休まらない。


 今もそうだ。

 部屋の中にはユリアンナとヴィオラしかいない。

 なのに3人目の気配が感じられる。

 

 何時も感じる違和感に警戒しながらユリアンナの方を見る。

 何があってもユリアンナ様を守ろうと。


 暫くは何の動きもなかった。

 なかったのに!


 今までに感じた事が無い程ユリアンナ様に近付く気配を感じる。

 あの気配が初めて妙な動き晒したのだ!


 咄嗟に腰の剣に手を掛け、臨戦態勢をとるヴィオラ。

 見えない気配では在るが、ここまで近付けばある程度は目測も付く。

 ヴィオラがユリアンナを守るべく行動しようとしたその時。


 ユリアンナはそれを手で制してヴィオラを止める。

 意味も解らず、その静止に戸惑いながらもユリアンナに従うヴィオラ。


 ヴィオラは静かに佇み、何かに聞き入っているユリアンナを見る。


「であるか・・・ではそうするかの」


 誰もいないのに、何かに応えるユリアンナ。

 答えに答えが無いが、納得した表情でヴィオラに向き合うユリアンナ。

 そして制した手を下ろし、深く息を吐いてユリアンナはヴィオラに命令する。


「ヴィオラ、其の方に大切な役目を申し付ける」


 何がどうなったか解らないままに固まるヴィオラ。

 そんなヴィオラにユリアンナは王命を下す。


「妾の願いを訊きたもう。そなたは此れより冒険者に戻り、彼の者の『ガイド』となりゃ。どんな無理難題でも聞き届け、彼の者の望むように案内できるようになりぃ。出来うる限り仲良くなり、気を許せる間柄になってきぃや。絶対に『ガイド』になってラルスの懐に入って来りゃれ。彼の者の名はわかっておろう?ラルスじゃ。其の者の『ガイド』になりゃれ」


 ポカンっとなるヴィオラ。

 彼女の仕事は警護。

 しかも女性であるが故に、警護とは別にユリアンナの身の回りも世話する。


 現在幼少ゆえに皇太子として擁立されたカミエルの為に国政を行うため女帝となったユリアンナには、男性では入り込めない聖域が多い。

 だから貴族のしきたりに従い、聖騎士の職に付いたヴィオラが此処にいるのだ。

 騎士家業を嫌い冒険者をしていたヴィオラではあるが、ユリアンナの護衛の為に冒険者を辞めてまで宮仕えになったのに。

 王命とはいえ承服しかねる命令だった。


 今の職を解任され、あまつさえ見た事も無い、見も知らぬ『彼の者』とやらの『ガイド』になれと。

 前代未聞の命令に、唖然とするのは仕方が無いことだろう。

 王命により任務を遂行することは良い。

 でも、何故今此処から退き、新たな任務に付くのかが理解できない。


「ふむ、不服そうじゃな~じゃが仕方なかろう?妾の側に仕えられるほどの腕、今すぐに叶えたいと妾が想う願いに直ぐに対応できる人材。しかも・・・妾が此の願いを頼める唯一の家臣。そなたしかおらぬのじゃ。頼むヴィオラ、妾の為に一肌脱いでたもれ」


 女王に面と向って此処まで言われれば、自身の理解が追いつかなくとも、了承するしかないだろう。

 ヴィオラは観念すると共に、ユリアンナの信頼を一手に受ける自分に酔い、その願いを訊くべく返事をする。


「っは!陛下の勅命、確かに拝命致しました。直ぐに準備をし、必ずや彼の者の『ガイド』になって陛下の願いを叶えてまいります」


「頼むぞよ」


「っは!・・・で、つかぬ事をお聞きしますが宜しいですか?」


「よい、申せ」


「っは!『ガイド』になり彼の者の要求に応えるのは良いのですが、それだけで宜しいのでしょうか?彼の者の様子や、見知った事を間者を通じ、逐一ご報告するべきでしょうか?」


「いや、それには及ばぬ。ただ、彼を誠心誠意サポートして存分に仲良くなってこりゃれ。ただ、身分は晒さぬよう。それだけじゃ」


「っは!」


「では、彼の者を良く助け彼の者の望みを叶えておくれ」


「っは!陛下の御為に!」


 王命によりラルスの『ガイド』になる為にヴィオラは、瞬く間に必要な全ての地理を記憶し、迷宮毎の特徴まで覚えて自らの有用性を高めていく。

 それ以外にも、ラルスの望みそうな情報を、諜報員から聞き頭に叩き込んで居た事が功を奏した。

 その甲斐あってか、ラルスの出したガイド募集の面接に通ったのは言うまでもない。

 こうしてヴィオラは、その後ラルス達の『ガイド』になる。

 

 っと、此処まではヴィオラも知る流れ。

 此処からはユリアンナともう1人の会話になる。


 ヴィオラは張り切って部屋を退室したので、其の後の会話を耳にしていない。

 今回の任務に、どんな意図があったのか?

 そして、感じていたもう1人の気配が喋った事すらも・・・


「行ったの~」


「行きましたの~」


「して、此れで良かったのかや?」


「はい陛下。競売所にて、彼の委託した【エリクサー】を高額で落札も致しましたしの~」


「しかし妾の誘いにはのらなんではないか」


「ほほっほほ、会ったとしても顔合わせという側面しかかなったじゃろうて?だから袖にされても構わぬよ。むしろもっと後で会見する方が良かろうて。今回の『ガイド』にしてもそうじゃ。上手くいけば、彼は、我々の事を知ったとしても無下には出来んじゃろう。あやつ、妙に律儀なところがあるからの~アルティナ国に悪感情はあっても、個人的には無いじゃろう。恩義も少なからず感じれば、わし等の望みをも叶うかも知れぬて。其の為の布石じゃからの」


「まあ、そうせねば彼をアルティナ国に引き込む切欠にもならんからの・・・」


「しかし、陛下がラルスに興味を引かれるとは・・・長生きはするものじゃて」


「ふふふ、興味・・・っか。そうじゃな、妾の目的には彼の力は魅力的すぎての~・・・もっと早く彼の存在を知って起きたかったわ」


「それは・・・あの事件の報告で知ったのじゃから仕方が無いじゃろ?」


「そうじゃの・・・して、その報告じゃが・・・あの女はまだ仕えるのかや?」


「多少精神的に問題がありますじゃが、まあ使えんことはないじゃろうと思うております。それに少なくともラルスは、彼女を悪くは思っておらんと思いますぞ?オイゲンについては微妙になっておるようじゃが」


「ああ、そう言えばオイゲンはお主の後釜に座ったそうじゃな」


「・・・・・・・・・」


「ふふ、今回のウセル共和国との同盟調印が終わって、国に帰れば挨拶に来るそうじゃ。お主も一緒に挨拶を受けるかえ?どうじゃ?」


「御冗談を・・・」


「ふむ・・・言い過ぎたかの。すまぬ、戯れじゃ許せ」


「勿体無きお言葉・・・それでは、ワシは国内の整備に戻るとしますじゃ」


「ああ許す。っと言われても、常に側に居るようなものなんじゃから何も代わらんと思うが?」


「ほっほほ、そうですじゃの~でも、一応はお言葉をおかけしませんと。ではこれにて」


「うむ」


 会話が終わり、静寂が訪た。

 これがヴィオラの知らぬ会話。

 ラルスを取り巻く国同士の駆け引きの一一場面であった。

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