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100分の2の青写真《ブループロット》〜不便な時代もいいとこあるじゃんっ!!〜  作者: 優月菜


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外伝・祐希が言った「それは分からない」の先のお話===加筆・修正あり


本編完結後も外伝までご覧下さり、誠に有難うございます。


毎日、毎日、まだご覧頂いている方々がいらして薫子と祐希の物語が皆様の御目に触れているかと思うと本当に感謝しかありません。


ご完読頂いた方もいらっしゃると思いますが、いかがでしたでしょうか?

もし宜しければご感想など頂けると、嬉しくとても有難いです。


これからも100分の2の青写真をどうぞ宜しくお願い申し上げます。


日曜日の昼下がり。


冬なのに陽射しがたくさん入る三枝家のリビングは暖房控えめでもポカポカと暖かい。


豊と祐希は将棋を指していた。


「あ」

「ふふふ、また、やっちゃったね」

「お父さん、強すぎます」

「勝負の世界に情けは無用だからね」

「はい、負けました。有難うございました」


紅茶をトレーに載せて運んで来た薫子が言う。


「でも我が家で一番強いのはお母さんだからね」

「え?お母さんの方が強いの?」

「うん、すごーく強い」

「そうなんだ?手合わせお願いしたいな」

「え?勝負したい?……それは……」


薫子が言い淀む。

豊がそれを察して祐希に声をかけた。

「祐くん、もう一番どう?」


「もう一休みして、お茶にしましょ」

月子に言われ男性陣はダイニングに移動した。


===



月子特製のクッキーをつまみながら紅茶を飲む。


「子供の頃、見てたテレビ番組で"事件記者コルチャック"って言うのがあったんだけど、祐くん知ってる?」

薫子が思いついた様に祐希にふる。


「あぁ、覚えてる。土曜日の夜中やってた、事件記者が主役のちょっと怖い話だったよね?」


「あの頃、カコは可愛くて、小学校五、六年だったと思うけど一人では怖くてリビングのテレビは見られないってさ。僕達の寝室にある小さいテレビを僕のベッドで一緒にお布団の中から見てたんだよね」


豊に暴露され、薫子の顔が赤くなる。

「そんな話じゃなくて!一番どの話が面白かったか?って話」


「月ちゃんは寝てて見てないから分かんないよね?」

と豊が月子に聞くと

「あんた達二人が、わぁ!とか、きゃ!とか騒がしいから、ほとんど見てました」

笑いながら彼女は答えた。


「え?じゃあ、お母さんも気になった話あった?」

「そうねぇ……ある!」


薫子は何だか楽しくなって来て、

「みんなで一斉に言ってみない?」


「もうカコはいつまで経っても、こど」

"子ども"なんだからと月子が言おうとしたのに

祐希が

「可愛い……」

と呟いたので、三枝夫婦は苦笑した。


「まあ、とにかくパパはやっぱり"ラクシャサ"だな」

「やっばり!!そうだよね!」

「あれは、最後が良かったですよね」

豊、薫子、祐希が言うと、月子だけは違った様だ。


「そうね、あれは、ちょっとシュールだったわね」

「お母さんは、あのワニの話が気になったんでしょ?」


「え?何?なんで?」

「あの大きなワニを捕まえられたら何個バッグが作れるか?みたいな方が気になったのかな?って」

下水管に超大型ワニが潜伏していると言う(エピソード)の回のことだ。


月子は薫子に言われて苦笑いした。

どうやら図星のようだ。


豊と祐希は、その間、事件記者コルチャックの話で盛り上がっていた。


「とにかく、あの男優のダーレン・マクギャヴィンのくたびれた感じの背広の着こなしが、これがまた渋かったんだよな」

「そうでしたね!あの子どもみたいに前を上げた帽子の被り方も何だかカッコよくて、話も面白くて毎週見てました」


ちょっと一息ついて皆紅茶をすする。


薫子が

「毎回毎回、命はって街を守ってんのに、結局は記事もボツになっちゃうオチの中では、やっぱり"ラクシャサ"が一番だと思うんだけど」


それはこんな話だった。

舞台はシカゴの高齢者が多く住むユダヤ人街。ここで、住人たちが次々と無残に引き裂かれて殺されるという怪事件が発生。


コルチャックが調査を進めると、被害者たちは死ぬ直前、なぜか「自分が心から信頼している人物(親友や肉親)」の姿を目撃し、安心して自ら近づいていったことが分かる。しかし、その正体は人間ではなく、ヒンドゥー神話に伝わる人喰い悪魔"ラクシャサ"だった。


「"ラクシャサ"を倒すには、何だったか武器が必要だったんだよな」

と豊が言うと薫子が

「インドの古い伝承"祝福されたボウガンの矢"、クロスボウでしか倒せないんだよ」


「よく覚えてるね、さすがカコちゃん」

「問題は、そこだよ!ユウチャックくん」

「え?ユウチャック?」


薫子はドラマの世界に入り込んでいた。


三枝夫婦は、また始まったと言わんばかりにクスクスと笑って祐希と薫子を見ていた。


「コルチャックの前には、彼の唯一の味方、資料室のエミリーおばあちゃんが現れて、彼を惑わすけど結局、クロスボウで倒すんだよね!」

「そうだったね」


「で、いつもの通りの最後の締めは、こんな事件は誰も信じてくれないから違う記事をタイプライターで書きながら……

"俺はあいつ(ラクシャサ)を倒した。だが、嬉しくはなかった。……なぜなら、俺の前に現れたのはエミリーだったからだ。俺の心の中に、まだ人を心から信じる気持ちが残っていたということだけは分かった……"

で、終わるんだけど……ユウチャックだったら、私が目の前に現れたら、どうする?」


「え?え?えー!?」


薫子の記憶力の良さにも驚きだが、三枝夫婦(めおと)漫才の方も、薫子、祐希に跡目を譲れそうだなと豊は笑った。


ただ、祐希は真面目だった。

「食べてもらう」

「え!!騙されたまま食べられちゃう?」

「だって僕にはカコちゃんを殺せない」


「じゃ、直希さんだったら?」

「殺す」

「即答??」

薫子は笑う。


「残された本物の私はどうなるの?」

「無理だよ。怪物だって分かっててもカコちゃんを……出来ないよ」


「何で!?食べられちゃうんだよ!」

「どう考えても……食べて欲しい」


薫子はいきなり怒鳴る。

「殺して!」

「食べて!」

祐希が怒鳴り返す。


何故が睨み合いになっている二人。


豊と月子が、紅茶とクッキーを楽しみながら、来週の予定を確認しているうちに薫子と祐希の姿はかき消す様にいなくなっていた。


すると外からバイクのエンジン音が聞こえた。


「ケンカ?仲良いの?どっち?」

「仲良いんだよ、僕達みたいにさ」


月子は豊に言われてまんざらでもない顔をして笑った。


月子が三枝家で将棋が一番強いのは、豊がわざと負けるからだ。

それが夫婦円満の秘訣だった。


===


新宿の祐希の部屋。


「ん……祐くん、殺して」

「やだ、食べて」


バイクで走行中もずっと、言い争っていたはずの二人。

今は口づけの真っ最中だ。


「殺して」

「食べて」


薫子が途中で気づいた様に言った。


「私がコルチャックだったら……」

「ん?」


祐希は薫子と視線が絡み合う。


いったいいつから、彼女は、こんなに表情で物語る様になったのだろう?


そう思った瞬間、全身に血が駆け巡る様な想いに駆られて、もうその衝動を抑えようがなかった。


「た・べ・て」


薫子の可愛さに祐希は飲み込まれてしまった。


===


「はっ!……あれ?寝ちゃってた?!」


祐希は恥ずかしながら自分の服を確かめる。


ベッドの上で、確かに薫子と二人で濃密な時間を過ごしたと思ったのに……。


「お互い着衣の乱れなし?」


隣には気持ち良さそうに子猫の様に眠る薫子。


「まさか……ラクシャサにからかわれた?」


また大人の階段を上りそびれた二人だった。


最後の結末が薫子っぽくないなーと思ってました!


ようやく、これだ!というところに行き着きましたので更に!加筆・修正致しました!

皆様はどう思われましたか?


また、今新たに

"Just like starting over"

〜アメリカ帰りの幼馴染に振り回されちゃってます!〜

毎日午前8時に投稿開始しております♪


こちらも優月菜が大好きな1980年・幼馴染・じれじれ満載です!

宜しかったらこちらも併せて、ご覧頂けると嬉しいです♪


優月菜




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