ダンジョンはお日柄もよく10
あぁこれは駄目だ。一目見ただけでわかる。
この荘厳な槍は触れてはいけないものだ。
「絶対めんどくさいことに巻き込まれるからスルーで」
メンゴ!と片手で槍に謝るとリンゴに頼んで転移させてもらった。
「魔族退治お疲れ様でした」
ダンジョンコアのあった部屋へと転移が完了するとリンゴが声をかけてきた。リンゴにも作業お疲れ様と労いの言葉をかける。
「そういえば緊急事態って?」
珍しく焦っていたリンゴさんに聞いてみる。
「そうなんですよ、これを見てください」
リンゴがそう言いながら空中に映像を投影する。子分にしたダンジョンコアくんから投影されているであろう映像だ。
そこに映っているのは大きな剣だった。
「これ何だ・・・?」
明らかに人が使う用途の剣ではないのはわかるが、それにしても大きすぎる。
「ですよねわかります」
リンゴがうんうんと頷いている。
「いや、そうじゃなくて。ダンジョンコアには何か情報入ってないの?」
ダンジョンコアの名前を出すと何故かコアがびっくりしたような挙動をする。
「ダンジョンコアには目ぼしい情報は入っていないんですよそれが。まるで生まれたてのような有様でして」
珍しくリンゴが困っている。そうか、情報がないのであれば仕方ない。
リンゴが乗っ取るときにデータを壊してしまった可能性もあるが、腕のいいリンゴさんだからそんなヘマはしないだろうと言う信頼感もある。
「と、なれば後はあいつか」
そう言いながら床に倒れ伏している封印の巫女に目をむける。
「おーい」
封印の巫女に向けて声をかける。杖で体を突いてみる。えいえい。
「コアの乗っ取りが完了してからずっとこの調子ですよこいつ」
リンゴさんが苦々しげに答える。珍しい。リンゴさんがイライラしている。
「当たり前ですよ!我が主人に対してあのような態度。許せません。」
ほう。魔物を退治するのに転移させることが可能か聞いたら返事がわりに転移させたあなたが。
尚且つ地面の転移罠で空中に主人を飛ばして遊んだあなたが。
「おまいう」
ジト目でリンゴさんを見つめる。
「ご主人様をいじっていいのは私だけです」
ふんと胸を張っているような挙動で言い切るリンゴさんにため息しか出なかった。肩のミニ佐藤さんから苦労しているなと言う想話が届いた。
そんなこんなで結局この日は封印の巫女も復活しないし、ダンジョンコアには碌な情報は入っていないしで取れる手段がなくなったため寝ることとなった。
食事は背嚢の中にあった乾物で軽く済ませた。後になってダンジョンコアの能力で食事を作りだすことができるとわかったがいまいち信用できないのでいつか誰かに食べさせてからにしたいと思う。
「さて、寝て起きたら目の前に槍が刺さっていた件について」
そうなのだ。コアルームの中で就寝をとっって、翌日目が覚めたときにはこの状況であった。
あのリンゴさんがダンジョンコアを使って防犯映像チェック的なことをやっているのでリンゴさん犯人説は消えました。
「なんか怖いから元の場所に転移させてくれる?」
リンゴさんにそう頼むとりょ!という軽い返事とともに一瞬にして槍は姿を消していた。
「さてでは封印の巫女の様子を見に行きますか」
そう言って封印の巫女の倒れている方向に振り向いた先に先ほどの槍はいた。
軽くホラーである。




