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第12話 願ってもないチャンス


「何これ?」


 白井が皿の上にある物を指さして言った。


「なんだお前オブラートも知らないのか?」


 鳴海がさも当然のように言う。


「それぐらいわかるわよ! 何であんた達、何の疑問もなくそれを食べてんの!?」


「俺も最初は少し驚いたが以外と悪くない。麦茶との相性も抜群だ。お前も食べてみろよ」


「……え、遠慮しとくわ」


「えへへ、なんか賑やかでいいね。また友達が増えて私はすごく幸せだよ」


 日暮が嬉しそうに言った。


「いや、友達になると言った覚えはないんだけど……、それにしても日暮さんのお父さんて警察官だったのね」


「うん! 世界一格好いい自慢のパパだよ!」


「そう、仲が良さそうで何よりね。そしてゼロさんあなた女の子だったのね」


 白井がゼロのほうを見て言った。


「なんだよ、何か文句あるのか?」


 ゼロが不服そうに白井を見る。


「いや、あなた可愛いし、ちゃんと普通の格好してたら、きっと人気者になれると思うわよ」


「ふんっ、大きなお世話だ」


 ゼロはどうやら可愛いと言われるのがあまり好きじゃないらしい。


「仲良く話してるところすまないが、さっそく本題に入らせてもらう」


 鳴海は頃合いを見て話を切り出した。


「白井、北海道は好きか?」


「何よ、突然? 行ったことはないけど、自然豊かで食べ物もすごく美味しそうだし、いつかは行ってみたいとは思ってる」


「なるほど、それは好きと捉えていいんだな?」


「ええ、まあそうね」


「オッケー、これは例えばの話だか、2日後に北海道が地獄の業火で焼き滅ぼされるとしよう」


「何その物騒な話!?」


「まあ聞け。2日後に北海道は滅びるのが確定事項だとする。それは誰にも止めることができない。しかし、偶然にも白井お前だけが北海道を救う術を持っていた。さあ、お前ならどうする?」


「どうって言われても……、私しか救うことができないんでしょ? だったら迷わず救うわよ」


「オーケー、パンツを脱いでくれ」


「何でそうなるのよ!?」


 白井がテーブルをバンっと叩き立ち上がった。


「いいか? 白井。2日後に北海道は滅びる。あと俺も死ぬ。しかし、お前の今着用してるパンツがあればその悲劇の結末は回避できるんだ」


「何馬鹿なこと言ってるの? あんたそこまでして、私のパンツが欲しいわけ!?」


「ああ、喉から手が出るほど欲しい」


 そうしなければ、この馬鹿げた話が現実となる。

 なんとしても、白井の使用済みパンツを手に入れるしかない。


「本当に気持ち悪いわね! そんなくだらない話だったら帰るから」


 そう言って白井が帰ろうとした時、


「待って、花ちゃん。せっかく遊びに来たんだからみんなでゲームしようよ」


 日暮が白井を呼び止めようとする。


「別に遊びに来た訳じゃないんだけど……」


 そう言いつつも白井はゲームソフトが置かれている棚に視線を移していた。どうやらゲームは嫌いじゃないらしい。


「えー、いいじゃん」


「まあそうね、せっかくだから少しくらい遊んでいこうかな」


「やったー」


 よくやったぞ、日暮!

 鳴海は無言で日暮にぐっと親指を立てた。

 白井がゲームソフトを吟味しているとある一つのソフトを手に取った。


「ふぅん、日暮さんもストリート土下座4やるんだ」


「ああそれは止めとけ、こいつら強すぎで絶対に勝てないぞ」


 日暮とゼロは相当このゲームをやり込んでる。素人目から見ても、圧倒的に格が違うことを鳴海は前回思い知らされている。


「へえ、そうなんだ」


 白井が落ち着いた様子で言う。


「うん、自分で言うのもなんだけど私ストリート土下座4なら最強だよ。でも大丈夫、ちゃんと手加減してあげるから」


「聞き捨てならないな。僕こそがストリート土下座4最強だ」


「へー、面白そうじゃない。是非お手合わせお願いしたいわ」


「やめとけ、お前じゃ絶対勝てない! あいつら生粋の廃人ゲーマーだぞ。俺なんか前回触れることすらできず38回も土下座してる」


 鳴海は必死に止める。

 もし、白井がゲームでボコボコにされて機嫌を損ねたら交渉が不利になる可能性もある。


「お、なんだ逃げるのか? まあ雑魚を刈るのは僕の趣味じゃないから好きにするといいが」


「雑魚? この私を雑魚だと?」


 背を向けていた白井がゆらりと振り返る。


「ああ、戦わなくてもわかる。雰囲気が雑魚キャラそのもの……」


 鳴海はゼロの口を塞いだ。


「何をふる。鳴海はなへ!」


 ゼロ!

 お前マジでいい加減にしろ!

 ゼロが必死に口をもごもごと動かし、鳴海の手を振り払おうとする。


「ふふ、受けて立つわ。そこまで言われたら、さすがの私も引き下がるわけにはいかないわ」


「マジでやめとけって、こいつら本当に手加減というものを……」


「もし、私が負けるようなことがあれば何でも言うことを聞くわ」


 白井が自信に満ちあふれる表情で言った。


「よっしゃあ! お前らこいつをぶっ殺せぇ!!!」


 鳴海は歓喜した。

 願ってもないまさかのチャンス!

 ストリート土下座4の達人であるこの2人が白井を軽くひねってくれれば、白井の使用済み下着が手に入る。


「言ったな、白井。もしこいつらがお前に勝ったら、問答無用でお前の脱ぎ立てほやほやのパンツを頂く。それでいいんだな?」


「構わないわ。()()()()()()()


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