第一話 ルヴァン家
#第一話 ルヴァン家
夜会で知り合った三人のルヴァン子爵家の方々。
三人は日替わりで中身も外見も入れ替わる呪いに掛かっていたのです。
お父さまの商談の都合もあって(ルーク様が商談担当)何故か一緒に住む事に。
色々あったけれど、おでこに解呪(口付けの事です)すると入れ替わる事が分かりました。
朝食のサラダをフォークで刺して口に運ぶ直前で私はふと気付いた事を口にした。
「あの、ルーク様たちを切り替える方法が見つかったのでそろそろ私は帰宅しようと思います」
いやー、なんて言うか、結婚前の娘が他家に入り浸るのって我が事ながらおかしいんだよね。
「な、何を言うんだクロエ」
ルーク様は慌てておっしゃるけれど、そもそも私が家族の一員のように居る事がおかしいと気付いてらっしゃらない。
「なんと!それはどうやって?」
前子爵は切り替えの方法を気にされる。
確かに今まで日をまたぐ必要があったのに、自らの意思で切り替えられるなら、それはもう解呪と同じだと思う。
「まあまあ、嬉しいわ。私は毎日エイルと過ごしたい」
ソフィア前子爵夫人は気持ちが隠せていない。
ルーク様もレオン様も仕事をされていて親離れしているからなのだと思う。
まだ(比較的)幼いエイル様が可愛いのだ。
「あの、おでこにちゅっとすると切り替わるんです」
「気付かなかったわ。エイルを寝かし付ける時にしてた気もするけど」
あれ?そうなの?
「試しに目の前でやってみてくれんか?」
「母上、どうぞ」
ルーク様がソフィア様の目の前で片膝を付かれると、ソフィア様は愛おしげにルーク様の顔を両手で挟んでおでこに解呪される。
けれどルーク様はルーク様のままだ。
「では次はクロエ」
私の目の前で膝立ちになられる。
私も解呪した。
目の前でレオン様に切り替わる。
レオン様は私の手を取り、手の甲に口付けをされる。
「あわわわわ」
慌てて解呪した。
「ちーちゃん!好き!」
エイル様が抱きつく。
とりあえず解呪した。
当たり前だけど、ルーク様に切り替わり、私に抱きついていた。
「おほん」
前子爵が咳払いをして、ルーク様は少し照れながら立ち上がられる。
「クロエ、お前の気持ちは分かる。帰りたいというなら私たちも無理強いはしない」
ルーク様は少しだけ困った顔をされた。
急にそんな顔をされても困る。
「ルーク様」
「だから、もう少しだけ付き合ってくれないか?」
もう、本当に。
多分私にも呪いが掛かっている。三人を放っておけない呪い。
「分かりました。ご褒美のデートもまだですしね。その代わり、デートが終わったら帰りますからね」
「わーい、デートだ!」
エイル様のように両手を上げて喜ばれる。
「これはエイル流の喜び方だ」
やっぱり放ったらかしにしても問題ないんじゃないのかなあ。
とりあえず三人とのデートをするまではルヴァン家にお邪魔する事にした。
家から足繁く通うのと、この家から一緒に出掛けるのとではどちらが噂にならないかを考えた結果だ。
それで、急だけどルーク様がお休みならデートする事にした。
「ルーク様、今日お暇ですか?急ですが、街に一緒に買い物に行きませんか?」
「おお、クロエから誘われては拒むはずがない。筆をそろそろ買い替えようと思っていたから買うのに付き合って欲しい」
いいアイデアです!ルーク様の欲しいものを買いに行くのなら迷わなくてもいいはずだし、きっとその他はノープランだろうから見たいものがあったら行けばいいしね。
「はい、もちろんです」
ルーク様と初めてのデートだ!




