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ライフォイグナ  作者: ハル氏ら
第1章 

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幕間 「目覚めた子」

それは、とても虚しさを感じるものだった。

喪失感……いや、何か分からない。


……寒い。


何かが抜けていくような感覚。

体の中から何かが奪われていくようだ。


奪われる?何を。


力が入らない。

この体は、どうなっているんだ。


『嫌だ……返せ!僕のだ!』


目の前を流れていく、誰かの姿。

変わりゆく景色の中、消えていく。


これは記憶……走馬灯?

それとも、今か?


分からない。

全て混ざって、曖昧に。


落ちていくような、飲み込まれていくような。

暗闇なんて生温い。

黒と呼べるものさえ、そこには、無いのだから。


怒っている?怖い?悲しい?苦しい?悔しい?


……安堵?


どうだろう?

それがなんと呼べるものなのか。

表す言葉も見当たらない。


何一つ、思い浮かばない。

思考すら遠く、薄く伸ばされているようだ。


この中に見える全てに敵うはずもなく。

ただ無意味に、ただ無気力になっていく。


そんな……感覚。


ただ、海の中を漂うプランクトンのような、風に飛ばされる塵のような。


何者でもない自分。


ふと、何かに触れられたような気がして振り返る。


……何もない。


ああ、そうか。


何も見えないし、何を感じているかすら分からなくなるこの空間。


見えないのは、当然だ。

感じないんじゃなくて、初めから実感していたんだ。


ここはきっと自分自身の中なんだ。


誰にも邪魔されない。

自分のための世界。


心の中。


何も感じないのは、全部、見えているからなんだ。


そう結論づけた時、無いはずの体が、見えたような気がした。

少しずつ、前に進んでいるように見えた。


通り過ぎていく?

違う、出ていってるんだ、自分の中から。


待って……。


置いて行かれる。

誰かは分からない。

ただ、それを止めないといけないことだけが、分かっていた。


必死に、もがいている。

目の前のその人を止めるために。

でも、この世界で、体を持たない者が、それに追いつくことはできなかった。


溺れていくようだ。

足を絡め取られ、より深く、より大きく、包み込まれていく。


邪魔だ。

僕に纏わりつくな!


一気に腕を振り上げようと意識した。

その瞬間、全身を包む、殻のような物が、割れたような気がした。

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