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倉庫ごと異世界転移したので、何でも屋を始めます  作者:


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家庭菜園!?

「……うん、だいぶ楽ね」


かおりは、小型耕運機をゆっくり押しながら、耕した土を振り返った。


ざくざくと、土が程よく崩れている。

力を込めて鍬を振るうのとは比べものにならない。


「これなら、腰も痛くならないし深さも、ちょうどいい」


魔力出力を弱めに設定したのが、正解だった。



――その時。


「……おい」


背後から声がした。


振り返ると、ミリャが立っている。

どうやら、音を聞きつけて来たらしい。


「何だそれ?」


興味津々といった様子で、耕運機を見る。


「便利そうだな」


「でしょ?」


かおりは、少し得意げに答えた。


「小型耕運機って言うのよ。土を耕すための道具」


「ほう……」


ミリャは、周囲の耕された土地を見回す。


「確かに、早ぇな〜俺がやったら、半日かかりそうだ」


「半日で済めばいいけどね」


かおりは苦笑する。


ミリャは、腕を組んで少し考えたあと、言った。


「なあ」


「俺にも、今度貸してくれ」


「え?」


かおりは、目を瞬いた。


「畑、作るの?」


「当たり前だろ」


ミリャは、当然のように言う。


「俺だって、ここに住んでるんだ」


「肉ばっかりじゃなくて野菜も食いてぇしな」


「……あ」


その言葉に、かおりは気づく。


「そう、よね。私だけの場所じゃ、ないものね」


ここは。

もう、みんなの生活の場所だ。


「……うーん」


かおりは、耕運機を見つめる。


「だったらこれ、ちゃんと弟子さん達にも見せないと」


「え?」


「一台だけだと、順番待ちになるし使い方、間違えたら危ないし説明も必要だし」


「……ああ」


ミリャも、納得したように頷く。


「確かにじゃあ、すぐには使えねぇか?」


「うん」


かおりは、少し申し訳なさそうに笑った。


「これ以外にも、作るから畑作る人が増えたら台数、足りなくなるでしょ?出来るまで、待ってて」


ミリャは、にっと笑った。


「おう!楽しみにしてるぜ!畑が増えたら食事も、楽しみになるしな」


「だね」


かおりも、笑い返す。



ミリャが戻っていく背中を見送りながら、かおりは思った。


「……家庭菜園、どころじゃなくなるかも」


一人分の畑。それが、二人分、三人分。


「農機具、量産……は、しないけど必要な分は、作らないとね」


かおりは、耕運機のスイッチを切った。


畑づくりは、もう個人の趣味じゃない。

この場所の“生活”そのものになりつつあった。


「よし!次は、種まき計画かな」


家庭菜園(仮)は、静かに本格化し始めていた。

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