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倉庫ごと異世界転移したので、何でも屋を始めます  作者:


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形になる流れ

「……よし、まずはここまで」


かおりは、描きかけの設計図から顔を上げた。


帯鋸――魔力帯鋸。


頭の中で考えるだけだった流れが、少しずつ紙の上に落ちてきている。


「じゃあ、これを一回見てもらおうか」


設計図を抱え、弟子たちの作業台へ向かう。



「……なるほど」


「駆動部は、魔力鋸の応用ですね」


「ここに、魔力充電器を噛ませて……」


弟子たちは、図面を囲み、次々と指を差す。


「でも、このままだと」


一人が、首を傾げた。


「魔力の戻りが、刃に干渉しませんか?」


「……あ」


かおりは、すぐに気づいた。


「確かに」


「循環が早すぎる」


「一度、逃がす経路が必要だな」


別の弟子が、魔術式を指でなぞる。


「ここに、緩衝用の式を入れましょう」


「魔石集合体の前に」


「魔力を、少し散らす」


「いいね」


かおりは、設計図に赤線を引く。


「じゃあ、ここ修正」


「それと……」


弟子の一人が、言いにくそうに続けた。


「刃のテンション調整」


「魔力振動だと、金属疲労が心配です」


「……うん」


「ここは、物理でいこう」


「魔法に頼りすぎない」


弟子たちが、少し驚いた顔をする。


「物理、ですか」


「バネと、調整ネジ」


「壊れたら、誰でも直せるように」


その言葉に、皆が納得したように頷いた。



修正を終えた設計図を、もう一度見直す。


「……よし」


「これなら、魔道具化できる」


次は、部品。


「鍛冶屋さんに、頼まなきゃ」


刃。

支軸。

テンション機構。


かおりは、必要な部品をリストアップする。


「精度は、そこそこでいい」


「でも、丈夫なのが最優先」


「あと」


「刃は、交換前提」


「使い捨てじゃ、困るから」


弟子の一人が、メモを取りながら笑った。


「完全に、現場目線ですね」


「現場が止まるの、一番困るもの」



数日後。


鍛冶屋から、部品が届いた。


「……いい仕事」


刃は均一。

軸も歪みがない。


「じゃあ、組み立てよう」


倉庫の一角が、即席の組立場になる。


弟子たちは、設計図を見ながら動く。


「ここ、こう?」


「違う、先に軸を通す」


「魔力充電器、後だ」


かおりは、少し離れた場所から全体を見る。


「……流れ、出来てきたわね」


設計。

確認。

修正。

部品手配。

組立。


自然と役割が分かれ、無駄が減っている。



試作品。


魔力帯鋸・一号。


丸太をセットし、固定。


「……行きます」


弟子が、魔力を流す。


――ウゥン。


刃が、静かに走り出す。


「……安定してる」


「振動、少ない」


恐る恐る、丸太を押す。


ザァ――。


均一な板が、切り出された。


「……!」


「切れ味、問題なし!」


かおりは、思わず笑った。


「よし」


「合格」


弟子たちから、歓声が上がる。



完成した魔力帯鋸は、すぐに現場へ運ばれた。


「これ、使ってください」


大工役の男が、目を輝かせる。


「おお……」


「これなら、板が一気に作れる!」


その場で、すぐに使われ始める。


作業速度が、目に見えて上がった。


かおりは、その様子を眺めながら、静かに息を吐いた。


「……やっぱり」


「流れが出来ると、強い」


一つの道具が、完成するたび。


この場所は、少しずつ“工房”から“拠点”へ変わっていく。


かおりは、次の設計図を取り出した。


「さて」


「次は、ドリルかな」


自然と、次の一歩が見えていた。

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