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倉庫ごと異世界転移したので、何でも屋を始めます  作者:


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更に改良!

「……安定、したわね」


かおりは、魔力発電機の前で腕を組み、小さく頷いた。


これまでの構成は単純だった。

魔力集束板 → 直接道具へ供給。


だが、それでは魔力の揺らぎがそのまま道具に伝わる。

実用上は問題ないが、長時間稼働や複数接続では、どうしてもムラが出る。


「電気なら……コンデンサとか、バッテリー挟むよね」


そこで考えたのが――


魔力発電機→ 魔力充電器→ 魔力を使う道具


しかも、その“充電器”は特別製。


「魔石、集合体」


空になった魔石を複数、規則的に配置し、

魔力の余剰を一時的に溜め込む緩衝層として使う。


「溢れた分を、ここで吸収。足りない分は、ここから補う」


結果。


魔力の流れは、驚くほど滑らかになった。


「……これは」


横で見ていた弟子の一人が、息を呑む。


「魔石を……蓄電池みたいに使ってる」


「でも、完全に溜め切らない」


「あくまで、調整用」


「そう」


かおりは、軽く笑った。


「全部を充電しようとすると、危ないから」


「“間に挟む”だけ」


爺さんは、黙ってそれを見ていたが、やがて深く息を吐いた。


「……安定化構造」


「魔術師が、最も欲しがる奴じゃな」


「ですよね」


かおりは肩をすくめる。


「でも、これでやっと“次”に行けます」


次。


それは――道具。


「電動鋸……は、無理ね」


電気モーターは、この世界では再現が難しい。

構造も材料も、揃わない。


「でも」


かおりは、作業台に置かれた手鋸を手に取った。


「切る、って行為自体は単純」


「刃を、一定方向に、高速で動かす」


弟子たちが、顔を上げる。


「……魔力で?」


「そう」


「電動じゃなくて」


「魔力鋸」


刃の付け根に、小さな魔術式。

風魔法と、生活魔法の応用。


「振動させる」


「前後じゃなくて、微細振動」


「手は添えるだけ」


試作一号。


魔力充電器から供給を受け、起動。


――ヴゥン。


低い、安定した振動音。


「……おお」


弟子の一人が、恐る恐る木材に当てる。


抵抗が、軽い。


「切れる……」


「早い……」


「しかも、疲れない!」


かおりは、満足そうに頷いた。


「これなら」


「建築、まだまだ続けられる」


「人力の道具を、魔力化」


「全部じゃなくていい」


「“きつい所”だけ、楽にする」


爺さんが、腕を組む。


「魔法がある世界じゃが」


「道具を軽んじすぎておったのかもしれんな」


「魔法は、才能差が出ますから」


かおりは、正直に言った。


「でも、道具なら」


「誰でも、同じ成果が出せる」


弟子たちが、静かに頷く。


「……分かる」


「俺、魔法得意じゃないけど」


「これなら、使える」


魔力鋸は、作業場に置かれた。


次は、何だろう。


ドリル。

ポンプ。

送風機。


「……やる事、山積みね」


かおりは、嬉しそうにため息をついた。


魔力発電機。

魔力充電器。

魔力道具。


三つが、一本の線で繋がった。


これはもう、単なる改良ではない。


「……インフラ、だわ」


爺さんは、その言葉を聞き、目を細めた。


「……いよいよ、じゃな」


この場所は。


もう、“便利な拠点”ではない。


世界の在り方を、少しずつ塗り替える――

そんな場所に、なり始めていた。

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