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倉庫ごと異世界転移したので、何でも屋を始めます  作者:


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校舎建設計画はだいたい文化祭前夜みたいになる

「……なんでこうなったのかしら」


かおりは、朝焼けの広場で立ち尽くしていた。


昨日。


「学校を建てましょう」


「はい」


で、終わったはずだった。

はずだったのに。目の前。


杭。縄。木材の山。石。砂。なぜか台車。

そして――


人。人。人。


「おーい! 材木こっちだ!」


「縄足りねぇ!」


「測ったやつ誰だ、曲がってるぞ!」


「朝飯まだー!」


「……もう建設始まってるんだけど」


まだ朝よ? 鳥が鳴いてる時間よ?

後ろからのんびり声。


「おはようございます、かおりさん」


「リーナさんおはようございますじゃないですよ」


振り向きながらにこやかリーナ。

いつもの笑顔。


「工事開始、早すぎません?」


「皆さん、楽しみで眠れなかったそうです」


「遠足前の小学生なの?」


見ると。


鍛冶師がトンカントンカン。

商人が帳簿片手に資材管理。

子供たちが小石拾い。


完全に総出。


「いやこれもう半分お祭り……」


「文化的行事ですね」


「建設が!?」


そして。


「先生ー!」


「なに!?」


「教室いくつ作るの!?」


「え?」


固まる。……あ。考えてない。


「……リーナさん?」


「はい」


「教室数、決めてました?」


「いいえ」


「設計ぃぃぃぃ!?」


ノープラン着工!?


「でも大丈夫です」


どこが。


「増築前提にすれば問題ありません」


「その発想やめて!」


永遠に工事続くやつ!


仕方なく即席会議。地面に棒で図を描く。


「えーと……子供組が三十人でしょ」


「夜学が五十人」


「増えてる前提で倍だな!」


「縁起悪いこと言うな!」


横から商人。


「倉庫も併設しません?教材置き場」


「図書棚ほしい!」


「調理実習室!」


「なんで!?」


「腹減るから!」


確かに減るけど!


職人。


「工具置き場もいる」


「だから職業訓練所じゃないのよ!」


どんどん増える要望。


「……学校って何だっけ」


分からなくなってきた。その時。とことこ。


例のおじいちゃん(夜学首席)が来た。


紙を差し出す。


「……これ、どうじゃろ」


「ん?」


見た瞬間。


「え、なにこれ」


普通に設計図。

教室配置、動線、窓位置、採光。

やたら完成度高い。


「元大工じゃからの」


「早く言って!?」


なんで夜学にいるのこの人。


「朝は暇での」


「即戦力すぎる……」


周囲がざわつく。


「すげぇ……」


「プロだ……」


「じいちゃん先生じゃん」


「校長でよくない?」


「やめて照れる」


耳赤い。かわいい。


リーナがうんうん頷く。


「では、この案を採用しましょう」


「決定早い!」


「合理的ですので」


トントン拍子。


「窓は南向きだ!」


「机はここ!」


「黒板でかくしろ!」


「俺、屋根やる!」


「基礎任せろ!」


一斉に散る大人たち。


「うおおおおお!!」


「気合いが建国レベルなのよ!?」


なんで学校一個で士気MAXなの。


でも。


子供たちは笑いながら石運んで。

大人は真剣に木を削って。

おじいちゃんは図面持って指示して。


誰一人、嫌そうな顔してない。


むしろ。


「早く完成しねぇかな」


「机並べるの楽しみだな」


「黒板に名前書くんだ」


……もう。


完全に“自分たちの学校”じゃん。


「……なんかさ」


ぽつり。


「これ、領主の事業っていうより」


リーナを見る。


「みんなの学校ですね」


先に言われた。


にこっと笑う。ずるい。


「……ですね」


その時。


バキッ!!


「ぎゃー!柱折れた!」


「寸法違うって言っただろ!」


「誰だよ適当に切ったの!」


「俺だ!」


「お前か!!」


即カオス。


「……やっぱり文化祭前夜だこれ」


準備8割ドタバタ。完成いつだろ。


でも。


騒がしくて。笑ってて。怒鳴ってて。


すごく楽しそうで。


「……ま、いっか」


かおりは袖をまくった。


「私なに手伝えばいい!?」


「墨引き!」


「はいよ!」


こうして。


誰も止められない勢いのまま。


この領地初の「ちゃんとした学校」は。


ほぼ全員参加の大騒ぎ工事で、盛大に建設スタートしたのだった。

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