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倉庫ごと異世界転移したので、何でも屋を始めます  作者:


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即席教室、開校初日

「……なんでこうなったのかしら」


かおりは、倉庫の前で立ち尽くしていた。


看板。


【基礎訓練所(仮) 本日開講】


うん。ここまではいい。昨日決まって。

今日スタート。

リーナの行動力、相変わらずおかしい。


「いや早すぎない!?」


思わずツッコむ。

せめて一週間くらい準備期間ほしい。心の準備とか。中を覗く。


長机。椅子。黒板っぽい板。チョーク。

それっぽい。すごくそれっぽい。


「ほんとに学校だ……」


ちょっと感動してた、その時。

どたどたどたどた!!


「「「おはようございまーす!!」」」


「!?」


大量の子供が突撃してきた。


「ちょ、走らない走らない!」


「押すなー!」


「席どこー!?」


「窓側がいいー!」


「小学校じゃん!!」


完全に教室の光景。さらに。 


「失礼します……」


「今日からお世話になります」


「文字、全く読めませんが……」


保護民の大人たちまで入ってくる。

そして。


「俺も頼む」


「計算覚えたい」


「在庫帳が意味不明でな……」


鍛冶師。


「私も……」


「字が書けると帳簿楽になると聞いて」


商人。


「……あの」


「孫に負けたくない」


おじいちゃんまで。


「なんで増えてんの!?」


想定:子供+新人十数名

現実:三十……四十……まだ来る


「リーナさぁぁぁぁん!?」


振り返ると。にこやかなリーナが立っていた。


「盛況ですね」


「盛況じゃないです!キャパ超えてます!」


「学ぶ意欲があるのは素晴らしいことです」


正論パンチやめて。


「先生足りません!」


「はい、なので」


ぱん、と手を叩く。


「本日の講師紹介です」


「え?」


「読み書き担当、書記官三名。計算担当、商人ギルドから二名。道具基礎、職人二名」


「そして」


にっこり。


「総合担当、かおりさん」


「聞いてない!!」


教室中の視線が一斉にこっち向く。


「先生ー!」


「何するんですかー!」


「字ってどうやって覚えるのー!」


「腹減ったー!」


「最後の誰!?」


もうカオス。開始五分で頭痛い。

とりあえず黒板の前へ。


「えー……静かにー……」


しーん。全員こっち見る。

ちょっと緊張する。


「まずは……名前書ける人ー?」


ぱら……ぱら……三割。


「読める人ー?」


半分くらい。


「計算できる人ー?」


職人と商人だけ手を上げる。


「なるほど、バラバラすぎる!」


どうクラス分けすんのこれ。


後ろで書記官が小声で言う。


「かおり様……混ぜると地獄です」


「ですよねぇ!!」


結局。子供組。大人初心者組。

職人スキルアップ組。


三つに強制分離。


「はーい!子供はこっちー!」


「大人初心者こっちー!」


「ベテランは奥ー!」


「俺ベテラン!?」


「いや字読めないから初心者だろ!」


「くっ……!」


なんか地味に傷付く職人。わちゃわちゃ。

がやがや。


そして、やっと授業開始。


「これは“あ”です」


「おー!」


「これは“い”」


「おー!」


子供たち、吸収早い。


一方。


「えーと……三袋で銅貨いくつだ……?」


「だから掛け算ですって!」


「掛け……何!?」


大人組、必死。さらに。


「このノコギリはこう持つ」


「おおー!」


道具講習、なぜか一番盛り上がる。


「これ学校よね?」


なんか職業訓練所っぽい。気付けば。

笑い声。驚き声。歓声。

倉庫がすごく賑やかだ。


「……あれ」


疲れてるはずなのに。ちょっと楽しい。

みんな真剣で。必死で。

出来た瞬間。


「書けた!」


「読めた!」


「計算合った!」


って、子供みたいに喜ぶ。


「……かわいいなぁ、もう」


思わず笑う。

その時、リーナが隣に来た。


「どうです?」


「……大混乱です」


「でしょうね」


くすっと笑う。


「でも」


かおりは教室を見る。

騒がしくて。バタバタで。

でも。

すごく、生きてる感じがする。


「……悪くないですね」


「はい」


リーナも同じ景色を見る。


「きっと、ここからまた何か生まれます」


「ですね」


黒板の前で。


「先生ー!チョーク折れましたー!」


「早すぎるわ!!」


今日もまた。新しい“仕組み”は。

盛大なカオスと共に、始まったのだった。

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