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倉庫ごと異世界転移したので、何でも屋を始めます  作者:


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転がり出した麺の行き先

「では!かおりさん!」


リーナが、いつになくきっぱりとした声で言った。


「はい……?」


嫌な予感が、胸の奥をよぎる。


「この麺を作る機械を、鍛治師さんと協力して――」


「何個か、作って下さい!」


「……はい?」


一拍、完全に思考が止まった。


「えー!?」



「この機械は素晴らしいです」


リーナは、製麺機を軽く叩きながら続ける。


「特別な魔法も使っていない」


「構造も理解しやすい」


「職人の手で再現できる」


一つ一つ、指を折りながら。


「つまり」


「広めるのに、問題がありません」


「……はあ」


かおりは、反論の言葉を探すが、見つからない。


「急がなくても良いので」


にこり。


「宜しくお願いします!」


「……は、はっい!」


反射的に、背筋を伸ばして返事をしていた。



リーナ達が帰った後。

かおりは、椅子にどさりと腰を下ろした。


「……はぁ〜……」


深く、長いため息。


「どうして、こうなった?」


誰にともなく呟く。


「私は、ただ……」


「ラーメンを食べたかっただけなのに……」


頭の中では、昨日の夜からの出来事がぐるぐる回る。


スープの匂い。人だかり。試食会。

そして、製麺機の量産指示。


「……なんか、凄く疲れた……」


肩を落とし、机に突っ伏す。



それでも。

机の上に置かれた製麺機を、ちらりと見る。


「……でも」


「この世界で、麺を作る人が増えるなら」


それは、それで悪くないのかもしれない。


「……本当に、勝手に広がっていくわね」


かおりは、苦笑しながら目を閉じた。


ラーメン一杯から始まった話は、

いつの間にか、領地の新しい“技術”へ。


転がり出した麺の行き先は、もう、かおり一人では止められそうになかった。

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