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倉庫ごと異世界転移したので、何でも屋を始めます  作者:


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麺が増えるほど、事態も広がる

「……よし、次は麺だわ」


かおりは、レシピ本を机の上に広げた。

昨日の夜から頭の中はラーメン一色だが、今は“遊び”では済まない。


「麺の作り方……あった」


基本はシンプルだが、配合で食感が変わる。


「この配合……参考にしてみるか」


計量し、生地をまとめる。


「……うん」


こねる、叩く、まとめる。

その動作は、もうぎこちなさが無かった。


「捏ねるのは……だいぶ、さまになったかも?」


自分で言って、くすりと笑う。



生地を少し休ませてから、製麺機の前に立つ。


「さて……挟んで、回す、と」


ハンドルを回すたび、生地が薄く伸びていく。


「……楽しいけど、地味に重い」


伸ばした生地を折り、再び通す。

それを何度か繰り返してから、刃を細麺用に切り替えた。


「まずは……細麺ストレート」


さらさらと落ちてくる麺を見て、思わず目を細める。


「……ラーメンだわ、これ」


だが、すぐに首を振る。


「好みは人それぞれよね……」


配合はそのままに、今度は切り方を変える。


ちぢれ中麺。さらに、太麺。

机の上に、種類の違う麺が並んでいく。


「……作りすぎた?」


一瞬そう思ったが、すぐに否定する。


「いや、きっと必要になる」



「……あー……」


製麺機から手を離し、肩を回す。


「腕、痛い……」


思った以上に体力を使っていたらしい。

外を見ると、日もだいぶ高い。


「昼には……どうやら間に合ったわね……」


並べた麺を眺める。まだ茹でていない。

味の確認も、スープとの相性も未知数だ。


「……何とも言えないけど」


「イメージは……伝わる、よね?」


そう自分に言い聞かせる。



ふと、我に返る。


「……まさか」


ぽつりと呟いた。


「ちょっとラーメン食べようとしただけなのに……」


家の外が、朝からざわついていた理由。

リーナが真剣な顔でスープを飲んだ瞬間。


「……まさか、こんな事になるとは」


苦笑が漏れる。


「……迂闊だったわ」


だが、不思議と後悔はなかった。


「まあ……」


麺をそっと布で覆いながら、かおりは小さく息を吐く。


「もう、ここまで来たら……」


「ちゃんと“形”にするしかないわよね」


昼は、もうすぐだ。

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