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倉庫ごと異世界転移したので、何でも屋を始めます  作者:


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原点を思い出す

集積所の動きは、もう特別なものではなくなっていた。


農家が来て、集める人が受け取り、必要な場所へ流れていく。

誰かが声を荒げることもなく、無理をしている様子もない。


ただ、淡々と回っている。



その様子を少し離れた場所から眺めながら、

かおりは思った。


……物を造るのも、大事だけど、道具があれば楽になる。確かにそれは間違いじゃない。


でも、それだけじゃない。


仕組みを作るのも、同じくらい大事ね!



農家は農作物を作ることに集中できる。

集積する人は、それをまとめることに集中できる。


そして、その間に立つ人にも仕事が生まれた。


誰かが楽になり、誰かに役目が生まれる。


無理に押し付けたわけでも、急に世界を変えたわけでもない。



これなら……


かおりは静かに息を吐く。

急に、この世界を変える事にはならない!

自分にできる事は限られている。

全部を抱え込むことなんて出来ない。


でも――


1人で抱える必要は、なかったのよね。



思い返せば、ずっとそうだった。


悩んだら相談して、考えて、決める。


それだけで、随分と楽になる。


自分が前に出なくてもいい。

全部を決めなくてもいい。


私は、そのお手伝いが出来ればいい。



ふと、昔の記憶が蘇る。


まだ前の世界で、誰かの間に立って、話を聞いて、整理していた頃。


目立たなくて、評価されることも少なかったけれど――


それでも、嫌いじゃなかった。



……そうか。かおりは、少しだけ笑った。


それが好きだったから、この仕事を引き継いだんだ。


ずっと前の事だったから、忘れていただけ。

物を作る前に、人の話を聞いていた自分。

流れを整える事に、やりがいを感じていた自分。



私の原点は、そこだったんだ!


胸の奥が、すっと落ち着く。

派手な事は出来ない。

世界を変える英雄でもない。


でも――


人と人の間を、少しだけ整える。

それなら、これからも続けられる。



かおりは、集積所から目を離し、歩き出した。


次にやるべき事は、もう見えている。

物か、仕組みか。


その答えは一つじゃない。

必要な方を、必要な分だけ。


それを、皆と一緒に決めていけばいい。

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