第57話『ギルドに集う影と笑いと、時々ウケール』
ギルドの扉を開けた瞬間、あの独特な喧騒が耳を打った。
「おーい、ヨシオ帰ってきたぞーっ!」
ウケールが誰よりも元気に叫ぶ。おい、まだクエスト終わってねぇぞ、報告してねぇし。
「うるさいっての……」
俺は額に手を当てながら受付に向かう。今日は新人受付のメイベルさんがいる。俺のことをやたら「お兄ちゃん」と呼んでくる困った人だ。
「おかえりなさい、お兄ちゃんっ♥」
「やめて、マジでやめて。名前で呼んでくれ」
「ヨッくん♥」
「悪化してるーー!?」
後ろでエリュが無言で報告書を出していた。彼女はこういう茶番には絶対乗らない。羨ましいくらいだ。
「魔力反応調査の件、依頼主に報告して報酬を……っと、今回は全員で分配ですね〜」
ギルドからの報酬はまずまずだった。金額的には多くないが、情報収集の意味では十分な成果だった。
それより――
「で、次の依頼なんだけどさ」
リリィが報告書の最後に書き加えながら俺に言った。
「見て、これ。最近噂になってる“空飛ぶ宝船の目撃情報”……この依頼、ちょっと面白そうじゃない?」
「宝船……?」
「そう。山脈の上空に、黄金の船が現れたって。で、目撃者が全員なぜか“宝物の夢”を見るらしいのよ。ギルドは幻覚か精神干渉魔法の疑いがあるって踏んでるみたい」
「へぇ……なんか面白いじゃん」
俺が頷くと、隣でウケールがいきなり机を叩いた。
「決まりだな!! 夢に宝だぞ!? 俺の鼻がうなってる! 伝説の焼肉の匂いがするぅぅうううっ!!」
「それは幻覚だと思う」
俺の冷静なツッコミに、一同が笑った。
ミーナが小さく手を上げる。
「ところで……次の依頼に行く前に、ちょっと休憩しない? 街の北に新しい温泉できたらしいし……♪」
「温泉だと!?」
リリィとウケールが同時に反応した。
「えっ、いや、クエスト優先じゃ――」
「そんなの行くに決まってんでしょ!」
「絶対行くに決まってるじゃん!!」
みんなの視線が俺に集まる。
「決まりね、ヨシオ♪」
……このノリ、断れるわけがない。
俺は心の中で「戦いより疲れる日常ってあるよな」とつぶやいたのだった。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!!」
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