第3章 盗賊と呪いと合成道具
リリネッドとクロウは盗賊を数体と戦っていた。
クロウは下級魔法で次々と倒し、リリネッドは剣を差し出しそれを嬉しがった盗賊が剣を持とうとしたが持ち上げることができず、その隙を見たクロウが攻撃する。
クロウは体術でも盗賊を倒していく、リリネッドは倒れた盗賊の上に剣を乗せて重さで身動きを止める。
盗賊たちはみな退散していった。
「も~面倒だよ、どれだけ盗賊出てくるのよ~」
「勇者の称号は価値が高いからな。そりゃ~ほしいだろう。リリネを誘拐でもなんでもすればなんでもできるからな」
「そんな価値が私に」
「お前じゃなく勇者っていうカテゴリなぁ。それにほとんど倒したの俺なぁ。お前は剣をがむしゃらに振り回していただけだろう」
「・・・」
「無視!!」
リリネッドとクロウが少し歩いた先にまた一人の盗賊が現れた。
「また盗賊だ」
盗賊は息を切らしながらふらふらと二人の前に近づいてきて倒れた。
「あ、倒れた」
「じゃ~行くぞ」
「ちょっと待って」
リリネッドは盗賊に近寄る。
「この人、苦しそう。病気かな?」
クロウはため息をしながら魔法で盗賊の状況を調べる。
「なるほどな。コイツ、呪いに掛かっている」
「呪い?、解ける?」
「俺は魔法使いだ。僧侶じゃ~ない。置いていくぞ」
「でも」
「あのな~、そいつは盗賊で悪いやつだ。つまり犯罪者だ。助ける義理はない」
「でも、この人にまだ悪さされてない」
「そんなんでお前は助けるのか? 助けて、命狙われたらど~すんだ?」
「クロウがいるから大丈夫だよ」
「………そうかよ」
クロウはヤレヤレという感じを出しながら盗賊を背負う。
「とりあえず、あそこに見える村にいこうよ」
「ああ」
「じゃ~お願い」
「は?、なにが?」
「いやいや、あそこまで飛ぶ魔法が」
「………あのな~、移動魔法は上級魔法でそんなにホイホイ使えないんだよ。特に俺はあまり魔法が使えない魔法使いだ」
「え、何それ?、ハズレじゃん。今更そんなこと言うなんて。マジないよクロウ。詐欺だ」
「でも、あの城にいる中では俺が魔法使いとして上だから」
「自分で言うところがねぇ~」
「ということで、移動魔法は1日1回24時間内で1回だ。覚えておけ」
「?、まぁ~いいか。わかった、じゃ~行こう」
少し離れたところに村を確認した二人はそこに向かうことにした。
●●●
村に着くと荒れ果てていてあまり人がいなかった。最近、襲われたとかではなくかなり前からこうである状態であった。
「人はいるな、協会はなさそうだが。俺は図書に行ってくる。いい情報があればいいが。もう手遅れかもしれないが」
「その人は宿屋に泊まらせておこうよ」
「治したらコイツから金を奪うぞ」
「言ってることが盗賊じゃん」
二人は話し通りに盗賊を宿に泊まらせてからクロウは調べに図書に行き、リリネッドは村の回りを散歩をすることにした。
「それにしても雪道が近いせいか少し寒いよここ」
とそこに村の住人の女性が話しかけてきた。
「雪道ができたのはここ数年前からよ」
「そうなんですか?」
「数十前に魔帝国の幹部とやらが来てその先にある古い城に住むようになったせいで、あの辺は大吹雪が起きてるのよ。それに4.5年前には鬼がでるようになったりして大変なんで」
「幹部に鬼かぁ…」
「ところで何しにこんな村に?」
「ああ、それが」
とそこにクロウが戻ってきた。
「わかったぞ、奴にかけられた呪いが」
「はやかったねぇ」
「まあ、呪い魔法は関係は昔に調べたことがあってな」
「で、治せそう?」
「完全には無理だな、呪いってのは魔法と違うから。でもある程度な癒すことはできる。材料があれば薬が作れる。俺たちが持っている材料だと生成の薬草と元キノコがあれば完成するんだが」
リリネッドと一緒にいた女性がハッとした感じ話す。
「でしたら私が力になります。申し遅れました、私はこの村で栽培業をしているペギーサと申します。元キノコならたくさんあるのですが、生成の薬草があるかどうか。。。私の家に一緒に来てもらっていいですか?」
二人はペギーサの家に向かうことにした。
●●●
ペギーサの家の中は殺風景であったが花や植物のつるなどが飾られていた。種や植木などが置いてる棚をペギーサは調べていたがやはり、生成の薬草だけはなかった。
「ごめんなさい、お力になれず。種はあるので魔力を使えばすぐにできるのですがこの辺には凶暴なモンスターがいて魔力を使うと襲ってくるんです」
「悲惨な村だな。近くに魔帝の幹部がいたりして。村から出って考えはないのかい?」
「この村は私たちが育った場所です。何人かの住人いなくなりましたが私や他の人もいます。それに、ここはいい土があるのでいい材料が作れるのです」
「商売人だな。ってなると俺たちがモンスターを足止めしとけばいいのかな?」
とクロウが言うとリリネッドがそれに続けて話す。
「そんな危険を冒さなくってもクロウがどこかの村に飛んでいけば簡単じゃない?」
「リリネは馬鹿か、言っただろうが移動魔法は上級で1日1回だって行って帰るだけで終わりだ」
「別にそれでいいじゃん。それであの盗賊が助かるなら」
「それで襲われたらど~すんだ?、その間にモンスターや魔物が出てきたらど~すんだ」
「別に倒せないことはないと思うけど」
「無理だ、経験も実力もレベルも低いがリリネが」
「無理かな」
「無理だ、ならペギーサさんを守りながらやった方が魔力を使わずに済む。それにリリネがそのモンスターを倒せば経験も上がる」
「うーん、じゃ~そうしますか。とそういえばペギーサさんはなんで私たちに手を貸してくれるんですか?」
「あなた達は勇者一行の方々ですよね」
「そうだけど」
「もし助けたら貸しができるかなって思っただけですよ」
●●●
家の裏にある畑に移動した3人。ペギーサは種を土の埋めて呪文を詠唱する。
「では、二人様。お願いします」
「「おう」」
畑の回りを光に包まれると植えたところから少しつづだが薬草ができ始めていた。それと同時に林から熊のようなモンスターが飛び出してきた。モンスターはペギーサの魔力を吸い始めた。
「よし、私が攻撃を仕掛けるからその隙にクロウが…」
とリリネッドが言っているときにクロウが空中に浮き出た魔法陣からビームの様なものでモンスターを瞬殺した。
「え?」
「す、すごい。あのモンスターを」
イキッたクロウの顔を見てリリネッドが怒る。
「話が違くない?」
「いや~勇者様が背中の剣を引き抜こうとして抜けずにいたのでつい」
「ちゃんと抜いたよ」
「ちゃんと腰につけるタイプではないよ、背中に背負うタイプだよって伝えなくては」
「だ、だれに?」
と話している間にもモンスターがぞくぞく現れた。
「アレだけじゃないんだ」
「あとは小物だけだ。あれなら勇者様でも倒せますね。俺は飛んでるやつ倒すので勇者様は下にいるやつおねシャース」
「すっごく気になる言い方だけどわかった。ペギーサさんもう少しだけ待っててください」
ペギーサは頷き詠唱に集中する。リリネッドは適当に剣を振り回し、クロウはナメ腐った顔で先ほどとは小さい魔法陣を無数に作り飛んでるやつ地面のやつも倒していく。そして数十分後に生成の薬草は完成した。
二人は薬草をもらい急いで宿に向かい薬を合成をする。
「これであの人助けられるね」
「あの人、生成の薬草だけじゃなく他のやつも作っていたけどな。かなりのやり手だよ」
「いいじゃん、人助けだよ、人助け。勇者だもん」
「ソウデスネ」
「なんで片言」
「ほら話いるうちに完成したぞ。これを盗賊に飲ませるぞ」
盗賊の体にタトゥーのように魔法陣のような模様が浮き出ていて苦しそういた。
「おい、これを飲め。少しは楽になる」
盗賊は頷き差し出された薬を飲んだ。すると見る見る模様が薄くなった。
「まあ、一時的だがな。これでコイツは数日は持つとして、どーします勇者様」
「言わなくってもわかるでしょ」
「はい、行こう」
「幹部の人と話に合いに」
「は?」
クロウは困惑した顔をして勇者リリネッドに向けた。