第2章 リリネッドは勇者である
勇者・リリネッドと魔法使いのクロウが国を出た翌日の朝頃。
「あ!!」
急に大きな声を出したクロウに、リリネッドが驚く。
「城に忘れ物した」
「うっええ~、結構歩いたよ。戻るの?」
「大丈夫、大丈夫。一瞬で飛んで行くんで」
そう言って魔法使いクロウは杖を取り出し、足元に魔法陣を生み出してサッと消えた。
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トダイカ国のギョク王城の中ー。
城の倉庫内からクロウはまるで盗人かの様な表情で荷物を奪って行く。
そんな彼がいる部屋の外の通路のから話し声が聞こえてきた。
「あの勇者って元はここの侍女だったらしいな」
「そうそう、目の前で剣を引き抜いたところを見たぞ俺は」
「まあ~、誰だろうと勇者は勇者だ。引き抜いたその日に住人と世界にその名を広めたな。俺たちはバタバタだったなあ」
「王様、選ばれなかった戦士や騎士をさっさと追い出して言ったな。あいつらが来てから城の回りがゴミや風紀が乱れていたから」
「この国はできてまだ100年も満たさない国だから何かと話題が欲しかったんだろうな。勇者がこの国に生まれたって過程が欲しかったんだろうな」
「なんにせよ、もう忙しくならなくなってすみそうだ」
二人の話し声はどんどん遠のいていった。
「クソな王もいたもんだ。さて、次あっちの倉庫でも盗m……。いや、退職金でも貰いに行くか」
クロウは悪びれる事無く、サクサク倉庫に潜る込んでいく。
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木を背に座り込んでいるリリネッドはゆっくりと動く雲を見てポカーンとしてる。
そこにクロウが沢山の荷物を持って帰って来た。
「あっ、お帰り」
「勇者様、ただ今帰りました。飯にしませんか?」
「あ、うん」
焚火を用意し、城の冷蔵箱から取って来た鮎を木の棒に差し塩を適当に着けて火の近くにおいて焼く。
別の焚火の上に鍋を置いてスープを作り出した。
「そういえば、クロウは魔法使いなんだよね?」
「そうですけど」
「魔法使いは何となくわかるけど、勇者ってどんな職業なの」
「通行所とか国境も普通に通過できるとか言ってましたよ」
「そうなの?」
「まあ~、あの王様が言ってましたしそうじゃ~ないですか? 知らんけど」
「てか、私が勇者ってわかるかなぁ~」
「あの王様が世界に知らせるとか言ってましたよ。それに冒険者として登録しているので問題ない」
「登録した覚えがないんですけど」
「城に戻った時にやっといたよ~。本当は旅に出る前にやりたかったけど、あの王様がさっさと追い出したから。(本当に早く追い出したかったんだな。あのクソ王~)」
「じゃ~本当に私は勇者なんだー……。 へぇ~」
「なんで他人ごとなんだ?」
「へへぇ」
「冒険者として登録しとかないとあとあと、メンド~だからやったんだよ」
「ふう~ん (なんかどんどん、敬語じゃーなくなってきてる。別にいいけど)」
「登録しとかないとクエストもできないし、金も稼げない」
「お金ならあるよ、王様から貰った5万ゴールドが」
「少くねぇ~。 なめてんのか! あのクソ王!!」
急に怒り出すクロウにリリネッドは反応せずに話を続ける。
「じゃ~旅の途中ですれ違う鎧とか付けている人たち冒険者なんだ」
「いや、冒険者だけって訳ではないよ。 ほかにも…」
クロウが話を出す前に3人の盗賊が現れた。
「お前が勇者だな、一緒に来てもらおう」
クロウがヤレヤレと思いながら頭を掻きながら話を続ける。
「これが冒険者として登録できなかった者だ。盗賊って言うコソ泥になる」
「へぇ~」
リリネッドはそう言いながらスープを飲む。
その慌てない態度にブチ切れる盗賊の一人はクロウに斬りかかって行くがクロウは華麗に避けながら杖を取り出して盗賊の一人の足を引っかけて転ばし、倒れた盗賊の脇あたりを蹴り飛ばす。
他の盗賊はビビッて動けずにいた。
「やんのか?」
クロウに威嚇に盗賊はビビッて逃げて行った。
蹴られた盗賊も脇あたりを抑えながら遅れて逃げて行った。
「アレが盗賊ですよ」
「何で、私が狙われたんだろう?」
「強いパーティーが欲しかったか説」
「パーティー?」
「お前は何も知らないんだな」
「(お前!?)」
「冒険者として作れるチームの事だよ。先ほども言ったけど勇者ってもは何しても許される風潮みたいなのがあるんだよ。今後もこんなの沢山くるぞ」
「うっえぇ!! いやだなぁ~」
「俺もこんなのが沢山来ると疲れるんで仲間を作ろう」
「それもいやだぁ~」
クロウはリリネッドのそんな態度を見て大きなため息をするのであった。
「結局、勇者って何する人?」
「そうですね、困っている人を助けたり、村とか王国とかを救うとかですかね。まあ、最終目的は魔帝国を滅ぼす事ですけどね」
「滅ぼす…それってしないとダメなの?」
「それが世界の願いですから」
リリネッドは立ち止まり考えた後、答えた。
「話し合いってできないのかな?」
「勇者様が本気でそれを考えているのなら、私はそれに従いますよ」
クロウは態度は従うポーズを取るが顔は信用できない表情を出していた。
「胡散臭い人だなあ~」
「ハハハハハァ」
他愛もない話を二人は続けて言っていた時、目の前に魔物が現れた。
「よし、やるぞ! 勇者様」
「戦うの? 倒すの?」
「ああ? ったりめぇ~だろう! 冒険者なんだから」
リリネッドは背負う剣のベルトを握り締める。
クロウはリリネッドの様子を見て頭を掻きながら仕方がなく、一人で魔物を打ち消す。
クロウは魔法で魔物達を倒したのを見て、リリネッドは悲しい表情を見せる。
と同時にオオカミのモンスターも向かって来たのでクロウは地面から炎を噴き出してモンスターを一気に倒す。
魔物は灰の様になって消え、モンスターは煙の様に消えて行った。
クロウは戦う事に迷うリリネッドに大きなため息をしてから口を開く。
「勇者様、もしかしてアイツらを殺すことに躊躇ってます?」
「えっ…う、うん」
「アイツらは人を襲うっている害悪だ。迷う理由はない」
「でも生きてるし」
「生きてる? アレを?……。そうか、そうだよな。そう思う奴もいるか」
クロウはそれでも言う。いや、言わなければ駄目だと思い話す。
「いいか、勇者! いや、リリネッド!」
「ん?」
「まず、モンスターは魔力のみで生きているだけの言わば、綿飴のような生き物だ。純粋無垢な生き物で何も考えずにいるだけ。だいたいが意識なく人を襲っている事が多い。で、本気で人を襲う物は怪物の王が生み出した時に使命として込められた本能でやっている事。アイツらに脳で動くってことはない。あとは魔力を感じて近づく事もある。毒持ちや、触れただけで危険なモンスターもいるから皆は倒すんだ」
「そうなんだ」
「次に魔物は知能があるだけ危険だ。モンスターと同じでエネルギー体ではあるが考えるっていう機能を持つ。だがたいがいは魔帝王が野放しにしてるだけの危険生物。9割が人を襲う。無差別に襲う。アイツらを倒さないと村も街も壊滅して人は死ぬ」
リリネッドは俯きながらもクロウの話を聞く。
「リリネッド、お前は勇者に選ばれた。モンスターも魔物も倒さないといけないんだよ。例え、命を奪ってでもな! 世界の平和の為に」
「そうしないと誰も助けられない? それが勇者なの?」
「そうだ、それが勇者だ! 勇者は人を救うために苦しいが悲しいが嫌だがそれでもそのすべてを背をって戦うのが勇者だ!」
クロウの真っ直ぐな目を見てリリネッドは目を閉じて少し考えて背負う剣のベルトをギュッと握り締めた後に手を離して覚悟を決めた表情になった。
「わかった、私は勇者になるよ。いや、私は勇者なんだよね。そうだよね」
「ああ、大丈夫だ。俺もいる。それがパーティーだ」
「うん、よろしくね」
「おう」
リリネッドは少しだけ安心した表情になった。それを見てクロウは少しだけホッとした。
そして夜になったー。
洞窟の中で寝床を探しているとごつごつして丸いモンスターが現れリリネッドとクロウは戦闘態勢に入っていた。
「面倒だ、リリネッド、剣をちゃんと握とけよ」
「え、なんで?」
クロウは魔法で作った紐をリリネッドに巻き付けたあとに、巻き付いたリリネッドを振り回してから、上にあげた後にそのままごつごつしたモンスターに剣が当たるように叩き落した。剣に斬られたモンスターは煙のように消えた。
「よし、うまくいった」
「ううううう、まくいったぁあぁぁ、じゃないよ‼、目が回る」
「しかたがなかったんですよー勇者様。アレはレベルが高いから勇者様では勝てないと思ったんですよ。勇者の職業は仲間のパーティーが倒したモンスターの経験値は入らないので。なら勇者様が倒したことにするためにはこの方法がいいかと。俺はその剣持てませんし」
「それなら、事前に言えばいいじゃん!」
「それじゃー面白くないだろうが!!」
「うっええ~」
こうして勇者・リリネッドと魔法使い・クロウの冒険が本格的に動き始めたのである。




