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勇者を利用する者たちの冒険  作者: とり飼ジン
冒険の始めり篇 ~勇者始めました~
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第13章 僧侶&ヒストリー


リリネッドが村に戻りクロウ達がいる教会に向かった。

中に入ると棺桶にサイガを入れようとしていた。

「うぉぉぉ! え、うへぇ? し、死んだの?」

「いや、こいつめちゃくちゃ生命力が高くって死ぬ気はないけど死にかけてるからとりあえず、邪魔だからこの中に入れておこうかと」

「だとしてもこの中ではないと思うけど…まあ~いいか」


と後からソロアクが入って来た。

「神父様、子供たちの様子を見てk…あれ、勇者様ここに来ていたんですね。 もしかしてそちらの方々はお仲間ですか?」

「うん、そうだよ。コイツは違うけど」

リリネッドは棺桶の中で眠っているサイガに指をさす。

ソロアクはサイガを見て驚いて近寄る。

「この方、まだ生きていますよね? 少し失礼」


ソロアクはサイガに手をかざした。

「何してんだこやつわ」

「もしかしてお前、僧侶か?」

「はい」

「治せるのか?」

「少し時間は掛かりますが治せます」


クロウとナギがその光景を見ている間、リリネッドは子供と話をしていた。

「なんであんな所にいたの?」

「度胸試しをしていたんだ」

「誰が一番近くまでドラゴンに近寄れるかって」

「カスケくんが魔法で浮かしてくれるから」

「すごいねぇ」

「でも、もうやらないよ」

「なんで?」


子供たちは

「あのドラゴンが卵産んだから」

「へぇ~それは危ないねぇ」

「母ドラゴンは狂暴だって母が言ってたんだ」

「ドラゴンがいるってことはこの村の人たちは知っていたんだね」


と話しているとサイガを治しながらソロアクが話に入る。

「だから、あそこにはいないだろうと思って村の人たちは最後にしたんだ。まさか本当にいるとはね」


そして数十分が経ちサイガは治ったが一時的に教会に休むことにした。



 ●●●



リリネッド一行はソロアク共に飲食店に着き腰を下ろす。

リリネッドはチョココロネを頼み、クロウはパスタを頼み、ナギはラーメンとハンバーグ定食を頼んでソロアクはコーヒーを頼んだ。


「そういえば、ソロアクは僧侶なんだろ? だったら俺たちとパーティやらないか?」

「クロウ、この人もうパーティ組んでる」

「マジか、こんな優秀な僧侶はあまりいないぞ」

「ははは、ありがとうございます」


クロウがナギが食べているハンバーグ定食の添え物に一切手を出していないのに気が付いた。

「ナギ、残すなよ」

「いや、ワシは食べてやりたいのじゃがなぁ~、こやつが薄味なのが悪い」

「一切手を付けてないように見えるが」

「口に入れなくてもわかる。 ワシは鼻をなめるな」

「ナギ、残すのは許さないよ。好き嫌いないよね」

「リリネッドでもワシの口入れる物に関しては口を挟ませんぞ。 口だけに」

「「(うっざ)」」

「もういい、勇者様、食べておいてくださいね」

「いつもの事だよ」


3人はそのまま飲み食いをつづけた。

その光景はソロアクは微笑みながら見ていた。

「(いいチームだ)」

「どうしたの? ソロアクさん?」

「いや、なんでもないですよ。 ところでクロウさんでしたっけ?」

「ああ」

「貴方から何やら呪いの力を感じますが誰かに呪いをかけられましたが?」


クロウは少し黙ったあと普通に答えた。

「ああ、呪いに掛かってるぜ、治せるのかいアンタに」

「無理ですね、それは普通の呪いの魔術とは違うようですね。見たことも学んだこともない。それは掛けたものでないと説くことができない類ですね」

「そうか、残念だ。」

「失礼ですがどんな方にかけられたんですか?それとどんな呪いを?」

「どこの誰かもわからに奴にだよ。 この呪いは…」


クロウがリリネッドとナギを見た後に説明する。

「お前たちにもちゃんと説明してなかったな」

「「うん」」

「簡潔にいえば魔術制限だ。俺はほぼすべての魔術を覚えているし、そこらの魔法使いに負けないほどの魔力を持っている。それにビビったどっかの知らねぇ~奴に呪いを付けられったってことだ。だから魔力が残っているけど魔術を使いまくると体から紋章みたいなやつが張り付いて魔術が使えなくる。心臓が握りつぶされている感覚だな」

「そうだったんだ」

「じゃから、お前さんから魔術を使ったあと苦しそうだったんじゃな。納得じゃ」


話を聞いていたソロアクが言う。

「みなさん、知らなかったんですか?」

「「まあ~な」」

「なんてチームだ!?」

「聞く機会がなかっただけだよ。こうして話してくれたのはソロアクさんがいたからだよ」

「勇者様…。私は聞いただけですよ。それにナギさんの剣からも呪いの類が感じますが」

「マジで、ナギ?」

「前にも話したじゃろ? ワシの剣は女神から貰った奴じゃって、こいつで斬られた奴は魔力を吸われるって」

「ああ、そんな話をしていたなぁ」

「それだけじゃないんじゃよ、これを持っていれば魔術の類がまったくワシには通じなくなるっていう女神のお墨付きじゃ」

「(私のパーティ、呪い持ち多いいなぁ、やだな)」

「どちらも私が何かするとこはなさそうですね」


そう言ってソロアクは立ち上がりお金をおいてでていこうとしていた。

「あ、待ってソロアクさん」


リリネッドもソロアクについて出て言った。

「勇者様が気に掛ける人がいるとわ」

「気になるか?」

「一緒に旅してまだ浅いが初対面の人を気にするの初めて見たからな。 ナギ、あの僧侶…」

「ワシも同じことを思っているところじゃ…ほしい」

「引き抜くか」

「あ奴の仲間と商談じゃな、さてどこにいるのか」


クロウとナギはソロアクの仲間の冒険者を探しに店を出た。



 ●●●



リリネッドはソロアクの後ろをついて行く。

「どうしましたか?」

「少しの間、ついて行っていい?」

「…いいですよ。 あまり面白いことはないですが」


ソロアクは村の人が困っている話を聞いたり、助けたり、ケガなどを治したりと人の為に何かしていた。

リリネッドはそれを眺めていた。その近くに子供がお話を売りに来た、リリネッドは子供と同じ目線までしゃがんで4つ買ってあげた。


その後もソロアク村を一周する感じで歩き続けた。

「いつもこんなことしてるの?」

「そうですね」

「村の人は謝礼も見返りもないのに?」

「貰ってますよ」

「え、いつ?」

「みんなの安心した顔ですよ…すこし休みますか」


ソロアクとリリネッドはベンチに座る。

「私の昔話に少しだけ付き合ってもらっていいですか?」

「うん」

「私が生まれた場所は治安も悪く盗み、強姦、殺しが多かったです。ここに来る人はたいてい他の国に追い出された者や行き場所をなくしたものが行きつく場所でした。私は子供ながらここにいてはいけないと思ってその村を出ました」


リリネッドは黙って聞く。

「まだ幼かった私はお金もないし、どこに行けばいいか、わからなかったのでとにかく歩きました。泥の水の味は今でも思い出せます。まあ村にいた時も飲んだことがあるのでその辺は大丈夫でしたよ。魚や鳥などを食べたりして生き延びました。歩き続けてあれは半年ぐらいですかね、村の近くで倒れているのを村人が拾ってくださってそこの施設でお世話になったんです。綺麗な服に綺麗な部屋。私にとっては住みずらかったんでいつもそとで寝てしまってよく怒られてました。布団より新聞紙で寝てましたので。」


ソロアクは近くで飲み物を打っている屋台で飲み物を買ってリリネッドにも買ってそれを渡した。

「そこで私は思ったんです、こうしている間にもあの村は犯罪が起きていると。もしかしたら村を良くすればみんないい人になるんじゃないかって思いまして…。みんながやんだ心があるから悪い人になってしまうんだと子供ながら思いましたね。でも大人になった今でも思ってまして、だから私はあの村に教会を作りたいと思ったんです」

「教会を?」

「はい、私が神父になってみんなの心を癒してあげたいと思ったんです。みんなが次へと進めるように、背中を押せる人になりたくって」

「すごいね、沢山努力や勉強したんだね」

「そうですね…まだまだですけど。お金も稼がないとダメだったんで村出ようと思っていた時、酒場の張り紙にパーティの募集を見つけまして」

「今の人たち?」

「ああ、違いますよ。今の方たちとは別の人たちです。それからもいろんな人たちとパーティ組んでました。まあー今の人達はその中でも長いですね」

「いい仲間?」


リリネッドのその回答に即答できないソロアク。でも…答えた。

「はい、いい人ですよ、私の夢を一緒にかなえてやるって言ってくれましたので」

「優しい人たちだね」

「はいいい人達です」


リリネッドはベンチから腰を上げる。

「なんだ、うまく言ってんだ」

「はい?」

「もしもいまのパーティとうまくいってなかったら…」


リリネッドはソロアクの目を見てソロアクに向かって指をさして言った。

「仲間になってほしかったなぁ」


ソロアクも立ち上がりリリネッドに背を向けて答える。

「そうだと思ったので昔お話をしたのです。諦めてくれると思って…それでも私は仲間の所に戻ります」


リリネッドはその後も答える。

「いつでも、私は待ってるか、ソロアク!」


ソロアクは背中越しにリリネッドに手を振って立ち去る。



 ●●●



その頃、クロウとナギはクモグサたちがいる宿の部屋で会えていた。

「ソロアクを引き抜きたい?」

「おう」


クモグサは他の者たちと目を合わせた後答えた。

「いいぜ、別に」

「え、いいのか?」

「ああ、もういらないからな」

「いらないじゃと、どーいうことじゃ?」


カタハヤが答えた。

「かなり稼いで…」

「おい、カタハヤ!」

「すまない」

「いや、こちら話だ」


ナギはクモグサたちが身支度を整えていた。

「どこかに行くのか?」

「お、おうもうこの村から出ようかなと思ってな」

「ソロアクを置いてか?」


ブリノが言う。

「うるせぇ!! 急いでるんだ、連れていきたければ連れていけ」

そう言ってナギとクロウを部屋から出した。


「何か、怪しいのお?」

「ああ、兎に角、リリネッドに会おう。一緒にソロアクが居ればいいけどなぁ」



 ●●●



同じ頃、村の外れにある見張り塔で遠くを監視している村人が震えながら言った。

「た、た、たい、大変だ!!!」

「どうした?」

「ど、ど。、ドラゴンが!!ドラゴンがこっちに向かってきているぞ!!!」



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