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勇者を利用する者たちの冒険  作者: とり飼ジン
冒険の始めり篇 ~勇者始めました~
12/88

第11章 嘘と本当のカイワゲキ

魔帝城内、王室での会話。

 王はある報告を聞いて驚く。

十三ヶ(じゅうさんが)騎士団(きしだん)が二人もやられるとわ」

「はい、そうです」

窓台で一匹の猫のモンスターが言う。

「わたっちにはわかります。東北の方でヒジナシの気配が消え、その数日後にはフェビーワンも消えました。おそらく勇者かと」

「オルガの報告ではロヤアマーンが勇者を倒したと聞いていたが…」

「王よ、どうしますか?」

「今は、深海帝国との商談が先だ。ヒジナシがやられた今、深海に送るはずだった新鮮な野菜がもう手に入らなくなってしまったからな。さて、とりあえず今は量産できる野菜だけでも作って送ることに仕様。いつまでバレずにいられるかだがな」

「深海底国は兵力が違うからねぇ。敵に回したらやばいよね」

「だから、幹部と十三ヶ(じゅうさんが)騎士団(きしだん)を一人送っていたのに」

「アンタの幹部はみんな勝手だよね」

「ああ、全く困ったもんだ。ザクタマ」


王は窓から見える暗くどんよりした場所に一粒の光の月を見て言った。




 ●●●



夜。雨が降り3人は近くにあった廃寺で雨宿りついでにそこで寝泊まりすることにした。



「まとめよう」

「じゃ~クロウ、お願い」

リリネッドはその場で寝転ぶ。


「これでも勇者だから怒るなよ」

「もうなれたわい。で何をまとめるのじゃ?」

「優先とゴールを決めようって話だ」

「というと?」

「俺、いや俺とリリネッドの目的は魔帝王退治だ。お前は?」

「強いやつと戦うことじゃ。勇者といればそんな奴と戦えるって思って一緒におる」

「まあ~いいやそれは…」

兎に角(とにかく)、魔帝の王を倒すのが俺たちのゴールでそのためにはこの勇者・リリネッド(バカ)に経験をして貰わないといけないと思ったりしている。これでも勇者だし、ついでに人助けとかな」

「ほう、実績と経験というやつじゃな」

「顔を覚えてもらえば、世界を実際救った時、贅沢できるようにな」

「お前さんの目的はそれかい」

「それだけだよ。この勇者(バカ)がもっとヒーロー扱いされないと困るんだよ。今後の事も考えて」

「そうじゃな」

「ということで、今後は困っている人がいたら手を差し伸べる事、わかりましたかバカ(勇者様)


リリネッドは嫌な顔をした。

「おい!」

「誰も彼も助けてたら面倒だよ、クロウが好きにすればいいじゃん」

「コイツは!」

「まぁー、まぁーリリネッドの言っている事もわからんではない。助けるかどうかはその時考えよう。今は次どこに向かじゃろう?この先には村が3つそのルートに行くかじゃ」

「そりゃ~そうだ。望んでもないに幹部を一人を倒してしまったし、魔物も2体もやってしまったからなぁ、魔帝の王も黙ってないどうよ。まあ~さすがに幹部系が次の村にはいないとは思うけど。(いたら、この世界のバランスどーなんってるんだって思うわ、さすがに)」


ナギはダンジョンで見つけたこの辺の地図を見た。

「道のりに行った先に、大きな村があるそうじゃないか? 僧侶がいるかもしれんぞ」

「じゃ~、そこ行こう」

リリネッドは面倒になり適当に返事した。


「と、次行く場所が決まったところでこれ見てくれ」

ナギが変な形をした物を取り出した。


「なにそれ?」

「これは妖精達が教えてくれたんじゃが『嘘だ、本当だ機械』だそうだ。つまりは『嘘を見破る装置』じゃ」

「「へぇ~」」

「信じてないなぁ~。これは本物じゃ」

「どれ」

クロウがナギの手に機械を乗せた。

「ナギのその変な口癖はキャラ設定だ」

「う…い、いいえ」


機械は緑色に光り『本当(Yes)』と表示した。

「そうかキャラ設定」

「ふざけンるにゃ! こんなの噓っ子じゃ故障しちょる」

「はいはい、これが本物だってわかったよ」


『嘘だ、本当だ機械』は残り6回と表示した。

「なんだ、これは?」

「あと6回までできるって事じゃろ?」

「回数制限があったのか、せっかくだから一人2回で質問するか」

「おい、ワシはもう1回やっておる、そちら二人のどっちかは3回にせい」


リリネッドとクロウはジャンケンしてリリネッドが勝ちクロウが3回質問されることになった。

「じゃ~ナギの気になることか~なにかあるかな?」

「俺はいろいろあったんだけどな~」

「私が気になったことでいいや」

「なんじゃ?、なんでも答えるぞい」

「ナギは『女の子?』」


少し沈黙がったがナギが言う。

「女じゃ」

機械は黄色に光り『どっちつかず(△)』と表示し『あと5回』と出た。

「「「え?」」」


「いや、女子じゃ!!!、女子。ほれ!!!」

ナギは服を脱ぎだし証明させた。クロウは目をそらす。


「なんだ、よかった」

「なぜ、そんなことを言ったんじゃ!!?」

「説明ができないけど、なんとなく」

「何となくで疑うな!!」

「ごめん、ごめん」

ナギは服を着る。

「(え、どっち? え、どいうこと?)」

話がまとまったように見えたがクロウは思う。


「ともかく次はどっちに質問しようか」

「私でもいいよ。別に隠すことないから」


リリネッドが機械に手を触れる。

「ワシから質問させてもらおう。リリネッド、お主は『ワシの事が好きじゃな!』」

「(まな、なんて勿体ない質問をコイツは!!)」

「うん好きだよ」

「(で、即答で答えるんかい)」

「仲間として」

機械は緑色に光り『本当(Yes)』と表示し『あと4回』と出た。


「よかった」

「そんなに気になる事か? それ?」

「気になるじゃろが、普通。最初が断られている立場としてはなぁ」

「ああ、そうだったね…で、次は俺か」


クロウはリリネッドの方を見る。きょとんとした顔をするリリネッド。

「リリネッド、『お前の家族、また親戚、知り合いに冒険者がいるか?』」


リリネッドは少し考えた後に口を開いた。

「いないと思うよ。私家族いなかったし知り合いも知らないし」


機械は緑色に光り『本当(Yes)』と表示し『あと3回』と出た。

「あとはこの胡散臭い魔法使いだけじゃなあ」

「そうだね、丸裸にしてやろうよ」


リリネッドが今までに見たことがない感じが出ていた。

「(俺も初めて見る、勇者がめちゃくちゃ乗気だ)」

「ワシからいいか?」

「いいよ」

「ではさっそく」


クロウは機械に手を触れる。

「お主は『元勇者か?』」

「違います」

機械は緑色に光り『本当(Yes)』と表示し『あと2回』と出た。


「なんじゃ、お主は元勇者ではなかったのか。つまらん。あとリリネッドが全部使ってええぞ」

「なんでだよ」

「じゃ~ねぇ~、う~ん・・・そうだ。クロウ」

「な、なんだよ」

「私に『なんかしらの魔法をかけて助けてる?』」


クロウはリリネッドのまっすぐな目を見たあと、少しの間を開けて答えた。

「ああ、俺はお前に魔法をかけてる。それ以上は答えん」

機械は緑色に光り『本当(Yes)』と表示し『あと1回』と出た。


「やらしい奴め、お主なんの魔法を!!」

「それは答えない。それを言うと解かれてしまうからだ。(まぁ~嘘だけど)」

「ふぅ~ん。はっきり答えないのはわかっていたけど」

「ほら、あと一回だ。さっさと質問しろよ」


リリネッドはめちゃくちゃ考え込む。

「思いつかないなら、ワシが答えようか?」

「ま、待って、い、今言うから」

「そんなに考えても出ないならでんぞ」

「で、出るから、今出すから」


リリネッドが考えて考えて考え抜いた結果だした質問が出た。

「クロウが『今は幸せ?私たちと居て楽しい?』」

「質問が二つあるがまぁ~…」


クロウは手に持っている機械を窓から放り投げた。

「ああ!!!」

ナギが叫ぶ。


「っくだらねぇ。楽しかねぇ~よ。面倒だとか抜かす勇者に、血の気の多いガキのパーティといて楽しかねぇーよ。さっさと魔帝の王を倒して俺は楽して~だけだ」


そう言ってクロウはその場に寝転ぶ。

リリネッドとナギは目と目を合わせた後、寝る準備をしはじめた。

明かりを消して3人は眠りについた。



 ●●●




土砂降りの真夜中、一人の男が道を歩く。

「暗くなってしまった。でも大丈夫そろそろ村に着くころのはずだ。道を間違っていなければ」


男は遠くの方で薄明りを見つけた。

「これは?」

男が拾い上げたのは『嘘だ、本当だ機械』であった。機械は雨で壊れかけ表示もブレて読みにくくなっていた。

「雨で壊れているな」


そう言って男はそれを持ったまま歩き出すが男は足を滑らせて持っていた『嘘だ、本当だ機械』を崖に落て粉々になってしまった。


最後に表示したものは誰にも知ることなく赤色の光が消えた。



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