表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/84

第11話 ソウサクの案

「本当にそのようなことが可能なのですか?」


 俺の案を説明すると、クレチマスは興奮気味に身を乗り出してきた。

 うん、ちょっと離れてくれないかな? 好感触なのは分かったが物凄く顔が近い。生気の戻った整った顔立ちは、男の俺でもドキッとしてしまう位危険だ。


 クレチマスはとても驚いているが何てことはない。俺のとってはとても簡単な提案だ。今ある城壁を更に広大な城壁で囲い、安全な領地を増やすというただそれだけのことだ。また、他の街とこの街への魔物に襲われない街道を建設する。

 広大な畑を確保することで働き手と食料の両方を確保できるし、他領地と安全に行き来が出来るようにすれば、同じ食糧不足で困っている所に多少割高でも売りつけることが可能だ。そうなればこの街はここら一体の街の中でも中心となるだろう。また、豊かなところには優秀な人材が育ちやすいし、集まりやすい。食料生産以外でも様々な分野での活躍が期待できる。

 

 というのは建前で、本音は別のところにあるんだけどな。

 

「それと、こちらは友好の証としてクレチマス様にお渡しいたします」

 

 懐から「アイテム袋(大)」を差し出す。グランデムライムから作られた、総重量5トンまで出し入れ可能な便利袋だ。今回はこれに新鮮な野菜を詰め込んである。畑で作物が育つまではこれで何とかしてもらおう。

 使用方法を簡単に説明すると暫くカード化、実体化を興奮した様子で繰り返していた。まるで初めておもちゃを貰った子どもみたいだ。

 

「おお、素晴らしい。これ程の品を頂けるとは。もはやソウサク様にいくら支払えばよいか見当もつきませんな」

「いえいえ、そんなに吹っかけるつもりはありませんので安心してください。末永く私どもの国と仲良くしてくだされば結構ですよ」


 俺がいなくなった後も、数百年単位で仲良くしてもらいますよ?

 

 今回の作戦とアイテム袋に関しては他者に漏らさないように言い含めておく。厄介な相手に絡まれたくないし、クレチマスが話さない限り誰も俺の仕業だなんて思わないだろう。  


「それで、ソウサク様の作戦はいつ決行致しますか?」

「私は準備できているので、先に新たな城壁を作っておきます。城壁は今後という形で宜しいですか?その間にそちらの準備をお願いいたしますね」

「ええそれは勿論。それでは今から準備いたしますね」


 さあ、一仕事頑張るか。


 「マリ、少し危ないから離れていてね」

「はーい」


 クレチマスに教えてもらった城の庭までたどり着くと早速準備に取り掛かる。城は街の中央に位置するため丁度いい。今回も顔ばれ防止のため、お面を被ることにした。皆大好きひょっとこのお面だ。

 慣れ親しんだ土の塔を実体化し、久しぶりの空を楽しむ。見晴らしは良いし、風も気持ちいい。折角だからマリにもこの素晴らしさを味わってもらおうと誘ったのだが、残念ながら拒否されてしまった。

 目標の範囲――外壁からさらに街の半径の広さを目視し、壁の材料となる土を確保するために堀を作成していく。

 流石に広大な範囲のため、MP消費はないものの疲労感を感じる。それから暫くの時間が経過し、ようやく新たな城壁が完成した。

 

「おにいちゃん、お疲れ様。はいどうぞ」


 下に降りると、マリが自分のアイテム袋から取り出したジュースを笑顔で差し出してくれた。

いやはや、疲れなんてあっという間に吹き飛んだね。この笑顔のためならまだ俺は何時間だって戦える自信があるな。 


「おにいちゃん、ちょっと気持ち悪い」




「兵の諸君、見てのとおり奇跡が起こった。これから新たな壁内に取り残された魔物の殲滅を行う。その数およそ500、この街の発展のためにも諸君らのはたらきを期待している!」

「「おおー!!」」


 城壁作成から1時間ほど、ようやく準備を終えたらしい。騎馬隊1000人程がそこに集められていた。

 集められた当初は領主の気が狂ったのではないかと勘ぐっていたであろう兵士たちも、新たに作られた城壁を実際に目の当たりにして領主の言葉が真実であると悟ると、波打った歓声が轟いた。

 彼らの口々から「奇跡だ」「神の助けが」といったような言葉がでていることから、俺のことはバレていないようだ。ちょっと安心した。

 領主であるクレチマスも前線に出て魔物の掃討に当たるようだ。領主が前線に出るのはどうかとは思うが、自分は安全な場所で待機しているような者よりも、自分たちの前に立ち戦ってくれる者の方が民は付いてくるに違いない。


「ソウサク様、本当にありがとうございました。こちら、お約束の大金貨10万枚です。それから、こちらが30年間、街の総収入の5%を支払うという契約書です。街道が出来ればそれ相応のものをお約束いたしますね」

「はい、確かに受け取りました」


 よし、十分な資金ゲットだ。やったよ皆!


「ソウサク様たちはもう旅立たれるのですよね?」

「ええ、他に寄らなければならないところが沢山ありますので」


 暫くこの城に泊まって色々な話を聞きたそうにしていたが、俺としてはさっさと用事を終えてルーナ国に戻りたいため遠慮することにした。よその国よりも自分の国の方が優先だ。


「本当にありがとうございました」

「こちらこそ。また機会があれば立ち寄らせていただきますよ。それと、魔物の殲滅に向かうならこちらをお使いください」



【名称】 伸槍(グロウ・ランス)

【クラス】武器

【詳細】 

伸魔鉄から作られた槍。魔力の込める量により自由自在に長さを変えられる。

槍の伸びる速度により攻撃力がプラスされる。


 クレチマスに死なれては困るため専用の槍と回復ポーションを10個ほど手渡す。 これで死ぬ確立は大幅に下がるはずだ。


「おお、こんな高価な武器まで与えてくださるとは。ここまでしてもらったのです。きっとこの国を豊かにしてみせましょう!」


 おう、頑張れ。クレチマス達が頑張れば頑張るほど、俺たちにお金が入るからね。その為になら多少の手助けくらい、暇があればしに来るさ。


「さあ、次の街に出発しようか」

「うん、でもその前にお腹すいたよー」


 ……そういえば昼食食べていなかったな。



 

大変お待たせいたしました。本日分の投稿です。間に合ってよかった……。

また明日も宜しくお願い致します! 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ