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第3話 ?属性

 翌朝、食堂に集合し、改めて今後の予定を話し合うことにした。

 まずは食料の確保だ。食肉は家畜を育てて賄いたいところだが、残念ながらその道に精通している人がいない。暫くの間は魔物を狩って賄うしかないだろう。幸いにも魔物のストックは山ほどある。暫くは困ることはない。

 次に穀物と野菜の確保だ。誰にこれを担当してもらうかだが……。


「それなら俺らが適任だな」

「それは助かります。多分このメンバーだったらタークさん達が一番適任だと思いますので」


 というか、タークさん達以外では小さい畑ならまだしも、大きな土地では作物を育てることは無理だろう。

 彼らには、冒険者として余生を過ごしたいという思いもある。魔物狩りの時間を確保できるような方法を考えておこう。


 次は防衛だ。これはグレンさん達が適任だろう。国の周囲を探索しつつ魔物の動向を調査してもらおう。

 彼らの力ならこの町の周囲の魔物は大丈夫だと思うが、念のためにHPポーションを大量に渡しておこう。それに加えてルックアイリングを渡しておけば無謀な戦いをすることはないだろう。


 後は内政面だ。これはミハルに協力してもらうのが一番だろう。必要な人材の確保、金銭の確保、物価の値段設定、防衛方法、考えることが山済みだ。

  

「ソウ兄ちゃん、俺達の訓練の時間も忘れるなよ!」


 そういえば、それもあったな。いい機会だ、年少組を育てるついでにギルド運営方法や魔物討伐のマニュアルを作成していこう。

 まずは、戦闘系のスキル確保が魔物討伐の必須条件に設定するべきだな。グレンさん達に話を聞いてみると、小さい頃から木剣で素振りや模擬戦をしていたら、いつの間にか体がスムーズに動くようになってきたと言っていた。恐らくではあるが、真剣にそれに打ち込んでいたらスキルを習得できるのではないだろうか。他の細かい内容は年少組の様子を見ておいおい考えていこう。



「というわけで、今から年少組の訓練を始めたいと思います。それではグレン先生、お願いします」


 ここは魔物が住んでいる森のど真ん中だ。安全のためにも、年少組が魔物に負けないくらい強くなってもらい、自分の身は自分で守れる力を身につけてもらわなければならない。俺では武器の扱いの基礎は教えられない。スキルを獲得できるか試すためにも、グレンさん達にみっちりしごいてもらおう。がんばれ少年少女たち。


 

「さて、ミハル。まずは何から片付けていくべきだと思う?」


 執務室(仮)に二人で引きこもり、今後の対策を考えることにする。


「やっぱり、まずは安全面ではないかな。数は少ないですが、飛行型の魔物も存在します。空からの魔物は今のままでは対抗しようがないですし、何とかしたいところですね」

「やっぱりそこだよな。そこを解決しない限り新たな住人を移住させるわけにはいかないんだよな」


 案がないわけではない。遠距離攻撃する魔物とゴーレム、この2体を手に入れることが出来れば対空設備を作ることが可能なはずだ。でも、この森でゴーレムを見たことがないんだよな……。


「資金に関しては、今すぐ必要ではないと思います。幸いにも資源はソウ兄が余りあるほど保有していますし、他国から購入しないといけないものもありません。新たな住人が移住してから用意しても十分に間に合うと思います」

「民が給与をもらいそれを使用して生活できればいいのだから、既存の貨幣じゃないと駄目っていうわけでもないよな」


 でも、将来的に他の国とやりとりするのを考えたら、既存の貨幣のほうがいいのかな。

 さくっと国相手に何か売りつけてこようかな……。


「それから次に――」


 その後、数時間ミハルと話し合い本日の会議を終わらせた。とりあえず、今日まとめた内容はグレンさんやタークさんにも後ほど見てもらおう。

 まだまだ国として機能するまで先は長そうだ。




「うー、疲れた」

「はは、お疲れさま」


 夕飯後、テラスで空を眺めていると、マリがふらふらした足取りで隣までやってきた。訓練で相当しごかれたようだ。

 少しだけ訓練風景を眺めていたが、思っていた以上にスパルタだった。年少組はこの訓練に耐えられるのかと心配していたが、夕食の様子を見る限り、その心配は杞憂に終わりそうだ。彼らは間違いなく強くなれるだろう。


「どうする? 今日はやめとくか?」

「んーん、頑張る!」

「よし、それじゃあ特訓を始めよう」


 マリの魔法適正は俺の能力でも良く分からない。

 しかし、一般的に知られている魔法属性ではないのは確かだ。そうでなければ『?術』なんてものが表示されるわけがない。そこで俺は前の世界での知識も活用してどれかヒットするものがないか探そうと思っている。数打ちゃ当たる作戦だ。

 強くするってマリとも約束したしね。

 幸い、魔法というものは魔法名を唱えなくても発動するものだ。ただ、唱えたほうがイメージしやすく威力は天と地ほどの差があるが。

 そのため、この数うちゃ当る作戦もそう捨てたものではないだろう。


 それから2時間ほど時間をかけて、毒、闇、光、爆発、岩、氷、空間、金属など色々試してみたけど結局何も習得することはできなかった。こちらも先は長そうだ。


「なかなか上手くいかないね」

「砂漠で一粒の砂を見つけるようなものだし、仕方がないよ。ちょっと休憩がてら気分転換しようか」


 俺は一枚のカードを取り出し、とっておきのそれを出現させる。


「これはなに?」

「これは『天体望遠鏡』というやつさ」

「てんたいぼうえんきょう?」


 ちょっと待ってな。倍率を調整してっと、よしきれいに写っているぞ!


「ほら、みてみな」

「これを見るの?……うわぁぁぁ、なにこれ綺麗!」

「そうだろう。これはあの天に輝く星を拡大してみたものさ」


 地球にいた頃には見たことのない星ばかりだ。

 新たな発見がありとてもワクワクする。

 マリも同じく未知な光景に目を輝かせている。


「わっ、なんか青白く光って移動している星があるよ!」


 光って移動している星? 彗星か!?

 急いで空を見上げると、一輝く星が弧を描いて視界から消えていくところだった。残念。

 多分マリが見たのは彗星ではなかろうか。天体望遠鏡で捉えられるとか奇跡だな。


「それは彗星っていって、氷と塵が集まって出来たものなんだよ」

「あれが塵? すごいね、塵でもあんなに綺麗に見えるんだ」


 本当にね。あんなものが綺麗に見えるのはまさに不思議だ。

 

「すごいね、真っ赤に燃える星もあったし、なんか輪っかに囲まれた星もあって面白い!」

「気に入ってくれて何よりだよ」

「他にも、大きくて黒い何でも吸い込んでしまうものや、逆に白くて色々吐き出しているものとかもあるんだぞ」

「へー! ねーねー、特訓の後またこうして見せてもらってもいい?」

「もちろん」


 こんなのでやる気が出てくれるなら安いものだ。

 それに妹の頼みとあれば断るわけにもいかない。


「やった、おにいちゃんありがとう」


 ぎゅっとマリが俺の腰に手を回し抱きついてくる。

 あっなんかいい匂い…………はっ、これはマリの計算なのだろうか?お兄ちゃんをメロメロにさして妹の言うことにノーと言わせないための作戦なのか?

 落ち着け俺、相手はあのマリだ。メロメロになる要素なんて――沢山あるよな。兄は妹に勝てないということかっ!


「おにいちゃんなにしてるの?」


 気がつくとマリが俺から離れて怪訝そうな顔をしていた。

 ちょっと残念だ。


「ほら、早く特訓の続きしよう!」

「ああ、そうだな」

 

 それから再び1時間ほど特訓を実施した。

 正直、今日1日では収穫は期待していなかったが、マリは奇跡的に魔法を習得することができた。

 この時のマリのはしゃぎようといったら……凄かったです。

 習得できたものは、汚い雪球らしきものを生み出し、それを飛ばしてぶつけるといったものだった。

 マリは氷属性の適正があるということなのだろうか? しかし、習得欄では?属性のままであったため、この推測は違うような気がする。

 何はともあれ、これで一歩前進だ。



【魔法】

初級魔法

・?:プルキエス 

お読みいただきありがとうございます。

国の運営ってどうすればいいの?状態の著者です。

運営にはこんなことも考えないとだめだぜ!って言うのがあれば是非教えて下さいませ。

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