第25話 ファナ、盗賊団を討伐する
こうして私たちは、エリクに先駆けて西の国境近くにできた新しいダンジョンのところまでやってきたのだったが――。
「たのもおー!」
そう言いながら、『どがぁん!』と建物のドアを蹴破り、問答無用で内部に向かって叫び散らす。
「――な、なんだァ……!?」
前方からは、突然の出来事に動揺をみせる盗賊の声。
「お……、おい……! 魔術顧問師匠!」
そして後方からは、私の突然の暴挙に驚く黒髪リーゼントの声。
――ん?
私が今、何をしているかって?
「――ねえ。聞きたいんだけど、ここ、ちり紙盗賊団であってる?」
「ちり紙じゃねえ死神だよおるぅあああああ!? 死にてえのかクソ野郎!?」
いわずもがな。
世のため人のため魔術のため――盗賊退治をしているのである。
きりっ!
☆ ☆ ☆
さてさて。
こんな雑な説明じゃ納得してもらえないだろうから、ちゃんと説明をしよう。
あれから。
無事に西の国境の新ダンジョン近くまで到着した私たちがとりあえず野営地を作ろうとトンテンカンテンしていたところに、盗賊が現れたのでした。
もちろん、盗賊なんかに遅れをとるファナちゃんではありませんので、そこは即座に一網打尽。
そうして倒した賊を吐かせたところ、どうやら私たちとほぼ同じくして新ダンジョンを見つけた盗賊たちも、私たち調査隊が封印する前に目ぼしいお宝をゲットしたいと考えたらしく。
到着した私たち調査隊御一行様を襲おうと画策したところ、こうして返り討ちにあったのでした!
ちゃんちゃん!
いや、ちゃんちゃんじゃないんだけどね……。
で、そこから、首謀者である盗賊団のアジトを突き止めた私が『邪魔をしてくる盗賊一味を一網打尽にしましょう!』と言って、黒髪リーゼントと一緒に意気揚々と盗賊団のアジトまで足を運んできたわけで。
そして話は、冒頭の盗賊団のアジト突入の場面に戻るのである。
☆ ☆ ☆
「い〜い? 素直に言うこと聞かないとぶっ飛ばすし、聞いても本当か疑わしいからぶっ飛ばすし、結論ぶっ飛ばすわよ」
「うぉい! 魔術顧問師匠!? 言ってることがめちゃくちゃなんすけどぉ!?」
「うっさいリーゼント! 邪魔するならあんたも一緒にぶっ飛ばすわよ!」
「なんでだよ!?」
ダン!
どぉん!
『ダン!』と強く床を踏みつけるのと同時に、片手にはめた指輪を使って無詠唱で爆発魔法を発動させる。
「なんだぁ、この嬢ちゃん。魔術師かあ?」
ダン!
どぉん!!
先ほどと同じ要領で、片足で床を強く鳴らすと同時に魔術を発動させる。
「ひとつ言っておくわ。これからあんたたちが口にしていいのは、『はい』か『いいえ』よ」
「は、そん……」
ダン!
どぉん!!
どぉん! どどぉん!!
『そん……』という単語を耳にした瞬間。
宣言通り、『はい』と『いいえ』以外の答えを口にしようとした盗賊その1に向かって、三連発で魔術をお見舞いする。
「グ……グレッグううううううぅぅ!」
「大丈夫。峰打ちよ」
――もちろん魔術に峰打ちなどない。
どうやらグレッグという名前だったらしい盗賊その1が、先程の魔術の衝撃で床に沈んでいるが、峰打ちという名の手加減で気絶をしているだけだ。多分。
「聞きたいことはふたつ。あなたたち、もうあのダンジョンには入ったの?」
「い……、いいえ……」
どぉん!!
盗賊その2の答えを受けて。
そのすぐ斜め前にいた盗賊3が魔術の爆風で吹き飛んだ。
「い……、いいえってちゃんと答えただろうがよお!」
「素直に言っても本当かどうか疑わしいからぶっ飛ばすって言ったでしょうが!!」
「む……、むちゃくちゃすぎる……!」
背後で、黒髪リーゼントがなにやら呟いたような声が聞こえた気がするが、まるっと無視する。
「ちなみに聞きたいことのもうひとつは、『私は争いごとが嫌いだから素直にここから立ち去ってくれたら見逃してあげようかな?』って思ってるんだけど。素直に聞く気ある?」
「あ……、争いごとが嫌い……?」
またもリーゼントが余計な一言を呟いたように聞こえたが、これもまるっと無視。
「く……、くそ……! こんなコケにされて、黙って『はいそうですか』っていうわけがねえじゃねえか! お前ら、いつまでもぼおっとしてんじゃねえ! 全員でかかるぞ!」
「「お……、おお!!」」
「ふっ、仕方ないわね」
――ダン!
どぉおおおおおおおん!!
盗賊その2の合図に、残りの全員がやる気を出して雄叫びを上げた瞬間。
私は、両手で使える指輪の魔術を全部使って、アジトの天井と外壁を全て破壊してふっ飛ばしたのだった。




