【パパはこっちこそ忍耐しているよ?】side サリュー パパと陛下…♡♡
目が覚めると、陛下の御寝所ではなかった。
周りじゅうが真っ白で、見覚えがある病室。
シルト先生?
俺、またやっちゃったか?
今、入院なんてしてらんない。困った。
「ターラン司令、熱が高いですね。
間違いなく、過労ですよ。」
「今、入院は困る。」
「困っても、駄目です。
とにかくまず、熱を下げましょう。
体が悲鳴を上げている証拠ですよ。」
「何日れれれる?」
あれ、口が変。
「少なくとも、数日ではありませんが…
何かご希望はありますか?」
「ここから、早く……」
「司令、それは無理ですので。
それ以外では?」
「病室を…移して。
ここ、静か過ぎ。」
「仕事……困った。」
次に目を覚ますと、本当に病室を移して貰っていた。
でも、廊下に足音がしたり、
少し人の声が聞こえたりして安心する。
前に入院していた時は、人がわずらわしかったのに、
今は静かだと、落ち着かない。
仕事、仕事どうしよう。
部下と秘書官に、ここに足を運んで貰うか。
次に目が覚めたら。
今は、どうしようも……なさそう。
そういえば、陛下が病で伏せっていらした事ってないな。
いつも俺ばっかりで。
申し訳ない。
*************
結局、10日後には、病室が執務室になっちゃていた。
部下がバタバタ出入りがうるさいと、
同じ階の入院患者から苦情が出て、無事に退院。
そのまま自分の執務室に向かおうとしたら、
スールさんが来ていて自宅に帰る事になった。
アロマが仕官学校の寮に入っていると聞いて、
少しほっとする臆病なパパでした。
スールさんの車に、ガレット准将を同乗させた。
前に頼んであったんだ。
ガレットにアロマの最近の情報を調べて貰った。
今アロマは、《仕官学校の生徒待遇》ってよく分かんない肩書きで、
軍の中をうろうろしてるらしい。
あいつ、いったい何をやっているんだろう?
ミラ様の‘びっくりクッキー’から、
ずっと気になってはいたんだけど。
**************
「じゃ、あいつ軍の中で勝手に《トラブルシューターミニチュア版》を始めちゃってるって事かよ?」
「お宅の坊っちゃん、
仕官学校で学ぶ事なんかないみたいっすよ。
ちゃんと試験の日だけ行っては、
満点トップぶっちぎりで、
誰も文句も言えませんよ。
実技の荒事の方もたいしたもんで、
可愛い顔して相当なもんっすよ。
体術の教官に俺の同期がいて、
可愛がってやろうと指を鳴らして待ち構えてたら。
体格が全然違うのになかなか卑怯な手も使って、
逆にめっためたにしちゃったらしいっす。
‘血は争えない’ってやつですかね。
『なんで、今さら仕官学校に来た?』って訊かれて
『パパが喜ぶかと思って。』と、結構な評判になってます。」
「はあ。」
「うちに、引き抜きますか?即戦力で使えそうですよ。
正直あなたの息子じゃなくても、引っ張りたいですね。」
「それだけは、絶対にダメ。
やめて下さい。」
「へいへい。分かりました。」
「その、トラブル処理ごっこの相手は誰さ?
どうしてポッと出てきた小僧を使うよ。
俺絡みの、縁故作りにでも利用されてるってかよ?」
「それが、司令。全然なんですって。
坊っちゃんの顧客はこっちと別口なんですよ。
だから、調べないとこっちの耳に入ってこなかったみたいで。」
「坊っちゃんの作った、義手だの義足だのの“ファン”というか、
なんか信者みたいになっちまったらしいっす。
昔ここらでブイブイ言わせていたじい様達。
その関係らしいです。
その信者のじい様の当時の部下達が、この頃では結構偉いさんになって。
その口コミで、あっちこっちからお呼びがかかって。
機械類とかのトラブルを請け負って、
ついでにちょっとした‘知恵袋’を披露したりって。
お宅の坊っちゃん、
帝国軍の中をピョンピョンと遊んでるように飛び回ってらっしゃいますぜ。
面白くなく思ってる連中なんぞが、
ちょっかい出し時には、逆にばっさばっさやっちまって。
『小悪魔小僧』と『救済の天使』だかの、
正反対の“二つ名”を使い分けて、いやあお見事ですよ。」
「はーーー。」
「司令、あの坊っちゃんは、
おとなしく納まってる‘たま’じゃないでしょう?
腹括るしかしかないですよパーパ。」
「うるせー。お前にパパ言われたら気持ち悪くてまた入院するぞ!」
*******************
一世一代、恥を忍んで挨拶に顔を出しに来た。
帝国軍一の国粋主義者。
カルコス大将のところへ。
半分以上は、不審に思われない為の説明?だね。
アロマの処遇を、俺はフェイントで決めた。
ミラ様にいただいた、クッキーの忠告を有り難くいただいて、
マケル宰相閣下よりも先手を取りたかったので。
陛下にアロマの存在を正式に認めて頂く‘言質’はまだ頂いてはいない。
でも一応、俺も帝国軍の人事権は、そこそこあるもんね。
だから、勝手にやっちゃいました。
陛下がご立腹になられたら、
その時は“謝まろうか”、“しらばっくれっくれようか”と思案中。
『たかが、仕官学校のゴミみたいな生徒の事まで
陛下のお心を煩わせようとは考えも及びませんでした!』
よし、これで行こう!
アロマを俺のだいっ嫌いな、
《若年従卒待遇》ちょっと年いってるけど、
で人事発令しちゃう事にしちゃった。
個人的には、全然付き合いのない、バリッバリの右翼派。
カルコス大将の従卒にして貰うようにお願いするつもり。
色々考えて、こちらでアロマを預かって貰おうと思う。
彼の部隊は、『ザ·軍隊』というか、体育会系の匂いがプンプン。
でも、皆さんカルコス大将を尊敬していて裏表のない気持ちのいい部隊だ。
カルコス大将は、決して‘脳ミソ筋肉’の人ではなく、優秀な将軍だ。
俺より少し上の年齢で自力でここまで上がって来たことからも、それは間違いがない。
戦場でも、
ギリギリの時に‘野性的なカン’を発動して数々の功績を上げている。
ただ、真っ直ぐ過ぎてちょっと痛い。
会議でカルコス大将をみていると
『その通りなんだけど、大人は飲み込んで言わない事』を、
しっかり言っちゃうようなところがある。
俺、結構それをみているの楽しくて好きではあるんだけれどね。
カルコス大将が部下を鼓舞する時の演説で。
『帝国にこのカルコスの命をかけて!』とか
『カルコス家の名誉にかけて!』とか
『皇帝陛下の御為にこの命を捧げて悔いはなし!』
よっぽど隠し録りをしておきたかったくらいだよ。
気分が落ちてる時に、再生して見たら元気が出そう。
‘家の名誉’のところは、
ちょっと趣味ではないけど、元気だからいいよ。で。
公の人事発令の前に、
当の本人のところには、少し先に連絡が行く。
そろそろ、カルコス大将のお耳にもアロマの事が入っているはず。
たかが、生徒1人の人事に公も何も普通ならないところだけれど、
俺達親子は2人で少し悪目立ちをしているから、
‘根回し’?的に。
息子の事にパパが出てくるのは“相当恥ずかしい”のをわかった上で、
ノコノコ出掛けて来ちゃった訳さ。
あーー恥ずかしい。
*****************
「ターラン統括司令閣下。
自分にあなたのご子息を託して頂く事は、
失礼ながらいささか意外である。
ご信頼頂けた事を名誉とは思うが。
少し、理由をお伺いしても宜しいか?」
うん、やっぱりカルコス大将は、‘脳筋’ではない。
頭の切れる人だね。
彼の幕僚達も、こっちに目をキラキラして、
でもカルコス大将と同調するように鼻息ブンブンで。
『うちの上官を侮辱したら、承知しないぞ!』の空気がムンムン。
カッコいいねえ。
うちの幕僚達と大違いだよ。
こういうタイプに、俺の屁理屈をかますのは遠回りになるな。
直球勝負だね。
「本日は、恥を忍んで、ひとりの父として先にご挨拶に参りました。」
「今回、うちの愚息をこちらの部隊で使って頂くように手を回したのは、
お察しの通り自分です。」
「なぜ?」
はいはい。そうですよね。そう来ますよね。
「端的に申し上げると、
以前からカルコス大将の気質を
遠巻きながら好ましく思っておりましたので。
部隊の雰囲気もとても好きです。
ただ、それだけと言っても、
裏に策謀でもとお疑いになりますか?」
「しかし自分はあなたと杯を交わした事もなければ、
今までろくに既知もないが。
自分の何をお分かりと仰るか?」
「カルコス大将、俺をあんまり嘗めないで下さいよ。」
おっとっと、幕僚さん達、ここで銃を打ったりしちゃったら駄目だよ。
「14から傭兵稼業をして成り上がったのは、自分の人を見る‘目’ひとつであった事と、それだけは自負しております。
後は、命を拾って来たのは、多分に‘運’。」
「ほお、自分を見込んで頂けたのは嬉しい事ではあるが。
どの部分をと、
あえてお伺いしてもよろしいか?」
ああ、俺にこれが言えたら、随分人生楽だった。
今だってこれを陛下に伺えないから苦しい。
「カルコス大将の、竹を割ったような御気性を特に好もしく思います。
自分には、ないものだからでしょうか?」
「ターラン司令閣下がですか。
いやいや、数々のあなたの武功を拝見する限り、
あなたの思い切りの良さと手腕の程には、
帝国随一の決断力をお持ちと拝察する。」
「あはは、それは“仕事”ですから。」
「と、仰ると?」
いやいや、結局短くはいかないか。
「私事になりますが。
娘に子供の時からよく言われてきました。
『クロおじさんは、いつも同じクロおじさんなのに、
どうしてパパは軍服を着ている時と、脱いだ時に違う人みたいになるの?』と。
あ、‘クロおじさん’は、クローレス上級大将の事ですが。」
「皇帝陛下には、陛下がお酒を召し上がった戯れ言に
『お前が‘素地’を出すと、帝国の恥になるから気をつけろ。』と、
いまだにご注意を受けております。」
「自分は、こちらで一般的な軍服コースを辿って来てはおりませんので。
もちろん、それに対して思うところがあるのではなく、
逆にそれなりの自負もあります。」
自負、自負入れといた!
こういうタイプにプライドがあるところ見せるのは大事だからね。
「ただ、あなたのような人を見ていると、
死んだ父が息子に望んでいた事が、
分かったような気がするのです。
父は生前よく自分に
『お前のような屁理屈ばかりこねる奴は、きっと上官に嫌われるだろう!』と、申しておりましたが。
父は、自分の息子があなたのような気質であったなら、
誇りに思った事と。
戦死した父の年を自分が越えたこの頃になって、
父も息子を選ぶ事が出来ずに可哀想だったと思うようにもなりました。」
「‘因果は巡る’と申します通りでしょうか。
自分が父にとっての理想的な息子ではなく、
手を焼かせた事への、しっぺ返しのように。
自分の息子もなかなか言うことを聞きませんで。
自分が軍服を着ている時に陛下の仰る‘素地’が出るのは困るので、
帝国から外に出すつもりで教育した息子が、
いつのまにか目の前をうろうろ致しておりました。」
「ただひとつ『親バカを承知で』。
うちの息子は、かつて息子だった自分よりは、
だいぶ人間がこなれているようで。
カルコス大将閣下の薫陶を受けながら成長をさせていただくうちに、
多少なりともカルコス大将の部隊でお役に立つ事が出来ます事を、
親として願っております。」
「あい分かった。心得た。
御子息は、責任をもって預かろう。」
「どうぞ、よろしくお願いいたします。」
敬礼ではなく、頭を下げさせていただきました。
パパとして。
*******************
「陛下。」
「なんだ?」
一戦終えた後で、寝台の上でちょっと陛下が甘めの雰囲気なので。
‘食後酒’を味わう時のようにゆっくりと、陛下は俺の髪の毛を指でクルクル遊んだり、
時々どっかに優しく歯をたてたり。
入院帰りだと、
‘喰われる’という感じにはなさらないので、
だいぶ楽です。
いつも、こうして下さらないかな?
でなければ、職分を分けていただいて。
‘喰われる’要員を、ピチピチの元気な坊やにでも、
目を移して頂くとか。
ああ、でも絶対に《親子どんぶり》だけはやめて欲しい。
「陛下、お年寄りと病後の人間には……んん…
優しくして下さいね。」
「何の事だ。」
「マケル宰相閣下は、
『陛下の御前にこのような不細工!』と、
散々に躊躇をなさってらっしゃいました。ん。」
あれれ、胸噛まれると痛いです。
「杖で歩かれるようになるまで、あ…へいか…。」
「ん?」
「リハビリは、大変…なんで…す
とく…に、お年…です…と……」
「ごちゃごちゃとうるさい口は、こうしてやろう。」
もう、ちょっと待って下さい。
「へえ…いか。」
「宰相…かっ しご…として もら…わな
また、おれ にゅう…い なる…」
「もう、わかった。黙れ。
マケルの話など、ここでするか?」
あーあ、やっぱり2回戦いくんですね。
******
明日は、絶対に早く起きて、
宰相閣下をお迎えにマケル邸に行かないと。
マケル宰相閣下がまだ陛下にご遠慮をしていたので、
『やっぱりやめる!』と仰ると困るから。
マケル宰相閣下が、どうにか杖で歩けるようになられたので、
明日は陛下に御拝謁なさる。
ここまでに回復して下さって、
本当に良かったよ。
マケル宰相には動作を変える時に、
手を添えてお手伝いをした方が安全なので。
ミラ様に習って、明日は俺が付き添いをするつもり。
“何気無く”お手伝いを上手にやれるように、頑張りたい。
陛下と汗だくやら、色々だくだくをシャワーで流した後に、
週末の夕暮れ時のティータイム。
陛下は、お茶ではないけれどね。
******
陛下が湯上りのローブを羽織って、グラスを持ち上げて、
袖が捲くれた腕に鬱血と、引っ掻き傷がみえた。
あれは、俺だよね。
夢中で覚えていないけれど。
途中で、陛下の腕を握っちゃったんだ。
さっきのシャワーでは、気がつかなかった。
どうしよう。
普段は、隠れるかな?
「陛下、陛下の腕を傷つけてしまいました。
申し訳ありません。」
「これか?何を今さら。」
「陛下の玉体を傷つけましたら、不敬にあたりますよね。
明日は、軍法会議でしょうか?」
「馬鹿か、お前は。
腕どころか、背に傷をよく付けられておるぞ。」
「ええええ、気が付きませんでした。
どうしよう。いつからですか?
今までも、ありましたでしょうか。
うわあ。どうしよう。」
「ククク。」
「申し訳ありません。
今後、気を付けます。」
「ただでもお前はすぐに、途中で考えごとをはじめて気を散らす。
その上、《気など使われたら》面白くもない。
もう、気にせずともよい。」
「はー。申し訳ありません。」
「きついか?」
えーと?きついって?体かな、仕事ではないよね。
「手術前と比べますと、特に不調を堪えるような事はありません。」
「不調がなくて、入院いたすのか?」
「それは、スタミナがなくて、この頃。
前よりも、すぐに電池の残量が切れるようでして。
申し訳ありません。」
「詫びる必要などない。
サリュー。
お前は、私を恐れてものも言えぬのか?」
?
「具合が悪ければ、そう申せば良いものを。」
はい陛下、実は少し怖いですよ。
陛下は絶対に不機嫌になられますよね。
「手術前と違うところは、
体調が悪い時には、
心の方が引きずられるような気がいたします。
術後の薬の影響かもしれません。」
「ふん、どのようにだ?」
「体調が悪くなると、……
何と言うか、『家庭内暴力を受けている奥さん』のような?
被害妄想の気分に陥ったり致しまして。
自分でも、情けないです。」
「何を言っている?詳しく申せ。」
「陛下のお耳を汚すような事では。」
「よい、申せ。」
「入院中に時々目にした光景で。
妻の入院に軍属の亭主が
『俺のお陰でこのような病院に入院できたと思っている。お前は自分に感謝せよ!』
と。
妻は、能面のような無表情で。」
「どういう意味だ。」
「いえ、陛下。
あの、意味はないのですけれど。
ああいう妻は、
日常でずっと同じような事に慣らされているようで。
亭主が怖くて何も言えないでいるのが、
日常になっているのだろうと。
怯えるのではなくて、
無表情になっているのがひどく不気味に見えました。」
「それがお前と、何の関係がある?」
「だって、陛下怖いですよ。
俺だって。
調子がよい時は、
このように生意気な口を利かせても頂けますが。
調子が悪い時は、
そういう気分に陥ったりもしたり…して。
……申し訳ありません。」
「嘘をつくな!
お前がいつ私に怯えてみせたか?
そんなかわいい様子など見たこともないわ。」
「えええ、嘘ではありません。
陛下、ほらご立腹なさるじゃないですか?
その、御寝所で、その……遠慮させて頂こうと致しますと。」
「ふん。
怒るやもしれぬ。
それでも申してみよ!」
「嫌ですよ。
陛下が不機嫌になられると、怖いですもん。
俺、怯えてしまいます。」
「私が、怒っても申せ。」
「えーー?嫌です。」
何か、じゃれあっているような、変な雰囲気。
お世話の『灰色』さんに、生温い視線で見られているような?
この頃、陛下のお近くの俺も接する『灰色』さんに、雰囲気が変わって来たような気配が?
人間っぽくなった?
陛下と、こういうまったりした時間も嬉しいな。
‘実戦’ばっかりじゃなくて、こういう穏やかな時間を御一緒させて頂けるのは、
とても楽しい。
陛下が照れたように仰る内容が意外だった。
「私は、その時は怒るやもしれぬ。
だが、後で考える。
だから、申してみよ。
お前には、許す。」
えっと、陛下?
何でそんなに、あっちのほうをお向きになって、怒鳴られますか?
ぷぷぷちょっと、陛下かわいい。
それにしても、この帝国は‘軍事国家’だから、
やっぱり“男尊女卑”の気風が強いんだろう。
病院の《かわいそうな妻》が、
そう珍しい事でもないように感じたし。
この帝国では軍事や、政治の参画は、
女性は殆ど皆無な状態だし。
ミラ様みたいな、女性だって結構まだまだ、
掘り出し物がいると思うよ。
もったいないなあ。
でも、今上陛下が女性をお近くに使われないうちは、
上からの変化は望めないかもな。
その陛下に仕える俺が、何かを言うべきではないけれど。
マコも医学界の男尊女卑で苦労して、いつも『キーキー』言っているもんな。
フレイアちゃんが大人になる頃には、
少しずつ変わっていたらいいけれど。
「陛下、以前に陛下にお話を伺った、……
過失をお許し頂けるという……
《剣術大会》の事ですが、
今回の申し込み受付が、入院しているうちに終わってしまいまして。
次回までに、少しずつ体を作りますので、お許し頂けませんでしょうか?」
ご機嫌が良さそうな陛下に申し上げてみる。
「半年だ!」
?何の事だろう?
剣術大会って、3年くらいに一回じゃなかったか?
「ええと?陛下。
半年とは?」
「開催時期をずらしてやった!」
「へえええ?そんなあ。無茶な。」
「何が無茶だ。私を誰だと思っている?」
そりゃ、陛下は陛下だから、
それぐらいのごり押しは出来るでしょうけれど。
今まで、ご興味をもたれた御様子もない‘行事’に。
わざわざ、皇帝陛下が口をお出しになったんですか?
現場が、大騒ぎになってるでしょう!
「半年で、体を治せ。
これ以上は、私の忍耐も限界である。」
陛下?仰る意味が全然分かりません。
忍耐って何ですか忍耐って。
今さっき、《ちゃんといたし》ましたよね?
あれで、忍耐。何ですかそれは?
俺、もう20代ではないんですけど。
45。40代も後半に突入するところですって。




