【パパはミラ様とゲームをする?】 side サリュー
「両方かなぁ。」
「私もそう思いますわ。」
俺今、相当に頑張ってここに立っている。
仕事の好き嫌いではなくて、物理的に立っているのがきつい。
*****************
マケル宰相閣下が皇帝陛下の代理として、公式発表で
『皇帝陛下の御子様‘方々’は、順調にご成長なさっている』
と、公表して以来、帝国中が沸き立っている。
‘方々’は、暫定4人だそうで、大量生産に心底驚いた。
妖怪マケル宰相の次の一手が何であろうと、もう巻き込まれるのは勘弁して欲しい。
と、思っていたのに、今度は『《政略結婚の仲の良さ》を目立つ様に世間にさらしてくるように。』と。
何の意味があるんだ?何を企んでいるんだかもう全然、理解不能。
皇帝陛下がきっといつものように『何の茶番だ?』と言って下さると思っていたのに。
玉座の肘掛けに頬づえをついて、頭を支えたまま、気だるげに
「好きにすれば良い」
と、仰った後、マケル宰相と俺を虫を追い払う仕草で、シッシと下がれと示された。
それで、
なんと、びっくり!!!
《メルキオーア皇帝陛下の在位40周年の祝典》を開くんですと!
ちょっと待ってちょっと待って!
ちゃんと数えた事もなかったし。
陛下は俺よりも13歳お年が上。
今、俺が40才、陛下は53歳。
初めてお目にかかった時は、俺が13才の時で、陛下はあの時26歳で在らせられたわけだ?
13の子供には、親父の年も陛下の年も‘ずっと大人’ということ以外は考えていなかったし。
年齢不詳の、美しい容姿の方だとは思ったけれど。
即位なさってから40年?
「マケル宰相閣下、メルキオーア皇帝陛下は、僅か御歳13歳で御即位なさったのですか?」
「はーー?今さらであるな。何をお前は?
いったい何年陛下にお仕えしているのだ!
呆れて言葉もないな。」
「この帝国で
祝い事と言うものは、大概1年を前倒しの上で行う事が慣例であろう?
そのような知識すら持ち合わせておらんのか?」
「申し訳ありません。育ちが悪いもんで。」
ちぇ、嫌なじじいですこと。笑
「陛下は、御歳14にして、先の愚帝を退けられ、この帝国の皇帝に御即位なさった。」
ほえー、俺がこの帝国を出ていった年齢と同じ14才で、帝国の皇帝位に就かれていらっしゃったって事か?
すげー。
*********
それで、この‘お愛想振り撒き大会’に‘帝国の統括司令ご夫妻’が並べさせられているわけよ。
皇帝陛下も宰相閣下も狡いったらさぁ。
皇帝陛下は、最初に御言葉を二言、三言。
普段あまり露出がなくて、ご尊顔を拝む機会がないから皆大興奮。
後は、皆でゆるりと楽しめ、って全然楽しくないから。
宰相閣下も、さっさと引っ込んじゃって。
陛下の代わりに《お祝いの言葉》を俺が聞かされたって、どの口で『はい、ありがとー』って言えってさ。
筋が全然違うだろう。
俺、めっちゃ体調もヤバいからね、今。
以前、朝起きられないほど調子悪くなって、救急医師対応になるのって、月に1回位で済んでたけれど。
最近、頻度が短くなってきて、月に2回が、10日に1回。
今は、週1回くらいで、ゾンビの顔色の朝。
この日に体調を合わせるのも、けっこうハラハラで、踏ん張って立ってるのさ、今も。
軍属はまだしも、だーいっ嫌いな方々もいらっしゃる(割りと殆ど全部の)高位の貴族様とにこやかに挨拶するのはもう限界よ。俺。
この間の、マコーレットとレヴィ君の結婚式の時でさえ。
ご招待させていただいたのは、軍属での俺の知り合い関係は、クロさん一家と、ミルゼス中将(官位上がられた)ご夫妻だけ。
レヴィ君の友達関係の軍服仲間は結構いたけれど。
後から、帝国のゴシップ新聞のネタに
『ターラン総括司令は、娘の結婚挙式でさえ、帝国の貴族を一切排除しており。
帝国の貴族階級の根底からの打ち壊しの目論見を秘めているという可能性が取り沙汰されている。』
って、はあ?
根底からの打壊?俺にそんな権限どこにあるのさ。
俺は今までずっと、物作って、救急お出かけトラブル解決隊してきただけだし。
貴族階級の知り合いなんて、1人も居ないからさ。
いない知り合いを呼びようもないだろうが。
第一、自分の結婚式にも‘貴族様’なんて呼んでもいないし?
あはは、本人知らないうちに籍が入ってました?あれ?のびっくり結婚に、式も何もあったもんじゃないけれど。
********
前に、ミラ様とバカ話をした時に。
いろんな夫婦がいるもんだよね、って話になって。
うちの親の話が発端だったか、政略結婚の貴族夫婦の悪口からだったか。笑笑
夫婦のタイプをパターンでわけられるねって、‘ミラ様ワイン’を前にして2人で話をしていた事があって。
タイプ‘1’
性格も合ってはいないのに、何で夫婦やってるのかな?体の関係だけで繋がっている?ボディだけの繋がり、ボディの〔B〕で《タイプB》。
タイプ‘2’
心がちゃんと繋がっている夫婦。このタイプは結構老年期までホッコリやっている夫婦が該当するけれど。
案外正反対の、貴族の政略結婚でも《欲と道連れ》タイプで、夫婦でガッツリ目が爛々ギラギラに、欲しいものが共通で。
これはこれで、マインド繋がりなのかも。マインドの〔M〕で《タイプM》。
心も体も繋がっている、《理想的な夫婦》は、やっぱりB&Mの両方をお持ちって事かなぁ。
話の方向が女性のミラ様とするのも、ちょっとどうよ?な、内容にもなったけれど。
ワインとセットのミラ様と話をしていると、男同士でバカ話をしているような感じがして、気楽になってきているんだよね最近は。
ミラ様、頭キレキレの人だし、初めっから色気抜きの関係だから、友達が増えたような感じかなぁ。
***********
と言うことで、今ここで《司令御夫妻の愛想振り撒き大会》で、ミラ様に耳うちで貴族情報を教えて貰っている。
『○○侯爵、領地がどこそこ、前に△△やらかした』
色々を耳打ちしていただきながら立っているのも面倒臭くて。
顔を覚える気もないんだけどさ、どうせ俺。
ほんと退屈で、体調悪ーーくなって来そうだからさ。
今回の祝典には殆夫婦で参加をしている。
だから、ミラ様と2人で例のタイプ別判断を、挨拶をした後に〔当てっこゲーム〕で始めてみたのさ。
貴族の大多数は、欲得変形の〔M〕タイプやら、どっちもありませんが、こういう時だけ世間体には乗りたいところの〔M〕ですね。
でも、たまに貴族にも、恋愛結婚の〔M〕&〔B〕もいたりして、ミラ様に短くエピソード聞いて『ほほう』。
軍属は、わりと〔B〕が多め。
仕事で、家空けてる事が多い仕事だから‘亭主元気で留守が良い’が、本音なのかな?
もちろん、〔M〕繋がりもいるけどね。
ミルゼス中将ご夫婦とお会いしたら、ご夫婦にはお子さんはいないそうで、でもとても良い雰囲気で、若い時は知らないけれど、これは最高の〔M〕カップルですね。
そこに、クロさんこと、クローレス上級大将ご夫妻登場。
クロさんの官位昇格、俺ちょっと押しちゃったけれど、決して贔屓ではないよ。
西の反乱の時に、俺と『紺』軍服の間にクロさんが入ってくれなかったら、迅速速攻がここまで上手くは進まなかった。
本人の実力による当然の昇格。
それで、クロさん御夫婦に、ミラ様と俺が声を揃えて。
同時に〔M&B〕の両方認定を確定していたわけです。
「おい、何だか仲の良さそうな事で。
えらく楽しそうだなあ?」
「クロさん、勘弁して下さいって。
俺今、一世一代の演技賞を貰いたいくらいに、踏ん張って立ってるのお分かりでしょう。
いったい、何時からの付き合いですか。
若年傭兵の時の俺の顔を知ってるでしょう。
こんな所に立たされて拷問だよ。」
あれ、何でマコまでいるのかと思ったら、そうだった。
《レヴィオン·ビステル少将閣下ご夫妻》ですと。
マコのはてにまで挨拶を受けたんなら、『もういいかい?』と見張りの『灰色』さんをチラ見してから、引っ込もうとしていたら。
うっかり、汚物を踏んじゃったよ。
ミラ様の、2番目だか3番目だかの旦那。
高位の貴族のなかなかの糞野郎で、ミラ様の後の後妻と一緒に来なくていいのにやって来た。
うん、後妻さんは若いだけのデブ·ブス·バカの三重苦だね。
ミラ様のウルトラ勝利!
こういうの、グラマーって言わないし、挨拶に知性の‘知’の字もないお似合いな夫婦。
「ほお、結構な面変わりで、若い伴侶に対抗して御自身に手でも加えられたか?」
ここでいきなり、ミラ様に絡みますか?
でも、ミラ様綺麗になってて『惜しかった』とでも思ったか?
ミラ様、もともと知性派美人ですけれど、何か?
マコが、殴りかかかりそうになってる所、レヴィ君羽交い締め。
ありがとうねぇレヴィ君。
マコお前、お腹大きいのに汚いもの殴っちゃダメじゃんよ。
俺、そっとその汚物氏に耳打ちしてやった。
その途端に汚物、赤黒い顔で頭が爆発したらしく。
広間の大階段を足を絡ませて転がり落ちていった。
頭も打ってたら楽しいのに。
「パパ何を言ったの、脅してやったの。」
パパは、そんな格好の悪いことは言わないよ。
「いったい何を仰いましたか?」
「エヘヘ、女性に聞かせるような事ではないんで、お許し下さい。奥様。」
敬礼したら、ミラ様にため息をつかれた。
近くにいたクロさんとレヴィ君が興味津々。
「女性でなければ、聞かせて貰えるわけか?
いったい何を言ったんだ?」
「えっと、『機能性に問題がある御主人だと奥様は装う張り合いもありませんね?』みたいなのを、‘傭兵風’に変えて?」
「で、何つったんだ?」
「『吹かしてんじゃねえぞ!‘い○ぽ’じじいは、女も磨けなかったってか?内緒にしといてやるから、とっとと消えな!』ですけれど。」
「んああ? お前よお、帝国の品位とかちょっとは考えろよ。そんな所に立ってんのに。」
そこで、ひーひー笑っているレヴィ君よ。
「マコに言うなよ!胎教に悪くて下品な子供が産まれるぞ。」
「クロさんまで、マケル宰相みたいな事言わないで下さいって。」
こんな所に、汚物元旦那の出没って、そのマケル宰相閣下の演出でも、俺もう、ちっとも驚かないよ。
あれ、ミラ様睨んでる、聞こえちゃってましたか?
申し訳ありません。




