閑話 【陛下にお土産】 パパと陛下…♡
「悪くはないな。」
成り行きで、買ってしまったワイナリーのワインを陛下にお持ちしてみた。
普段陛下が召し上がる逸品には足元にも及ばないのだろうけれど。
ご機嫌良く召し上がっていただけたようでホッとしている。
たった、3日程の日程でも違う空気を吸ってスッキリした。
普段、軍の中で吸っている空気と違って清浄な美味しい空気で。
「サリュー、お前に初めて‘酒の味’を教えてやったのは私であろう?
昔の話に、忘れていたか?」
陛下が思わせ振りに舌先で、ご自分の唇を舐められる。
陛下、比喩が下品ですよ。おやめ下さい。
「よーーく覚えております。」
陛下のからかいに、顔が赤くなりそうだよ。いい年して、俺。
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「14か。まだ。仕方がないか?」
「??」
「子供過ぎるな。もう少し待ってやろう。」
何をだろう。
「あの……」
「ふん?」
「子供に、お酒を飲ませるのですか?」
「このよう方法で飲ませるのは、帝国の法では禁じられてはおらぬが。
お前は知らなかったか?」
嘘だよ。そんな法律は聞いたことがない。
《帝国若年口移し飲酒法?》ないない!
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皇帝陛下の島に伴われると、数日はそこに滞在される事が多かった。
まだ、俺が士官学校の幼年下部の生徒の頃で。
週末や、長い休みの前に、生徒が自宅に戻る為に散り散りに校門を出ていく時に迎えの『灰色』の軍服の人間に伴なわれて。
無理に逃げ出す理由もなかったので。
慣れてくると、色々な所に連れて行って貰うのも面白かったし。
もともと、親父が帰って来る家に帰りたくはなかったし。
連れて行って貰った先には、既に陛下がお越しになっていたり、後からいらしたり。
どこも、帝国の地図に載っている‘あそこ’だろうと、思いあたる場所ではなくて。
世間から隔絶されたような、自然の中で。
それでいて、どの場所も怖いくらいに美しくて。
自分の産まれ育った所と、同じ次元の世界ではなくて、異空間にうっかり紛れ混んだような錯覚を起こしそうな。
別にジャングルと言う訳ではないので、人が住んでいても不思議がないのに誰もいない。
森の中の大きなコテージだったり、湖のそばのしょうしゃな建物だったり。
ちっとも不思議な景色ではないのに、不思議に思えるのは、滞在中誰も人が居ない事だけで。
自然の物音と、陛下と自分の声と息使いしか音がなくて。
皇帝陛下と自分と、時々影のように現れて消える世話役の『灰色』のお仕着せの人間。
何人いるのかもわからなかった。
時間まで止まっているような世界で。
2回に1回は、最初に連れていかれた島に誘われた。
ほとんど、陛下は俺もそこに存在して居ないかの様に振る舞われているのに、時々急に思いついたように、俺をかまった。
陛下が召し上がっていらっしゃった、たぶん上等なお酒なんだろう?
俺には味などわからなかったけれど。
そのお酒を口うつしで、俺に飲ませてからかわれた。
今でも、酒に弱いのに、子供の俺には、刺激が強すぎて。
すぐに、訳がわからなくなってしまって、寝てしまうばかりだった。
はじめは、寝起きに、服を身に付けていないのが不思議だった。
『お酒を飲まされて、暑くて脱いだのかな?』
いいえ、違います、脱がせた大人がいた訳で。笑
陛下に、悪い事ばっかり教えていただいた訳ではなかった。
猟銃の使い方を教えていただいて、鳥や獣を撃ちに行ったり。
乗馬を教えていただいたのも陛下だった。
弓を教えていただいた時は、体の密着から『あれれ?』ということも、あったりしたけれど。
陛下には、後から自分の身を守る助けになる手段も随分教えていただいた。
忘れていた訳では無かったのに、思い出した事も無かったなぁ。
結局、陛下は、‘最後まで’はなさらなかった。
最も、本当にギリギリ‘最後まで’ではなかっただけではあったような?
ワインを3口で、俺が気を失わない程度に丁度良く?仕上がるのがわかってからは、‘最後まで’ではないけれど、なだけ?
それでも、陛下は子供の俺を、気遣って下さったのかな?
うーん?
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「サリュー、物思いにふけるとは、何か思い出して懐かしくでもなったか?」
ええーと、陛下。
急にお近くに引っ張られてびっくりしました。
陛下、俺は昔よりずっと成長しておりますから、陛下のお膝の上には乗れませんし。
いやいや、長椅子に座られていた陛下に向かいあわせで、抱き抱えられる大きさだったのは、26年前ですから。
陛下、潰しちゃいます、今は。
やめましょうよ。
はいはい、確かに俺が陛下がお掛けになっている足の間に体を寄せて、膝をつけばいいわけですか?
間違っても、こんなことするために、ワインをお持ちしたのではないですからね。
昔陛下のお口からいただいた時のワインよりも、これの方がさっぱり系ですね。
この、ミラ様ワインって。




