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【パパは陛下に質問してみた?】 side サリュー パパと陛下…♡♡

 

 思いきって陛下に伺ってみた。


 この頃、‘思いきって聞く’時は、いつも服を着ていないって、ちょっとなし崩し過ぎ?だと思うよ。


 ******



 結局、マケル宰相閣下の《陛下の種取り大作戦》は、‘俺の恩賞休暇’を待つまでもなく、無事に敢行致しました。


 はい、俺ちょっと頑張りました。

 誰か、ちゃんと誉めて欲しい。


 難攻不落の要塞を攻めるよりも、陛下の要塞を落とすのは難航。


 結局その為の陛下懐柔作戦が日常化してしまった。


 作戦遂行後になっても、懐柔作戦のなごりが日々慣例化してしまっている。


 陛下に‘それ’をいただこうと、ご機嫌を伺っているうちに、自分がそう言う‘商売’をする人間に落ちた錯覚をしそうで。


 精神的にも、ちょっときつい。

 まあ、お客様は陛下限定だけどね。


 心のきついのは封印しても、正直そろそろ体が限界。


 使っている薬の頻度と量が増えてきた。


 それでも、今日も陛下のご機嫌取りトホホ、に(いそ)しんでいるのは、先程俺がやらかしてしまったから…らしい。


 陛下をひどくご立腹させてしまった。


 ちゃんと軍服を着用した陛下の御前で、陛下の秘書官に数枚の書類の束を渡された。


「使え!」


 陛下のお言葉に、一番上の書類に目をやると、父の実家『サブル家』の代替え地を御用意下さった権利書で。


 確かに、サブル家は大昔の皇帝陛下のお役に立ったことはあるのかも知れない。

 が、今の帝国にとっては何の役にも立ってはいない。


 代替えの土地は、丁度良い田舎にあり、嫉妬や羨望の(まと)となる事もなく、静かに伯父が余生を送るには最適の場所に思われた。


 もともとのサブル家の場所は、伯父が『家をたたみたい』と言い出した時に(すで)に帝国の所領に吸収していただいてあった。


 その土地の活用責任者に新たに俺の名前が記載してあった。


 俺、前から考えていた事があって、あの呪われたような場所は、木を植えようと花を植えようと因縁が祓える気がしない。


 だったら、軍事施設として活用できないかと考えていた。


 民間と軍事を混ぜて使える、飛行艇の発着所あたりが落とし所かなぁ。


 因縁のある大きな墓場のような場所は、街中からポツンと離れて居るから、住宅地に迷惑もかからない。


 埋まっている骨も無念も、最新設備と熱気にびっくりして、面倒臭くなって散って行くかも。笑


「陛下の御恩情に心から感謝いたします。」


 久々に、最敬礼した。

 ちょっと声が震えていたかも。


「こちらに、因縁の無い話でもないのでな。」


 とんでも、ありません陛下。

 陛下にとっても封印してしまいたい因縁である事は承知しております。

 余計な事は、口にはしなかったけれど。


 そこまでは、陛下のご機嫌を損ねる事もなくて、何か言い雰囲気だったくらい。


 さらに重ねられた書類を見てみる。


 土地建物、周辺一帯の権利書に俺の名前が入った書類。

 それも、数ヶ所。


 これは、申し訳ないけれど正直嬉しくはない。

 権利書を手にしたまま、数分固まってしまっていた。


「‘恩賞の休暇’を過ごすには、場所も必要であろう?」


 陛下は目線を天井の方に反らして、手を組んで(おっしゃ)った。


 照れたような陛下の甘い声に、自分がどう反応するべきか《正解》は分かってはいた。


 ‘可愛げ’のある《臣下》の態度は、『ははー』で感謝感激しないとね。


 陛下のお気持ちは、胸が痛く成る程有り難い。


 ここで、自分が‘我’を出すのって、絶対に《正解》ではないのが分かるくらいには大人になっている、はず?


「どうした?気に入らないか?」


 陛下の背後に、夏空の夕立前の真っ黒の雷雲発生!ゴロゴロの雷が落ちる寸前。


「あの、えっと、陛下。

 ご立腹なさらないで聞いていただけますか?」


 あれ、俺、軍服着てる時の口調じゃなくなってるか。

 ダメなやつですね。


「事によるな?」


「陛下、近年、庶民の暮らしの中で《断捨離(だんしゃり)》と言うのが流行っておりまして。」


「何の話だ、サリュー。」


「貴族の考える財産相続とは違って、自分が亡き後に、如何(いか)に物を(のこ)さずに自分の周辺をサッパリと整理して、『立つ鳥跡を濁さず』の考えのようで。」


「自分も、産まれ育ちのせいでしょうか。

 昨日今日ではなく、その考えにいたく同調を覚えております。


 最近はその‘断捨離’中のところでして。


 自分の血縁の者には、両手で持ち上げる物以上のものは、なるべく遺そうとは思いません。

 生きて行く為に助けになる《頭と手》に付けてやる手段は、多少は助力してやったと思いますので。」


「昨今の、個人的な仕事の課題に、自分の手元に多少なりとも集まった金品の、寄付贈与先の精査という面倒臭い仕事が加わっておりまして。」


「それで、出来ましたらその仕事の量を増やす事は、極力避けたいなぁ。

 などと………」


 うわあ、最悪、大嵐の予感。



 **************



 という流れで、今日もこういう事になっている訳です。


 ついでに、気になっていた事を伺ってみようかと思った訳。


(すで)に、ドゥーダン提督も亡き今は、今上陛下メルキオーア皇帝の前の話は、随分と昔話になっておりますように……」


 陛下、耳を噛むのやめて下さい。パンじゃないから美味しくありません。


「今回の西の反乱では、『紺』が全て陛下への忠誠を捧げて戦う兵力。

 疑うべくもないと、んあっと……」


「今日は、良く滑るな、この口は。」


 指、指、口に突っ込むのやめて下さいって。話出来ません。


「だから何だ?」


「ふう、ああ。ですから、……」


「どうして、自分が向こうの『紺』に近づく、ええ」


 その、指どうするんですか?


「開け。」


 開けって、もう陛下俺の体割って乗っかってますよね?

 どこを開くんですか?


「足を。」


 足を?


 いきなり枕引き抜かれて、頭ゴチン。

 枕、腰の下に押し込めって事かなぁ。


「陛下、まだ今の時点でも、俺が『紺』に近づく事に警戒を、」


 嘘、陛下、陛下にそれをさせるの不敬罪で、あの世の親父に成敗されそう。

 俺がしますから。陛下はやめて下さいって。


「あ、ああ」


 もう、本当に、えっとなんだっけ?そうだ。


「どうして俺が『紺』っ」


「お前が、あちこちを向いて、愛想を振り撒くからだ!」


 へ?愛想?そんな事していないよ俺。


 ちゃんと司令の顔で仕事あっちこっち命令してるよ。

 結構怖い顔してる自覚あるし。


「サリュー、お前は私意外に、へらへら笑うな。

 お前が馬鹿なのが周りに知れ渡る!」


 ええええ、何だそれは?


「あの、んん陛下、それが理由では、ないですよね?まさか?」


「他に何がある。」


 陛下、両方って同時に、ちょっと苦しいです。


「ふう、ああ。」


 もう、どうして、真面目に話を聞いて下さらないんですか。


 これは、悔し涙です。

 涙を舐めるのやめて下さいって。


 汚いんですからね!生物学的に、涙と汗は同じ成分で………


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