第九話「その格好は?」
蒼は、カフェFreeの前にいた。現在の時刻午後6時。約束の時間1時間前だ。
「フ~。入るか」
深呼吸してカフェに入った。
「いらっしゃ、蒼。早かったね」
入ると綾音がやって来た。服装は、この間と同じだった。
「なんか家にいても落ち着かなくて早く来たよ」
「あはは。そうなんだ。まぁ時間までゆっくりするといいよ。こっちに座って」
蒼は、この前と同じくカウンター席に座った。
「やぁ、入山君。今日は、期待してるよ」
「どうも。こんばんわ」
「演奏前に紅茶を飲むといい落ち着くよ」
そう言ってサッと紅茶が目の前に出てきた。
「それから私のことは、今度からマスターと呼んでくれ呼びやすいだろ?」
「え、あ、はい。そうします」
紅茶のカップを両手で温まるように手に取り一口飲む。
「……美味しいです。ま、マスター」
少し照れくさくマスターと呼んだ。
「フッ。今日は、おごりだ」
「え、どうしてですか?」
「演奏してくれるお礼だよ。ただし、その一杯だけだからな」
「ありがとうございます」
7時。10分前のことだった。
「そうだ!入山君」
「なんですか?」
「ちょっと私と来なさい。綾音。ちょっと店をお願い」
「分かった」
店を出て蒼は、マスターの後に続く。店の横にある階段を上り向かった先は、2階の住居になっている自宅だった。そのまま、自宅に上がりこんだ。
「ちょっとここで待ってなさい」
蒼は、2階のリビングで待たされた。
「い、いったいなんだろう」
二人だ店を出てからさらに10分が過ぎた。時刻は、丁度7時になったころ。綾音は、一人で接客をしていた。来店している客は、店内の雰囲気に浸っているかのように静かだ。
「よかった。注文がなくて一人でやってたら大変だった。早く戻ってこないかな。……ちょっと待って何しに二人出て行ったんだろう」
考える綾音。腕組みして頭を傾げる。が、いくら考えても二人が出て行ったことが分からなかった。
そこへ。
「綾音。おまたせ」
なんだかいいことがあったみたいで上機嫌で戻ってきたマスター。
「お父さん。いったい……」
そんなマスターの後ろから現れたのは、私服姿でわなくタキシードを完璧に着こなした蒼がいた。
「よ、よぉ」
「あ、蒼?」




