第八話「承諾」
「分かりましたよ。しますよ」
渋々蒼は、カフェで演奏することを承諾した。
「本当!?やったー」
両手を上に上げて喜ぶ綾音。
「そんなに喜ぶことじゃないだろ?」
「喜ぶよ!嬉しいもの!蒼の演奏色んな人に聞かせるとこが出来るんだよ!」
まるで自分の事のように嬉しがる綾音に蒼は、ただ苦笑いするしかなかった。
「それじゃいつ演奏する?」
「そうですね……いつでもいいですけど」
「じゃ、今度の日曜日夜7時でどう?」
「分かりました。その代わりどうなっても知りませんから」
「それは、どいうことだい?」
「お父さん。蒼は、即興で演奏するんだよ」
「面白いね。でも、綾音もそいうところあるから大丈夫だよ」
「軽っ!」
そして、蒼は、日曜日ピアノ演奏することが正式に決定した。
昼休み。教室。
クラスメイトが机をくっつけたりして昼食をとっている。そんな中、窓際の席で弁当を一人で食べていた蒼。
「あ!いたいた。蒼!」
聞き覚えのある声で呼ばれたので、教室の入り口に目を向けると綾音がいた。すると、なんだか上機嫌で教室に入ってきて蒼の前に来た。
「ど、どうした?」
「一緒に食べようと思って」
綾音は、蒼の前の生徒の椅子に座り向かい合い、机の半分に弁当を置いた。教室にいたクラスメイト達がざわめき始める。
何故、蒼と一緒に弁当を食べるのかと。周りの反応に気が付いた綾音は。
「いきなりで迷惑だったかな?」
上機嫌から一転申し訳なさそうな表情になる。蒼は、フッと鼻で笑う。
「いや、驚いただけだよ」
「本当に?」
「うん。本当に」
そう言うと表情が元に戻り。
「っしゃー。さぁ、食べよう食べよう」
「切り替え早っ!」
土曜日。明日の演奏を控える蒼。今日は、部屋でパソコンを使って通販サイトを見ていた。画面には、電子ピアノがたくさん表示されている。
「う~ん。やっぱり高いな」
自宅にピアノがない蒼は、通販で電子ピアノの購入を考えていた。
「通販もいいけど、やっぱり実物を見たいな~」
明日の演奏上手くいくか蒼にも分からないが、やると決めた以上失敗は許されない。
一発勝負。そして、蒼は、一つ考えがあった。