最終話「揃ったとき」
学校にレポートを提出し終えた帰り道で綾音は、ところどころ店を回った後駅に向かい電車に乗った。ドア付近に立ち吊革を掴んで窓の外の景色をボーっと見る。10分後。隣の駅に到着した。入り口が開く。降りる人と乗って来る人が入り混じる。そろそろ出発という時。
「よいしょ~。間に合った」
「あれ、霧山さん」
「わぁ!西沢先輩じゃないですか」
駆けこんで来たのは、テニス鞄を背負った小町だった。電車が出発。
「奇遇ですね!というか、久しぶりですね!半年ぐらいですかね?」
「そうだね。あ、この間の大会BSで見たよ。どんどん強くなっていくね」
「いえいえ、まだまだですよ。西沢先輩は?プロのピアニスト」
「私こそまだまだだよ」
「お店の窓の張り紙見ました。凄いですよね相川先輩。CD発売って」
「うん。元々相川さんは、ヴァイオリン上手かったからプロになるのも早いと思ってたけど」
「相川先輩の演奏会行きたいな~」
「大会?」
「被りそうで」
「そっか~」
駅に到着するまで綾音と小町の会話は、途切れずお互いのことや世間話をして笑い合った。
地元の駅に到着し二人は、電車を降りてバスに乗り換える。駅から20分後、二人は、地元のバス停に下りた。二人で並んで歩くしばらくしてカフェFreeが見えてきた。店の前で二人は止まる。
「じゃ、西沢先輩失礼します」
「またね。霧山さん」
小町が家の方へ歩こうとした時だった。
店の中からヴァイオリンの音色が聞こえてきた。小町は、足を止めて振り返り綾音の顔を見る。
「……誰かいるんですか?」
「いや、だってこの時間店開いてないし」
何が何だか分からず混乱していると、透き通るようなピアノの音色が聞こえてきた。綾音は、店の扉に手をかけると簡単に開いた。意を決して中に入る綾音。その後ろに続く小町。中に入った二人の視界にステージ上でヴァイオリンを弾く望海と。
「……嘘」
ピアノを軽快に操っていたのは、蒼だった。信じられないかのように一歩また一歩と近づいていく綾音。
「あ、西沢さん。始めたばかりだけど」
望海は、蒼の方を見る。一回頷く蒼。そして、息が合うように同時に演奏が終わった。蒼と望海がステージから降り綾音の前へ。
「蒼だよね?」
「……そうだよ」
クスッと軽く笑う蒼。
「丁度良かった。綾音と望海さんに言わないといけなかったことがあるんだ」
綾音の隣に望海が立つ。
「海外に行ってたのは、留学じゃなかったんだ。……手術しに行ってたんだよ」
蒼は、全てのことを綾音と望海に言った。二人は、なにも言わずにただ蒼の言う事を聞いていた。話をすべて言った蒼は、二人に深く頭を下げた。
「ごめん。帰りが遅くって。予定よりリハビリが長くなって、治ってからすぐ帰ってくるはずだったんだけど、このまま帰るよりも自分のレベルを上げてからにしようって、自分で決めたんだ」
すると、綾音が蒼の頬を思いっきり平手打ちをした。
「バカ……遅いよ。5年も待たせて」
蒼に抱き着く綾音。
「……お帰り」
「本当に待たせすぎだよ。蒼君」
望海もまた蒼に抱き着く。
「ただいま」
「……入山先輩」
今にも泣きそうな小町。
「迷惑かけたね。霧山さん」
「い、いえ。そんな……ことないです」
「じゃ、久しぶりにみんな揃ったし演奏する?」
蒼から離れる二人。
「そうね。あのときの約束を」
「今やりましょ。蒼君。西沢さん。霧山さん」
ステージに上がる三人。
「霧山さん。フルート持ってる?」
「はい!いつも鞄入れてましたから!」
並んで座る蒼と綾音。ヴァイオリン、フルートを構える望海と小町。みんな頷く。
お客がいないカフェだが四人には、満席に見えていた。
「さぁ、いこう!僕らが奏でる協奏曲」
皆さんこんにちは、@ナイトホークです。
無事に3作目を終えることが出来ました。読んで下さった方ありがとうございました。
毎度のことですが誤字なのがたくさんあって、読みづらいときもあったと思います。すいませんでした。
今作本当に大変でしたが無事に終わることが出来て良かったです。
現在4作目企画進行中です!。
感想、評価などありましたらよろしくお願いします。
それでは、また会える日を楽しみにしています。




