第二十七話「いいかな?」
蒼は、自分の部屋で電子ピアノを演奏していた時だった。突然スマホが鳴り響いた。演奏を中断して液晶画面を見ると非通知。少し迷ってから通話ボタンを押した。
「……もしもし?」
「あ!入山君?こんにちわ」
電話の相手は、望海だった。
「えっ、相川さん?何で僕の電話番号知ってるんですか?」
望海には、スマホの電話番号を教えていないので驚いた。
「好きな人の電話番号くらい調べたに決まってるでしょ?」
ちょっと怖いと思った。
「そ、それで何の用ですか?」
「な~に?その迷惑そうな口調。まぁいいわ。今家にいるの?」
「ええ。演奏してました」
「家にいるなら今からそっちに行ってもいいかしら?」
「えぇ!!」
反射的に大声になってしまう。
「うわ!ビックリしたぁ」
「ビックリしたのは、こっちですよ!何言ってるんですか!」
「何って一度くらい入山君の家に行きたいだけだけど?」
「相川さん……」
手を頭に当てて天井を見る。
「……だ、駄目かな?」
スイッチが違かわったかのように望海の声がなんだか弱弱しくなる。
「……駄目じゃないですけど」
「駄目じゃないならその、行ってもいいかな?……今凄く入山君に会いたいんだ」
望海に言われて蒼は、なんだか嬉しくなり心臓の鼓動が速く鼓動する。望海の息遣いが直接耳に当たってるんじゃないかと錯覚して、スマホを少し耳から離してしまう。自分の部屋が散らかってないか、落ち付かず見渡してしまう。
「入山君?」
「あ、はい。すいません」
「行っていい?」
「分かりました。来ていいですよ」
「本当!?じゃ、今から行くね」
望海との通話が途切れたあと自分の部屋を軽く片付けた。一階に下りて冷蔵庫を開けて飲み物をチェック。
「オッケある程度は、あるな。あとは、何か食べ物う~ん。お菓子は、ないか」
コップを二つ取り出して念入りに洗う。
「相川さんが家にかぁ~。考えもしなかったけど」
コップを洗いを終え次に何をしたらいいか、家中を右往左往してしまう。落ち着かない。取り合えず自分の部屋に戻る。部屋が匂っているか分からず、とりあえず窓を全開にして換気。
「あとは、ないか?大丈夫かこれで?う~」
部屋の中央で仁王立ち。心臓の鼓動を落ち着かせるために3回深呼吸をする。電子ピアノを見つめて立ったまま片手で、鍵盤を叩く。
「大丈夫。落ち着いて。いつものように話せば大丈夫なはず」
軽やかに指を動かして演奏した。
それから15分後の事。インターホンが鳴り響いた。部屋を出て一階に下りて玄関を開けると、可愛い服を身に纏った望海が立っていた。
「入山君。こんにちは。ケーキ買ってきたから一緒に食べよ?」
頭を可愛らしく傾げた。




