第二十三話「譲らない」
次の日の朝。家の玄関を開けるとそこに。
「おはよう。入山君」
望海がいた。どうやら出てくるのを待っていたらしい。
「あ、相川さん。おはよう」
「一緒に行こう」
「あ、うん」
並んで一緒にバス停まで歩く。
「相川さん。朝練は?」
「今日は、休み。明日は、あるよ」
「部活事情知らないからな僕」
「ねぇ、今度から朝練が休みの日は、一緒に行かない?」
「え、どうして?」
「一人で登校ってつまんなくない?誰かと一緒なら少しは、増しになると思うんだけど……私とどうかな?」
「ま、まぁ、別にいいけど」
「本当!?ヤッター」
嬉しさを爆発させるかのように2回飛び跳ねる望海。
しばらくするとバス停に到着しバスに乗り込む。一番後ろの進行方向右側に座ると望海は、躊躇なく蒼の隣に座る。密着する二人。腕と腕がぶつかり合う。望海の方からほのかにシャンプーの香りが漂ってきて蒼の鼻孔をくすぐる。
「ん?どうしたの?」
「あ、いや何でもない」
覗き込んでくる望海を反射的に顔を窓の外に向ける。望海は、隣でクスクス笑うと極自然に蒼の肩に頭を預けて、寄り掛かり眠ってしまった。蒼の心臓は、通常より早く振動する。落ち着くことができない。チラリと横を見ると可愛らしい寝顔の望海。視線を少し下に向けると、柔らかそうな潤った唇に、制服越しでもわかる豊満な胸。サッカーで鍛えられていると思えない綺麗な太もも。蒼の理性がかき乱される。ふと気が付けば、左手が太ももに向かってることに気が付いた。パッと左手を右手で掴み抑え込んだ。心の中で何でも落ち着けっと唱えていた。
「……別にいいのに」
学校に到着した。下駄箱で上履きに履き替える。教室に向かう。二階まで階段で上り廊下を歩いていると二組の教室から綾音が出てきた。綾音は、蒼と望海を確認すると二人に近づき対峙した。
「おはよう。蒼。相川さん」
「おはよう」
「おはよう。西沢さん」
「今日は、二人で登校?」
「朝練がないからね」
「それでか~」
蒼は、薄々気が付く。綾音から漂ってくる何らかのオーラを。
「あ、入山君。言い忘れてたんだけど」
「何?」
「今日、一緒にお昼しない?」
「えっ!」
「ちょっと待って!」
裁判の意義ありのような勢いで綾音が割って入る。
「西沢さん何?」
「私も一緒にいいかな?」
「西沢さんも?ん~。いいよ。三人で食べよう~」
望海が一瞬迷ったのを蒼と綾音は、見逃さなかった。
―――今。相川さん。確実に迷ったような……
―――絶対、迷惑だと思われている。でも、ここで引くわけにいかない。




