第19話・DREAMS COME TRUE? ④
遅くなりました!
「DREAMS COME TRUE?」編完結です。
ベリーズは、『処理場』からの出口を探す。
立ちのぼるゴミの腐敗臭。
えずきそうになるのを必死に堪えながら、ベリーズは進む。
彼女はすでに、もう三日間もの間この『処理場の中を彷徨っていた。
彼女は、『処理場』の中でも最も汚染度が高い地域に閉じ込められていたため、そこを出ることは容易ではなかった。
やがて、限界が近づく。
(こんなところで…。嫌だ…。まだ私にはやることが…。)
意識が落ちるのに抵抗するベリーズであったが、数分後、彼女の意識は闇に包まれた。
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「まったく…、あの子に泣きつかれなきゃこんなことしてないんだけどなあ…。」
女がぼやく。
「でも、あのクソマスターの奴に私も酷い目合わされたからなあ…。ここは、ひとつ気張って見ましょうかしら。恐らくその子はあそこにいるはず。」
女は、おもむろに持っていたポーチから、黒いキューブを二つ取り出す。
そのどちらにも、ボタンが付いている。
「何よりも、もう夢を誰かに諦めさせるわけにはいかないんだから。」
どこか決意の灯った目で女はそう呟くと、片方のキューブのボタンを押した。
瞬間、彼女の姿はその場から消えていた。
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『私の夢』
私の夢は、バベルの中でみんなが夢をもてるようにすることです。
不思議な夢だと、読んでいる方は疑問に思うかもしれません。
でも、それには理由があります。
戦争が始まる前は、どんなこどもたちも、夢を語って、それに向けて努力することが認められていたらしいです。
お金が足りなければ、援助を受けることができる。
身分の高低も関係ない。いや、そもそも身分に高低なんてない。
そんな素晴らしい時代が、本当にあったことなんて皆さんは信じられますか?
援助を受けられないこどもは、夢をもってもそれを現実にすることは不可能だった。
そう反論する方もいらっしゃるでしょう。
でも、そんな子たちであっても夢を持つことは自由でした。
翻って、今のバベルは、夢を持つことさえ認められないこどもたちがいます。
大人はみんな、こんな状況で夢なんか持つなとも言ってきます。
バベルという過酷な閉鎖空間だから。
貧困層にいるから。
偉い人が持つなと言ったから。
もしそんな理由でこどもたちが夢を持てないのなら、私はそれに全力で抵抗します。
夢を持つことは、誰しもに認められた普遍な権利であると思うから。
だから、私はそんな子たちを助けたい。
いつか、夢で溢れるバベルを見ることが出来るように。
ベリーズ
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ベリーズが目がさめると、そこは病室だった。
目の前で友人が泣いていた。
(私…、助かったの?)
そう聞こうとするが、声が出ない。
「よかった!ベリーズちゃんが生きてて本当によかった!」
ベリーズは、アスカに身振りで紙とペンをお願いし、それを受け取ると経緯を聞きたいと文字を書いた。
つっかえつっかえアスカが説明するには、とある女性が、ボロボロになったアスカを「階層会議」の5日後くらいに病院に運んできてくれたという。
幸いにも、発生していた刺激系のガスの吸いすぎで声帯がやられてしまった以外は、他に目立った怪我はないらしい。
「本当に心配したんだからね!!!」
泣きじゃくるアスカに目で謝罪の意思を伝えると、ベリーズは、再び紙に文字を書き連ねる。
そこには、
〈こどもたちみんなが夢を持つという夢を絶対に諦めない。〉
そう、力強い文字で書かれていた。
自らの夢の実現に向けて。
ベリーズの目は決意で満ち溢れていた。
ひとまず、ベリーズの話はここで一旦終わりとなります。
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