タイトル未定2025/12/29 21:41
営業を終え、そのまま定食屋でお昼に入った馬場とちはるは、初めて赤井の口から出張の件を聞いた。
隣同士座っていた馬場とちはるは驚いて顔を見合わせ、テーブルを挟んで座っている赤井を見つめた。
赤井は、大盛りのカツ丼を勢いよく食べていた。
「それで、最近元気がなかったんだな」
馬場が言うと、ちはるはハッとしたように言った。
「出張のこと、スイに話したの?」
「言いましたよ」
「スイ、びっくりていたでしょ」
「まぁね」
赤井の素っ気ない言葉に、馬場が言った。
「なんか、他人事みたいだな」
「若菜ちゃんとは、もう駄目だよ」
「えっ、なんで?」
馬場とちはるは、揃って声を上げた。
「俺、若菜ちゃんに、本音をぶちまけたから」
「本音?」
ちはるが不思議そうに聞くと、赤井はカツ丼の傍らにあった味噌汁のお椀をつかみ、一気に飲み干した。
一息ついた赤井は言った。
「俺が選んだスーツを、その日の内にマスターに見せに行ったんですよ。馬鹿にしているよ。ずっと我慢していたけど、若菜ちゃんに本音をぶちまけちゃいました」
赤井は付け合わせの漬物を口の中に放り込むと、再びカツ丼を勢いよく食べだした。
ちはるは、ため息交じりにに言った。
「落ち込みの原因はそこか」
馬場は、赤井に聞いた。
「赤井、本当にそれでいいのか?」
「良いも悪いも、もう言っちゃったんだし。今さらですよ。あぁ〜うまかった!ねぇ、昼休みもうすぐ終わりますよ」
赤井の言葉に、馬場とちはるは慌てて食事に箸をつけた。
定食屋を出た馬場と赤井は会社に戻り、ちはるは営業先の店に向かった。
オフィス街の中を歩きながら、馬場が言った。
「出張先にいつ行くのか、若菜ちゃんに言ったのか?」
「言っていません。俺は若菜ちゃんに、ひどいことを言ったんです。言ったところで、見送りになんて来ませんよ」
「後悔を、しているんじゃないのか?」
「言いたいことは、言いました。後悔なんてしていません」
赤井は、きっぱりと言った。




