タイトル未定2025/12/29 21:32
穏やかな陽射しが、キッチンのなかに差し込む。
若菜はゆっくり、朝ごはんのトーストとベーコンエッグを食べていた。
黙ったまま、トーストを機械的に口の中に運ぶ若菜を、若菜の母親はみつめていた。
若菜の母親は、テーブルをはさんだ若菜の向かいに座った。
「若菜、どうしたの」
不意の母親の言葉に、若菜は顔を上げた。
「このところ、静かね」
若菜はベーコンエッグをフォークでつつきながら、母親の言葉を聞いていた。
「パパが紹介していた、マスターと何か進展があったの?」
若菜が手にしていたフォークがスルリと落ち皿にあたり、高い音が響いた。
「マスターがどんな方か知らないけど、好きな人がいたら、もっと楽しいんじゃない?」
すっかり食欲が失せた若菜は、残したままイスから立ち上がり、キッチンから出て行った。
その頃水田菓子メーカー営業部の職場で、赤井が机の席に座り落ち込んでいた。
赤井の向かいの席の馬場とちはるが赤井を見つめ、ちはるが言った。
「少し前にも、同じようなことがあったわよね」
ちはるの隣の席に座っていた馬場が言った。
「あった、あった。今度は、何?」
呆れて言った馬場は、最後の「何?」と言う言葉を強調して言った。
いつもの赤井ならすぐムキになるが、赤井は携帯を出すとラインを送り、机の上に置いてあったパソコンのキーを打ち始めた。
キッチンから出て来た若菜は、自分の部屋のベッドに寝転んでいた。
充電器にささったままの、携帯のラインの着信音が鳴った。
若菜は携帯を充電器から外した。
ラインの送信者は、赤井だった。




